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男性から女性への性別適合手術(性転換手術) 費用相場|手術は何歳から可能?健康保険は使える?

体の性別と心の性別が一致しない性別違和をもつ人々は、日常生活において様々な困難を抱えています。一方で、平成10年10月16日に日本で初めて公に行われた性別適合手術や、平成15年7月に成立した『性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律』(特例法)など、トランスセクシャルの人々を取り巻く環境は、少しずつではありますが変化しており、治療法の進歩や社会的認知も進んでいます。では、今現在、性別違和で悩む人々にはどんな治療法や選択肢があるのでしょうか?
今回は、男性の体で生まれながら、女性であることを望む方々が受けることができる性別適合手術(性転換手術)にスポットをあて、その手順やかかる費用についてご紹介します。

男性から女性への性別適合手術費用は120~300万円程度

男性の体で生まれながら、性自認が女性であり、女性への性別移行を望む場合をMTF(male to female)と言い、MTFの性別適合手術では精巣摘出術、陰茎切除術、造腟術、外陰部形成術などが行われます。性別適合手術に至るまでには、精神科医による診療や診断、身体的な診断、ホルモン治療など様々な治療を行うのが一般的ですが、性別適合手術のみの費用は、睾丸、ペニスの摘出でおおよそ130〜150万円程度、造膣も合わせて行う場合は200〜250万円程になります。

男性から女性に性別変更するには家庭裁判所の手続きが必要

平成15年7月に成立した『性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律』(特例法)には、次の要件のいずれにも該当している人が、家庭裁判所において性別の取扱いの変更の審判を受けることができる、と記載されています。

<要件>

  1. 二人以上の医師により、性同一性障害であることが診断されていること
  2. 18歳以上であること
  3. 現に婚姻をしていないこと
  4. 現に未成年の子がいないこと
  5. 生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること
  6. 他の性別の性器の部分に近似する外観を備えていること

この内、5と6の要件を満たすためには外科的な手術が必要になります。
ただし、令和5年10月には、最高裁で「5の要件は憲法13条に違反し無効である」との判断が示されており、今後の法改正の議論が注目されるところです。

世界では性別適合手術なしで性別変更可能な国も

本人の申請のみで性別を変更できる国、一定の条件のもと変更可能な国、変更を認めていない国など、性別変更に関するルールは国によって様々です。

スウェーデンやオランダは、もともとは性別適合手術を条件にしていましたが、2013年に撤廃しています。イギリスやスペインでは生殖不能要件に関する規定はありません。また、アルゼンチン、デンマーク、フランスなどは、医師の診断がなくても法的性別変更が認められています。

日本の現行法では、戸籍上の性別を変更するには性別適合手術が必要とされていますが、令和5年10月11日、静岡家庭裁判所浜松支部において、「戸籍上の性別を変更するには生殖能力をなくす手術を受ける必要がある」という規定は人権侵害だという申し立てをうけ、規定は憲法に違反して無効だとする判断を示し、性別適合手術なしで戸籍上の性別を女性から男性に変更することを認めました。また、令和5年10月25日付け最高裁判所大法廷決定において、裁判官15人全員一致で5の要件は憲法13条に違反し無効であるとの判断が示されており、今後、特例法の改正が検討されていくことになります。

MTF性別適合手術までの流れ

性別違和の方の治療は、一般的には日本精神神経学会が作成した『性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン』に沿って行われます。MTFの性別適合手術までの流れは以下の通りです。

1.精神科医による診断
 詳細な養育歴・生活史・性行動歴について聞き取り、身体的性別の判定を行い、2人の精神科医が一致して性同一性障害と診断することで診断が確定。

2.精神科領域の治療
 身体的治療の後も継続される。精神科領域の治療は省略することはできない。

3.ホルモン療法
 身体的治療のひとつ。十分な問診、身体的診察、検査を行い、悪影響を及ぼす疾患がないことを確認してから行われる。また、定期的に副作用などの検査をおこないながら継続される。

4.性別適合手術
 精巣摘出術、陰茎切除術と造腟術および外陰部形成術。効果とリスクを十分説明し、本人の意思を尊重しつつ行われる。

ホルモン療法や外科手術に関しては、どの治療をどの順番でどこまで行うかは、体調、副作用などを考慮しつつ本人の意思で自由に選べます。自分らしい性別表現を達成する手段である乳房形成術(豊胸術)や声の女性化手術などは性別適合手術とは違い、必要なタイミングで各々の希望に合わせて行います。

現在、「性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン」では、性ホルモン療法の開始可能年齢を条件付きで15歳に引き下げており、女性ホルモン療法により思春期の体の変化を抑える治療も行われています。

男性から女性への性別適合手術費用の内訳

先述の通り、MTFの性別適合手術は人それぞれ、いくつかの治療を経て行われます。ここでは、どの治療にどの位の費用がかかるかをご紹介します。

男性から女性への性別適合手術費用①【診断書代:3,000~数万円】

性別適合手術に要する診断書は、性別違和に十分な理解と経験をもつ精神科医2人が、一致して性別違和と診断することで発行されます。性別適合手術は一度行うと元に戻すことができないため、慎重な診療が必要であり、場合によっては数年カウンセリングに通うこともあります。

男性から女性への性別適合手術費用②【ホルモン治療:1回1,500〜5,000円】

ホルモン治療は1度の投与で変化が現れるものではなく、2週間から1カ月に1回の頻度で投与します。また、性別適合手術後も継続する必要があります。

性別適合手術を行わず、ホルモン治療のみで得られる効果は以下の通りです。
※個人差があります

  • 乳腺と乳房の脂肪が増加し乳房が大きくなる
  • 体脂肪の付き方が変化し、女性的な顔つきになり腰回りの脂肪が増える
  • 勃起力の低下、性欲の低下、精子量の減少
  • 性格の女性化
  • 男性はげの改善、頭髪の女性化(毛が細くなる、密度が高くなる)
  • 体毛やひげの減少
  • 肌の女性化

