2023年01月06日
医療費を分割払いする方法のひとつに「医療ローン」があります。手持ちの資金が無くても治療が受けられますが、分割手数料がかかるため注意が必要です。この記事では、医療ローンの金利相場や手数料の計算方法を紹介するほか、クレジットカードの分割払手数料との比較や手数料がどのくらいかかるかのシミュレーションもおこないます。また、メリット・デメリットを解説するとともに、学生やアルバイトでも借りられるかという疑問にもお答えします。
目次
「医療ローン」とはお金の使い道を医療目的に限定したローンです。歯科医院や美容クリニックなどが提携する信販会社の医療ローン(信販系医療ローン)のほか、銀行が目的別ローンのひとつとして取り扱っているローン(銀行系医療ローン)もあります。
医療ローンは入院治療費などの保険診療だけでなく、次のような保険適用外の自由診療にも利用できます。
保険診療は原則3割負担なのに対して自由診療は全額自費負担となるため、医療費は高額になりがちです。まとまったお金を用意するのが難しいときでも、医療ローンを利用すれば費用を理由に治療を諦めずに済みます。
用途が医療に限定される医療ローンは、目的を問わず使えるカードローンやフリーローンに比べると金利は低めです。また、銀行系医療ローンと信販系医療ローンでは次のような違いがあります。
銀行系医療ローン | 信販系医療ローン | |
実質年率 | 2.5~10%程度 | 4~14%程度 |
審査 | やや厳しい | 通りやすい |
審査にかかる期間 | 数日~2週間程度 | 即日から数日程度 |
銀行系医療ローンは自分で銀行に申し込む必要がありますが、信販系よりも金利は低めです。ただし、審査は厳しめで期間も長くかかります。
信販系医療ローンはクリニックの受付で申し込めるため、手続きの手間が少なくて済みます。金利は銀行系よりも高めですが、手数料を負担してくれるクリニックもあります。
ただし、クリニックが信販会社と提携していない場合は利用することができません。また、どの信販会社と提携しているかはクリニックによって異なり、自分自身で利用する信販会社を選ぶことはできません。
医療ローンを借りると、借りた金額(元本)に分割手数料や利息を上乗せした額を返済します。分割手数料と利息は呼び方は異なりますが、計算方法は同じです。
利息は次の考え方を基本にして計算します。
借入残高 × 金利(実質年率) ÷ 12 × 借入月数 = 利息 |
金利は1年単位で表されるため、12で割って「月利」を出し、月ごと利息を計算します。また、実質年率とは、借入金額の利息に諸経費を加えて計算した「実質上の金利」です。
例えば、金利5%で10万円借りて1ヵ月後に返済する場合の利息は次のように計算します。
100,000円 × 5% ÷ 12 × 1ヵ月 = 416円
しかし、実際は毎月の返済によって元本が減っていくため、計算はもっと複雑です。銀行などのホームページにあるローンシミュレーターを使えば簡単に計算できるので、借り入れ前に利用してみましょう。
高額な治療を受ける際に頼りになる医療ローンですが、メリットだけでなくデメリットもあります。借入前にしっかり把握しておきましょう。
医療ローンの最も大きなメリットは、お金が貯まるのを待つことなく治療を受けられる点です。例えば、AGA治療は始める時期が早い方が治療効果は高くなります。また、歯科矯正や医療脱毛のように時間がかかる治療は、早く始めることでその分結果も早く得られます。
さらに、医療ローンは分割手数料が安めなので、ほかのローンよりも負担を抑えて治療を受けられます。
医療ローンの分割手数料はほかのローンより安めではあるものの、一回払いに比べると返済総額は大きくなります。特に分割回数が多くなると手数料も増えるため、どのくらいかかるのかしっかり確認しましょう。
また、医療ローンを利用するためには審査が必要です。雇用形態や年収などによっては利用できない場合もあります。
医療ローンを契約するには、18歳以上で安定した収入が必要です。これに該当すれば、学生やフリーターでも利用できる可能性は高いです。なお、仕送りや奨学金などは収入とは認められないため、自分自身がアルバイトなどで毎月収入を得ている必要があります。
ただし、銀行系医療ローンは審査が厳しいため、基本的に学生は借りられません。学生が自分の名義でローンを組みたいときは、信販系医療ローンを利用しましょう。また、20歳未満や収入、勤続年数などによっては、親が保証人になることが契約の条件となる場合もあります。
