2023年11月28日
これまでの日本では、お墓といえば、代々受け継がれた家族墓が一般的でした。しかし、「子や孫に負担をかけたくない」「いずれは自然に帰りたい」「大好きな海や山で眠りたい」などの理由から、近年、散骨への注目が高まっています。また、核家族化や継承者不在など、様々な事情でお墓の管理が難しくなり、墓じまいをする方が増えている中、その後の選択肢として散骨を選ぶ人も増えています。
ここでは、散骨の中でも特に人気のある海洋散骨について、費用や手順などを詳しくご説明します。
目次
散骨とは、火葬した遺骨を細かくパウダー状に砕き、海や山へと撒く自然葬のひとつです。一般的なお墓で必要な土地や墓石の購入費用、維持費、お布施などが一切かからない散骨は、できるだけ費用を抑えたい、家族に負担をかけたくないという人たちの間で需要が高まっています。最も一般的な海洋散骨の他に、山や森林での山林散骨やロケットを使った宇宙散骨、セスナ機やヘリコプターをチャーターする空中散骨などがあります。
散骨は違法ではありません。
日本の法律には「墓地・埋葬等に関する法律」があり、許認可を受けた墓地でしか遺骨を埋葬することができません。しかし、粉末化した遺骨を埋めることなく撒く「散骨」に関しては、節度をもって行われる限り規制する法律はありません。
ただし、遺骨のまま散骨すると「遺骨遺棄罪」に抵触する恐れがありますので、必ず粉末状にする必要があります。また、散骨が禁止されている自治体での散骨や、散骨した骨に土をかけたり、記念樹や墓標を立てる行為も違法になりますので注意が必要です。
海洋散骨の場所に関しては明確な法規制は存在しませんが、人や環境へ配慮して行うことが大切です。
一般の方の目に触れることがないよう、海水浴場や漁場から離れた場所で行いましょう。漁業権が存在する海に散骨すると、漁業権者から、慰謝料請求や風評被害に対する損害賠償請求をされる可能性があります。
また、フェリーや遊覧船からの散骨はマナーに反しますので、専門業者に依頼するか、専用の船をチャーターする必要があります。
自治体によっては、散骨の禁止や、散骨の際に申請が必要な条例を設けているところもありますので、前もって確認しておきましょう。
個人で海洋散骨を行うことは可能です。しかし、遺骨の粉砕や船舶の手配、操縦、散骨可能なエリアの選定など、様々なことを考慮しなければならず、時間や手間、費用が掛かります。
業者に依頼する場合、親族だけで船をチャーターするプランや、複数の家族が合同で乗船するプランなど、予算に合わせて選ぶことができるので、個人で行うより費用を抑えられる可能性があります。
海洋散骨を業者に依頼した場合、大きく分けて以下の3つの方法があり、予算や希望に合わせて選ぶことができます。
では、それぞれの特徴や費用相場を見てみましょう。
遺族や親族など、近親者のみで船をチャーターして散骨を行うプランです。
身内だけで故人を弔うことができる、散骨場所や時間の融通がきく、希望に沿った演出をお願いできるなどのメリットがありますが、船のチャーター費用やスタッフの費用、燃料費を1家族で負担することになるため、他のプランに比べて高額になります。
複数の遺族で同じ船を利用するプランです。
散骨にかかる費用を複数の遺族で分担するので、貸切散骨より費用を抑えることができますが、1家族につき乗船できる人数が限られてしまう、時間や場所の融通が利かないというデメリットがあります。定員に満たなければ出航しない、という業者もあり、希望の日程に行えなかったり、長く待たされることもあるようです。
何らかの理由で遺族が参加できない場合に、遺族に代わり業者スタッフが代理で散骨を行うプランです。複数の遺骨を業者のスケジュールで散骨するため、費用を抑えることができます。実際に散骨する様子を確認することができないので、信頼できる業者を選ぶことが大切です。後日、散骨地点の証明書の発行や散骨時の写真を届けてくれるサービスを行っている業者もあります。
海洋散骨を業者に依頼した場合のおおよその費用は上記の通りですが、業者への支払いには含まれない諸費用は、どの程度用意しておく必要があるのでしょうか。
散骨をする場合、遺骨は2mm以下の大きさに粉骨するというルールが一般的です。粉骨費用は、パック料金に含まれている業者と別途設定している業者があります。別料金の場合、おおよそ1~4万円程度かかります。骨壺のサイズにより費用が変わる業者もあります。
散骨を希望する場所によっては、現地までの移動費用や宿泊費がかかる場合があります。
散骨の基本プランに加え、僧侶が一緒に乗船し供養していただくプランや、散骨後に船上で会食を行うプラン、献花に故人が好きだった花を加えるオプションなどを用意している業者もあります。それに応じて別途、住職へのお布施やオプション費用が必要です。また、遺骨全てを散骨するのではなく、追加料金で一部を人工宝石に加工したり、小さな骨壺に納めるサービスもあります。
日本では、海洋散骨を行う際に申請や手続きは必要ありません。ただし、遺骨が誰のものであるかを確認するための書類として、埋葬許可証の提出を求める業者があります。
また、全部を散骨するのではなく遺骨の一部を手元に残す場合、後日埋葬する可能性があるので、埋葬許可証、または分骨証明書を保存しておく必要があります。
既に埋葬された遺骨を、墓じまいをして散骨する場合は、故人の身元確認のための埋葬許可証の代わりに改葬許可証を求められることがあります。