男性から女性への性別適合手術費用③【精巣摘出・陰茎切除など:120万円〜300万円】

MTFの手術には精巣摘出術、陰茎切除術、外陰部形成術、造膣術などが含まれますが、全て行わなければいけないわけでは無く、どの手術を行うかは個人の判断になります。造膣術は体への負担が大きく、戸籍上の性別変更の必須要件ではないため、行わないこともあります。また、上記手術は一度に行うことが可能で、同時に行う場合に費用が減額される病院もあるようです。
国内では性別適合手術を行っている病院が少なく待機期間が長いので、性別適合手術先進国であるタイで手術を受けるケースも多く見受けられます。

性別適合手術費用以外に男性から女性への性別変更に必要な費用

性別適合手術にかかる費用以外にも、性別適合手術を受け戸籍上の性別を変更するまでにかかる費用があります。

海外で男性から女性に性別適合手術するなら渡航費用が必要

国内では性別適合手術を行っている病院が限られており、実績があり費用が安いタイで手術を受ける方が多くいます。海外で手術を受けるには、パスポートを持っていない場合はパスポート取得費用、航空券の代金や宿泊費、海外旅行傷害保障代金、必要に応じて通訳や送迎などの料金が必要になります。また、国内で行う場合でも、近隣に手術可能な医療機関がない場合は交通費が必要になります。

男性から女性へ性別適合手術後の生活費

個人差がありますが、手術後は数カ月の自宅療養を余儀なくされる場合もあります。安心して手術を受けるためにも、3カ月程度の生活費を用意しておくとよいでしょう。

男性から女性に戸籍の性別を変更するのための費用

戸籍上の性別を変更するため、必要書類を揃えて家庭裁判所に申立書を提出します。申請には申立書、2人以上の医師による診断書、戸籍謄本が必要になりますので、診断書代や戸籍謄本の交付手数料、書類作成を司法書士や行政書士などに依頼する場合は加えて作成費用がかかります。また、収入印紙800円分、連絡用の郵便切手なども別途必要になります。
性別変更後は運転免許証、金融機関やクレジットカード会社、健康保険や国民年金などの変更手続きが必要になりますので、それぞれの場所に足を運ぶための交通費や、手続きの際に必要な戸籍謄本、住民票などの交付代もかかります。

男性から女性への性別適合手術後もホルモン治療費用は必要

手術後もホルモン治療は継続されます。術後は投与間隔を倍程度に空ける、または投与量を半量にする医療機関もありますが、術後にホルモンバランスが大きく崩れ、無気力やホルモンに関連した疾患にかかりやすくなる、などの理由から、現在は手術前と同量を投与されることが多いようです。

男性から女性への性別適合手術後必要に応じて必要な費用

ホルモン療法により筋肉や体毛の減少、乳房の発達などの効果が現れますが、骨格を変えることはできません。さらに女性的な外見を求める場合には、乳房形成術(豊胸術)、顔貌の女性化手術、声の女性化手術、脱毛などの費用が必要です。

男性から女性への性別適合手術費用は保険適用?

2018年に、性別違和の方に対する性別適合手術が保険適用になり、3割負担で手術が受けられるようになりました。健康保険適用になることで、高額療養費の対象にもなり、自己負担限度額を超えた医療費の自己負担額は払い戻しされます。
しかし、「どの病院で手術を受けても保険適用されるというわけではなく、GID (性同一性障害) 学会が認定した8施設(2023年4月1日現在)で行われる手術のみである」「性別違和の方へのホルモン療法は健康保険の対象ではなく、ホルモン療法を併用した性別適合手術は混合診療になってしまう」という理由から、実際に保険適用で行われた手術はほんのわずかです。

男性から女性への性別適合手術費用は医療費控除の対象になる?

医療費控除とは、その年の1月1日から12月31日までの間に本人、または生計を共にする配偶者、親族のために支払った医療費が一定額を超える場合、その年の所得税から控除され還付されるという仕組みです。性別違和のための精神科受診やホルモン治療、性別適合手術費用は医療費控除の対象になりますので、確定申告の際に申請しましょう。

男性から女性への性別適合手術費用にローンは使える?

多くの方が性別適合手術を受ける時点でホルモン治療を行っており、その場合保険は適用されず自己負担となります。術後も継続するホルモン治療や精神科の診療費も含め、それらは決して軽い負担ではありません。「今すぐまとまった費用が用意できない」「貯金は術後の生活のために取っておきたい」という時は、銀行の医療ローンやフリーローンを活用することができます。使用目的を医療費に限定した医療ローンは、比較的低金利で借りることができるのでおすすめです。病院によっては提携ローンがあり、分割払いが可能なところもあります。ただし、いずれも審査を受ける必要があり、必ず借りることができるわけではありません。

クラウドローンで性別適合手術費用に使えるローンが探せる

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男性から女性への性別適合手術費用は余裕を持った準備が必要

性別適合手術は精神的にも肉体的にも負担の大きい手術です。術後の回復期間や必要なアフターケアは、体質やその時の体調によって大きく変わります。仕事を続けることができるのか、退職しなければならないのかなど、術後の経済状態も様々です。後になって後悔のないよう、経済的にも精神的にも余裕をもって準備をしましょう。


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