補助金は、事業を実施して経費を払い終えたあとに受け取るのが基本です。小規模事業者持続化補助金の公募要領も「補助金は後払いです」と明記しています。採択されても、設備や広告の代金はいったん事業者が全額を支払う必要があります。
入金までの資金は、自己資金か借入で用意するのが基本です。借入を使う場合は、交付決定を受けてから金融機関に相談し、補助金の入金を返済原資にした計画を組みます。
採択された時点では入金額は決まっておらず、実績報告後の確定検査で減ることもあります。本記事では2026年時点の公募要領で流れを確かめ、つなぎ資金の手当てと試算を整理しました。
補助金が入金されるまでの流れ
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(以下、ものづくり補助金)の第23次公募要領は、流れを4段階で示しています。申請して採択されたら、交付申請をして交付決定を受けます。事業を実施して実績報告を出すと、確定検査を経て補助金の額が決まる仕組みです。最後に事業者が請求し、事務局から支払われます。
持続化補助金(第20回公募、第8版)とデジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金、通常枠)も、交付決定、事業実施、実績報告、額の確定、交付という順番は同じです。持続化補助金の要領は、交付決定までに採択発表から概ね1〜2か月かかる場合があるとしています。ものづくり補助金のよくある質問には、実績報告から額の確定までにおよそ1か月程度かかることもある、という回答があります。
取得した3つの公募要領の範囲では、事業の途中で補助金の一部を先に受け取る概算払いの規定は確認できませんでした。資金計画は、全額を立て替える前提で立てておくと安全です。
交付決定前の契約と支払い方法に注意する
補助対象になるのは、原則として交付決定日以降に発注・契約・支払いをした経費です。持続化補助金の要領は、採択通知書だけでは補助事業を始められないと明記しています。ものづくり補助金も、交付決定日より前に発注・契約・購入した経費は、いかなる理由があっても対象外としています。制度によっては限られた例外もあります。持続化補助金では、展示会出展の申込みに限り交付決定前でも対象です。ただし、請求書の発行が交付決定日以後であることが条件となります。
支払い方法にも条件があります。持続化補助金は銀行振込が大原則で、1取引10万円超(税抜)の現金払いは原則認められません。ものづくり補助金は事業者名義の銀行振込で支払いを確認し、現金とクレジットカードは原則不可です。デジタル化・AI導入補助金は、原則として銀行振込かクレジットカード1回払いに限っています。持続化補助金は、小切手・手形・相殺による支払いも認めていません。
消費税も補助の対象外です。3つの要領とも、消費税等を補助対象外としています。持続化補助金では、免税事業者などが消費税込みで申請し、その内容で交付決定を受けた場合に限り例外があります。
補助率と上限額(2026年時点の公募要領)
補助金額は、補助対象経費に補助率を掛けた額と上限額のうち、低い方になります。制度ごとの補助率と上限は次のとおりです。いずれも申請枠や特例で変わるため、申請する回の公募要領を必ず確認してください。
| 補助金(確認した要領) |
補助率 |
上限額 |
| 持続化補助金 一般型通常枠(第20回、2026年7月21日 第8版) |
2/3(賃金引上げ特例のうち赤字事業者は3/4) |
50万円(インボイス特例で50万円、賃金引上げ特例で150万円の上乗せ) |
| ものづくり補助金 製品・サービス高付加価値化枠(第23次、2026年2月6日) |
中小企業1/2、小規模企業・小規模事業者と再生事業者2/3 |
従業員1〜5人で750万円から51人以上で2,500万円(下限100万円) |
| デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠(2026年2月27日作成、8月28日改訂) |
1/2以内(一定の最低賃金要件を満たす場合は2/3以内) |
5万円〜150万円未満、または150万円〜450万円以下 |
試算 300万円の事業で先に必要なお金
ここでは仮の例として、従業員5人以下の小規模事業者がものづくり補助金(補助率2/3、上限750万円)で機械を導入する場面を考えます。補助対象経費は300万円(税抜)、消費税率は10%と仮定します。比較のため、同じ300万円を持続化補助金の通常枠(上限50万円)で申請した場合も並べました。
| 項目 |
ものづくり補助金(2/3・上限750万円) |
持続化補助金 通常枠(2/3・上限50万円) |
| 先に支払う額(税込、仮定) |