市役所の窓口に死亡届を提出する際、合わせて火葬許可申請書を提出すると、その場で火葬許可証が発行されます。火葬当日、火葬場に火葬許可証を提出すると、火葬終了後に印が押されて返却されます。それが埋葬許可証となります。
分骨された遺骨を埋葬する際に必要な証明書です。火葬場の時点で分骨が決まっている場合は、火葬場で発行してもらうことができます。既に埋葬されている遺骨を分骨する場合は、墓地の管理者に発行してもらいます。
改葬許可証の申請には、現在納骨されている墓地の管理者に発行してもらう埋葬証明書と、新しい墓地の管理者からの受入許可書が必要です。散骨の場合、受入許可書を発行してもらうことができないので、改葬許可証が発行されないことが多いようです。その場合、現在の墓地の管理者に遺骨引渡証明書を発行してもらい、代用することも可能です。
また、自治体によっては改葬許可証発行の対応をしてくれるところもあるので、現在埋葬されている墓地がある市区町村の自治体に問い合わせてみましょう。
海洋散骨を請け負っている業者は多数あります。その企業の規模や信頼性、スタッフの対応、金額、サービス内容などをしっかり比較して選びましょう。
では、具体的にはどのような項目を比較検討すればよいでしょうか。
業者によって、散骨を行っているエリアが異なります。まずは故人や遺族が希望する地域で散骨を行っている業者を探しましょう。もし希望のエリアで散骨を行っている業者がいない場合、その海域に詳しい業者を探すのもひとつの方法です。
散骨に関する法律や規定はありません。ですが、トラブルなく穏やかな気持ちで葬送を行えるよう、しっかりとルールを守ってくれる業者かどうかを確認しましょう。
2021年3月31日、厚生労働省が散骨事業者を対象とした「散骨に関するガイドライン」を発表しました。
これらの項目を守っているかを確認することで、優良な業者を選ぶ判断基準となるかもしれません。
散骨証明書は公的な書類ではありませんが、厚生労働省の散骨に関するガイドラインに「散骨事業者は、散骨を行った後、散骨を行ったことを証する散骨証明書を作成し、利用者に交付すること」と明記されています。
個人名、散骨日時、散骨地点の緯度、経度などが記載された、散骨業者から利用者に発行される証明書で、間違いなく散骨したという証明になります。また、遺族は法事やお参りの際、いつでも同じ場所を訪れることができます。散骨した場所が記された海図や、散骨時の写真、散骨時の海の様子や天気、水温などを記してくれる業者もあります。業者によってサービス内容が異なりますので、事前に確認しておくとよいでしょう。
一般の家族墓や納骨堂などに比べ、葬送費用を抑えることができる海洋散骨ですが、それでも船のチャーター費や燃料費、粉骨代などのまとまった費用が必要です。かといって、安さだけを重視して業者を選ぶと、希望するサービスを受けられなかったり、後々トラブルに発展してしまうことも。では、満足のいく葬送をかなえつつ、費用を抑えるにはどんな方法があるでしょう。
業者によって費用やサービス内容、オプションサービスなどが異なりますので、故人の意向や家族の希望を考慮しつつ、複数の業者を比較し、サービスを取捨選択することで費用を抑えることができます。資料請求や見積もりを取りよせ、料金が明確か、基本料金には何が含まれるのかなども確認しておくと良いでしょう。
先述した通り、貸切散骨に比べ、複数の遺族で乗り合わせて散骨する合同散骨や、遺族が同乗せず散骨を業者に任せる代行散骨は、大きく費用を抑えることができます。散骨海域や時間帯、サービス内容が希望に合っていれば、低価格で納得のいく葬送を行うことができるかもしれません。
海洋散骨や、葬儀、改葬など、祭祀事にかかる費用が今すぐ用意できない、という方は、銀行が取り扱うメモリアルローンを利用する方法があります。メモリアルローンとは、葬儀やお墓の購入などに目的を限定したローンです。用途が限定されるため金利や審査基準が低めに設定されていますが、「建墓ローン」や「葬儀ローン」など、より目的を絞って提供されているものが多いので、その中から海洋散骨に活用できるものを探す必要があります。
フリーローンなら目的を限定する必要がないため、改葬や散骨の費用として利用することができます。
メモリアルローンがどの銀行で借りられるかわからない、という時は、是非クラウドローンを活用してみてください。使用目的や借り入れ希望金額を入力するだけで、複数の銀行が直接プランを提案してくれるので、金利や借入期間などを比較しながら検討できて便利です。また、申し込みから契約まで全てWEBで完結するので、葬送の手配で忙しい中、時間を節約することができます。
自然に還りたい、大好きな海で眠りたい、という願いをかなえることは勿論のこと、土地や墓石の購入費や維持管理費がかからず、費用を抑えて故人を供養することができる、という大きな利点がある海洋散骨。再び遺骨を手元に戻すことはできないというデメリットも踏まえたうえで、皆が納得できる葬送の方法が選べるよう、家族間でしっかりと話し合うことが大切です。
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最近、散骨に注目が集まっています。特に海洋散骨は、代々受け継がれる家族墓の代わりに選ばれることが増え、核家族化や継承者不在の影響もあります。散骨は土地や墓石の購入費、維持費が不要で、自然に帰るという選択を可能にします。この記事では、海洋散骨の費用や手順について分かりやすく解説しており、負担をかけたくないと願う人々にとって役立つ内容となっています。