2024年05月15日
人工透析を始めると、基本的には生涯継続する必要があります。頻繁な通院が必要なため、費用面が心配な方もいらっしゃるのではないでしょうか。この記事では、人工透析にかかる年間費用や自己負担額、人工透析前に必要な初期費用を解説します。また、特定疾病療養受療制度や重度心身障害者医療費助成制度などの費用を抑えるための医療費助成制度や、障害年金、生涯福祉サービスも紹介します。
目次
人工透析とは、体内に蓄積した余分な水分や塩分、老廃物を自分自身の腎臓に代わって取り除く治療で、病院でおこなう血液透析と、自宅でもおこなえる腹膜透析(CAPD)があります。
血液透析は、「人工腎臓」というろ過装置を使って老廃物や余分な水分を排出します。通院により1回約4時間×週3回処置が一般的で、費用は1回あたり約3万円です。標準的な頻度で計算すると、1ヵ月約40万円、年間約480万円の医療費が必要になります。
腹膜透析は、自身の「腹膜」という組織を利用して老廃物や余分な水分を排出します。自宅でおこなえるため頻繁な通院は不要ですが、透析液バッグやカテーテルなどの費用がかかります。これにより、1ヵ月あたり30〜50万円、年間360~600万円程度の医療費がかかります。
人工透析を続けていると心臓や血管などの病気のリスクが高まるため、定期的な検査が必要です。また、糖尿病など透析の原因となった病気も並行して治療するケースが多いため、これらの費用を合算すると透析患者1人当たりの年間医療費は500~600万円程度となります。
日本人1人あたりの年間医療費は約30万円、65歳以上に限定しても約70万円なので、透析患者の500~600万円という金額は非常に高額といえます。
透析患者の医療費は年間500~600万円程度で、仮に公的医療保険の自己負担割合を3割で計算すると150~180万円です。このような高額な費用は患者やその家族にとって大きな負担となるため、次のような医療費助成制度が用意されています。
それぞれの医療制度の概要を見ていきましょう。
「特定疾病療養受領制度」とは、特定の病気により長期に渡る継続的な治療が必要な方を対象とした制度です。医療機関で保険証と一緒に特定疾病療養受療証を提示することで、自己負担額を1つの医療機関につき月額1万円(所得によっては2万円)に抑えることができます。
特定疾病療養受療証の交付を受けるには、国民健康保険に加入している方は自治体の国民健康保険課、会社員の方は健康保険組合など、加入する公的保険制度の窓口に特定疾病認定申請書を提出します。適用は発行手続きをした申請月の初日からで、申請月以前については適用されないため、早めの手続きが大切です。
「重度心身障害者医療費助成制度(重度医療)」とは、心身に重度の障害を持つ方の医療費の自己負担額を自治体が負担する制度です。身体障害者手帳1、2級(一部の県のみ3級)の方が対象で、すべての医療費の自己負担額が無料、あるいは低額(自治体により異なり500円程度)になります。
人工透析をおこなっている方は、申請すればほぼ自動的に「身体障害者1級」に認定されますが、重度医療は所得制限など自治体ごとに要件があります。また、入院時の食事代や差額ベッド代などは保険診療の対象外のため自己負担が必要です。なお、原則県外では利用できません。
重度障害者医療費受給者証の交付を受けるには、市区町村の障害者福祉課に身体障害者手帳や前年の所得証明などの必要書類を提出して申請します。
自立支援医療(更生医療)制度とは、身体障害者手帳の交付を受けた方の日常生活能力や職業能力の回復を目的とした制度です。自立支援医療機関の指定を受けた医療機関での治療が対象で、世帯所得に応じた負担上限額を超えた分は国が負担します。
重度医療と異なり一定の所得があっても利用でき、自立支援医療と重度医療のどちらも対象の方は、自立支援医療によって軽減された自己負担金を重度医療でさらに軽減することができます。
人工透析は各種の医療費助成制度により少ない負担で受けられます。しかし、人工透析には時間がかかるため、現役世代の方は仕事に制限が生じて生活費が不足することも。安心して人工透析を受けられるよう、生活費をサポートする制度についても確認しておきましょう。
「障害年金」とは、病気やけがなどで日常生活や仕事に制限を受けたときに受給できる年金です。原則20歳から65歳になるまでが対象で、障害の程度や年金加入期間などの要件を満たしていれば、所得の有無に関わらず受給できます。
人工透析を受けている方の障害年金の等級は原則2級で、受給金額は障害基礎年金と障害厚生年金で異なります。障害基礎年金のみで加算対象となる子どもがいない場合、2級の方の2024年度の受給額は1ヵ月あたり68,000円です。障害厚生年金の月額は保険加入期間や平均標準報酬額によって異なりますが、一般的には会社勤めの期間が長く給与が高い人ほど多く受け取れます。