330万円 |
330万円 |
| 補助金額(交付決定どおりの場合) |
200万円 |
50万円 |
| 最終的な自己負担(税込) |
130万円 |
280万円 |
| 200万円を年4%(仮定)で借りた利息・入金まで8か月(仮定) |
53,333円 |
なし |
| 同・入金まで12か月(仮定) |
80,000円 |
なし |
ものづくり補助金の例では、300万円×2/3=200万円で上限内に収まります。持続化補助金では、計算上の200万円が上限の50万円で頭打ちになります。
補助率が同じでも、上限額の違いで自己負担は大きく変わるわけです。
利息は、200万円を一括返済で借りたと仮定し、200万円×年利×借入月数÷12で計算しました。円未満は切り捨てています。年4%は試算用の仮定です。参考までに、日本政策金融公庫国民生活事業の基準利率は、無担保・税務申告2期以上で年4.05〜5.65%です(令和8年10月1日現在)。実際の金利と期間は、金融機関の審査と補助事業の進み方で変わります。
つなぎ資金をどこに相談するか
まず考えるのは、取引のある金融機関のつなぎ融資です。信用保証協会には、補助金の交付決定を受けた事業者向けの保証制度を設けているところがあります。千葉県信用保証協会の「セットアッパー」は、補助金・助成金が交付されるまでの資金繰りを支える制度です。保証限度額は一般枠で8,000万円、保証期間は24か月以内で、返済は原則一括です。補助金・助成金の申請書類と交付決定書の写しが必要になります。
山梨県信用保証協会の「補助金連携支援保証」は、短期と長期の2種類に分かれています。短期は補助金入金までのつなぎ資金、長期は必要経費から補助金交付決定額を差し引いた自己負担分が対象です。この区分は、資金計画を立てるときにも役立ちます。
補助金で返す借入と、自分の利益で返す借入は、返済期間を分けて考えましょう。制度の名称や条件は協会ごとに異なるため、所在地の協会と金融機関に確認してください。
日本政策金融公庫では、補助金つなぎ専用の制度は確認できませんでした。一般貸付には、運転資金4,800万円(5年以内、うち据置1年以内)や設備資金4,800万円(10年以内、うち据置2年以内)の枠があります。補助事業に使う資金を相談できるかは、支店で確認してください。どの制度でも、審査の結果によっては希望に沿えない場合があります。設備の契約前に資金を準備する手順は
個人事業主の厨房機器入れ替え、設備資金は契約・支払いの前にどう準備する?でも解説しています。
補助金を返済原資にするときの注意
補助金額は、交付決定どおりに入るとは限りません。持続化補助金の要領は、実績報告時に要件を満たしていないと認められた場合、交付決定額より少なくなることがあると定めています。ものづくり補助金でも、交付決定の段階で申請額から減額または全額対象外となる場合があります。先の試算で確定額が180万円になると、借りた200万円との差額20万円は自己資金で返さなければなりません。
入金時期が遅れることも想定してください。実績報告書の不備で訂正を求められれば、額の確定が後ろにずれる可能性があります。
つなぎ融資の返済期日は、入金予定日ぴったりに置かず、余裕を持たせて設定してください。見積書や振込記録などの証拠書類を事業中からそろえておくと、実績報告の手戻りを減らしやすくなります。
採択された段階で、自己負担分と消費税分を払えるかを確認しておきましょう。払えない場合は、事業規模を見直す方法もあります。補助金で返す部分と、本業の利益で返す部分を分けて計画すると、借り過ぎを防げます。
保証協会付き融資などの公的な窓口と並べて、民間金融機関の提案も比較したい場合は、
Tasukari(タスカリ)も選択肢の一つです。CrowdLoanが運営する小規模事業者向けの融資マッチングサービスで、保証会社の事前審査の結果を見た複数の銀行から融資条件の提案が届きます。診断と事前審査は無料ですが、審査は保証会社と金融機関が行うため、融資の可否や金利、提案の数を約束するものではありません。
出典・確認先
調査日:2026年10月8日。補助率・上限額・金利・保証制度の条件は公募回や改定で変わるため、申請や相談の前に最新の公募要領と各機関の案内を確認してください。
「どの銀行が融資をしてくれるか分からない」をクラウドローンが解決
クラウドローン(https://crowdloan.jp/)は、個人が銀行から低金利でマイカーローン、教育ローンなどの融資を受けられる国内唯一のプラットフォームです。
融資の目的や時期、金額などをクラウドローンに登録すると、各銀行が融資可能な金額や金利のプランの直接提案してくれます。時間と労力をかけずに複数の銀行からより条件のよい融資を見つけることができます。
詳しくはこちら