医療費の支払方法として、クレジットカードが使えるクリニックも多いです。一括払いならカードのポイントが付くため現金よりお得で、分割払いも審査や手続きなしで利用できて便利です。
それでは、医療ローンとクレジット分割の手数料を比較するとともに、それぞれどんな人に向いているのか見ていきましょう。
医療ローン | クレジットカードの分割払い | |
実質年率 | 2.5~14% | 12.0~15.0% |
使いみち | 医療目的に限定 | 自由 |
審査 | 必要 | すでに持っていれば不要 |
最大分割回数 | 48、60回など(ローン会社により異なる) | 24、36回など |
医療ローンは医療目的にしか使えず審査も必要ですが、クレジット分割より手数料が安めです。また、クレジットカードよりも最大分割回数が多めで、月々の返済額を抑えることができます。このため、できるだけ手数料を抑えたい人や毎月の返済額をできるだけ少なくしたい人に向いています。
クレジット分割は、すでにカードを持っている人なら特別な手続き不要で利用できます。このため、手間をかけずに分割払いしたい人に向いています。なお、医療費が高くカードの限度額が足りない場合は、カード会社にあらかじめ連絡することで一時的に限度額を引き上げてもらえる場合もあります。
それでは、医療ローンの分割手数料がいくらくらいかかるのか、医療脱毛と歯科矯正を例にシミュレーションしてみましょう。
全身医療脱毛の費用相場は20万円程度といわれています。また、医療脱毛の提携ローンは年利7.5~9%程度が一般的です。そこで、年利9%、12または24回払いにしたときの返済額を見てみましょう。
12回払い | 24回払い | |
毎月の返済額 | 17,490円 | 9,136円 |
返済総額 | 209,880円 | 219,264円 |
分割手数料総額 | 9,880円 | 19,264円 |
24回払いにすると月々の返済額を1万円以下に抑えられるため、収入が少ない人でも安定して返済しやすくなります。ただし、分割回数が多いほど手数料も多くなるため、返済可能な金額と照らし合わせて自分に合った分割回数を選びましょう。
歯科矯正の費用は矯正方法や歯の状態によって差はありますが、100万円程度が目安です。また、歯科医院の提携ローンは5%程度が多いです。そこで、年利5%、36または60回払いにしたときの返済額を見てみましょう。
36回払い | 60回払い | |
毎月の返済額 | 29,970円 | 18,871円 |
返済総額 | 1,078,920円 | 1,132,260円 |
分割手数料総額 | 78,920円 | 132,260円 |
100万円の高額な治療でも、医療ローンを利用すれば毎月の返済額を2~3万円程度に抑えることができます。ただし、元本が大きい分分割手数料も高額になるため、家計に余裕があるときは繰上返済すると良いでしょう。
繰上返済とは、毎月の返済とは別に残りの元本の一部または全額を返済する方法です。前倒しで返済した元本にかかる利息が不要になるため、返済総額を減らすことができます。
医療ローンを契約する前に、まずは繰上返済が可能かどうか確認しましょう。また、繰上返済手数料は、ローン会社により異なります。繰上返済手数料無料の医療ローンであれば、家計に余裕があるときにこまめに返済しやすくなります。
できるだけ利息を抑えて分割払いしたい方は、金利が低めの銀行系医療ローンがおすすめです。
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医療ローンを利用することで、まとまったお金がないときでも治療を受けることができます。しかし、借りたお金に手数料を上乗せして返済する必要があるため、費用が増えるということはしっかり把握しておきましょう。
なお、医療ローンの分割手数料は、ローン会社により異なります。返済総額を少しでも抑えたい方はできるだけ手数料の安い医療ローンを選びましょう。
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「医療ローン」は治療費の分割払いを可能にする手段の一つです。本記事では、医療ローンの特徴や利用方法、金利相場、手数料の計算方法、さらにはクレジットカードとの比較まで詳しく解説されています。特に医療費の高額化に伴い、医療ローンの重要性が増しています。医療ローンは、自由診療や保険適用外の治療にも利用できるため、費用面での心配を軽減することができます。手数料や金利を比較し、自身の状況に合ったローンを選ぶことが重要です。