障害年金受給の手続きは年金事務所でおこないます。基礎年金番号が分かる書類のほか複数の書類が必要で、障害や加入している年金によっては書類の書式が異なるため、まずはお近くの年金事務所に相談してみましょう。
身体障害者手帳を取得すると、さまざまな障害福祉サービスが受けられます。サービスの名称やサービス内容は都道府県や市区町村によって異なりますが、代表的なものに電車やバス、タクシーなどの割引があります。
さらに、市区町村によっては人工透析の通院にかかる交通費の助成を実施している場合もあります。詳しい内容はお住いの市区町村の障害者福祉課に問い合わせるか、ホームページなどでご確認ください。
人工透析治療を受けるには、十分な血液を確保するために静脈を動脈に縫い合わせてつなぐ「シャント手術」が必要です。医療機関により日帰り手術に対応している場合と、入院での手術が必要な場合があります。3割負担の方の自己負担額は、日帰り手術で5~6万円程度、入院手術は入院日数にもよりますが10万円前後です。
初回の人工透析治療は、体調の急変に備えるために入院しておこなうのが一般的です。入院期間はシャント手術が済んでいる場合は1~2週間程度ですが、シャント手術と合わせておこなう場合は3週間~1ヵ月程度です。入院費用は日数により異なりますが、2週間で約20万円が目安です。
このように、人工透析治療を受けるには15~30万円程度の初期費用が必要です。しかし、特定疾病療養受療制度は人工透析治療を受けてからでないと申請できないため、シャント手術には適用されません。
人工透析には15~30万円程度の初期費用がかかります。この負担を軽減するために利用できる制度やサービスを確認しておきましょう。
「高額医療費制度」とは、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費がひと月あたりの上限額を超えると、超えた額が払い戻される制度です。ひと月あたりの上限額は、上の表のとおり年齢や所得によって異なります。
複数回の受診や同じ公的医療保険に加入する家族分の合算が可能なため、1回の支払いで上限を超えなくても対象となる場合もあります。ただし、70歳以上は1ヵ月で支払った自己負担額をすべて合算できますが、69歳以下は医療機関別、入院・外来別で計算し、21,000円以上の分のみ合算されます。
なお、高額療養費の対象は保険診療分のみのため、食事代や差額ベッド代、診断書などの文書料は対象外です。
シャント手術や透析のための入院費用は、生命保険や医療保険、県民共済などの給付対象になる場合があります。給付要件は契約内容により異なるため、契約書で確認するか加入する保険会社等のコールセンターにお問い合わせください。
人工透析は医療費の助成制度によって少ない費用負担で受けられますが、治療開始時は手術や入院にまとまった費用が必要です。高額療養費制度や保険の給付金は基本的に後払いのため、利用できたとしても一時的に生活資金が不足することがあります。
人工透析の初期費用が足りないときは、医療ローンやフリーローンといった銀行ローンの利用も検討してみましょう。医療ローンは用途を医療目的に限定したローン、フリーローンは用途を限定せず多目的に使えるローンで、どちらもクレジットカードキャッシングや消費者金融のカードローンに比べて金利は低めです。
医療ローンやフリーローンを手間をかけずに探すなら、クラウドローンがおすすめです。希望の借入条件を登録すれば、融資可能な複数の銀行からプランの提案を受けられます。銀行窓口に行かずに契約できるので、平日の日中に時間が取れない方でも利用できます。まずは、無料診断やシミュレーションからお試しください。
人工透析は年間500~600万円程度の高額な治療費がかかります。しかし、その多くは医療費助成制度でまかなわれるため、実際に支払う自己負担額は無料または少額です。また、人工透析をしている方は、年金加入期間などの要件を満たしていれば障害年金を受け取れます。
制度を利用するために必要な手続きは、お住まいの地域や加入する公的医療保険によって異なります。また、自治体によっては人工透析の費用に独自の助成を実施している場合もあります。安心して人工透析を受けられるよう、対象となる制度についてあらかじめ調べておきましょう。
「どの銀行が融資をしてくれるか分からない」をクラウドローンが解決
クラウドローン(https://pre.crowdloan.jp/)は、個人が銀行から低金利でマイカーローン、教育ローンなどの融資を受けられる国内唯一のプラットフォームです。
融資の目的や時期、金額などをクラウドローンに登録すると、各銀行が融資可能な金額や金利のプランの直接提案してくれます。時間と労力をかけずに複数の銀行からより条件のよい融資を見つけることができます。
詳しくはこちら
クラウドローンとは
“借りたい”を登録して
お得な提案を待つだけ
融資をしたい銀行から、直接プラン提案を受けることで、
資金を必要としている一人でも多くの人に、融資の機会を提供します。