日本学生支援機構(JASSO)の貸与奨学金は、卒業後に返す奨学金です。利子のない第一種、利子のある第二種、入学直後に一度だけ上乗せされる入学時特別増額貸与奨学金の3種類があります。
3つは金額の決まり方も、利子の扱いも、入金のタイミングも違います。2027年度に進学する人向けの資料をもとに3種類を比べます。あわせて、返還の始まり方と、入学前に必要な資金をどう用意するかを整理します。情報は2026年10月8日時点のものです。
目次
第一種奨学金は利子がつかない代わりに、学力と家計の基準が厳しめです。月額は進学先と通学形態ごとに決まった額から選びます。第二種奨学金は利子がつき、月額を2万円から12万円まで1万円単位で選べます。
| 種類 | 利子 | 金額 | 振込 |
|---|---|---|---|
| 第一種奨学金 | なし | 私立大学の最高月額は自宅5万4,000円、自宅外6万4,000円 | 原則毎月1回 |
| 第二種奨学金 | あり | 月2万〜12万円(1万円単位) | 原則毎月1回 |
| 入学時特別増額貸与奨学金 | あり | 10万〜50万円(10万円単位) | 初回振込時に1回だけ |
第一種の最高月額は、第一種と第二種を併せて借りる場合の家計基準を満たす人が選べます。それ以外の人は、2万円や3万円などの月額から選びます。国公立大学の最高月額は、自宅通学で4万5,000円、自宅外通学で5万1,000円です。
給付奨学金や授業料等の減免と第一種を同時に使う場合は、第一種の月額が調整されます。調整の結果、同時に利用している間の第一種の月額が0円になることもあります。
第一種の学力基準は、高校1年から申込時までの評定平均値が5段階で3.5以上です。家計が特に厳しい人などは、学修意欲が確認できれば3.5未満でも対象になります。第二種の学力基準は、学習成績が平均水準以上であることなどです。
家計基準は、生計維持者の所得から計算する貸与額算定基準額で判定します。JASSOの目安では、本人と給与所得の親2人、中学生の4人世帯を例にしています。この場合の年収上限は、第一種が803万円、第二種が1,250万円です。併用する場合は743万円になります。親の一方の収入を300万円とした例で、世帯構成によって上下します。
入学時特別増額は、第一種か第二種と一緒にしか借りられません。単独では利用できず、入学後の初回振込に1回だけ上乗せされます。
この奨学金は、日本政策金融公庫の国の教育ローンを申し込んで利用できなかった世帯の人が対象です。採用候補者の通知に「国の教育ローンの申込:必要」とある場合は、進学前に保護者が国の教育ローンを申し込む必要があります。予約採用の申込時に申告した家計収入が一定以下なら、この手続きを省略できます。
国の教育ローンの融資を受けられた場合、入学時特別増額は辞退が必要です。断られた場合は、公庫から届く通知の日付を進学届に入力するので、通知を保管しておきましょう。
第二種と入学時特別増額の利率は、借りた時点ではなく貸与が終わる時点で決まります。申込時に、返還完了まで同じ利率を使う利率固定方式か、おおむね5年ごとに見直す利率見直し方式を選びます。在学中は利子がつきません。
利率には年3.0%の上限があります。参考として、2026年9月に貸与が終わった人の利率は、固定方式で年3.000%、見直し方式で年2.400%でした。入学時特別増額の部分は、基本の利率に0.2%を加えた利率で計算します。ただし、財政融資資金の利率が3.1%を超える場合は、財政融資資金の利率がそのまま適用されます。2026年9月終了者の場合は固定方式で年3.322%、見直し方式で年2.600%でした。
2027年度に進学する人が卒業するのは早くても数年後です。その時点の利率は誰にも分からないため、上記は参考値として読み、返還額は上限の3.0%でも試算しておくと安心です。
返還は貸与が終わった月の翌月から数えて7か月目に始まります。3月に卒業すれば、その年の10月が最初の返還月です。第一種は所得に応じて返還額が変わる所得連動返還方式も選べますが、第二種は定額返還方式だけです。
貸与奨学金も入学時特別増額も、振込は進学後です。4月分の振込日は4月21日、5月分は5月16日で、進学届の提出時期によって初回の月が決まります。初回が5月以降なら、4月分からまとめて振り込まれます。
以下は仮定の例です。第二種を月5万円、入学時特別増額を30万円借り、初回振込が5月16日だったとします。この日に入る額は、第二種の4月分と5月分の10万円に30万円を加えた40万円です。機関保証を選んだ場合は、保証料が奨学金から差し引かれるため、実際の振込額はこれより少なくなります。
一方、入学金や前期授業料は、合格後の入学手続きの時点で納付を求められることが一般的です。納付期限が進学前なら、30万円の入学時特別増額があっても支払いには間に合いません。期限は学校ごとに違うので、募集要項で確認してください。
この時期のずれを埋める仕組みが、労働金庫の入学時必要資金融資です。入学時特別増額の採用候補者が、進学後に入る増額分で一括返済する約束で、進学前に借りられます。借りられる額は、入学時特別増額で申し込んだ額が上限です。
まずは返済不要の給付奨学金や授業料減免の対象にならないか確認してください。次に、進学先に入学金や授業料の納付猶予があるかを問い合わせます。そのうえで、貸与奨学金と国の教育ローンの組み合わせを考えます。
国の教育ローンは保護者が借りる制度で、合格発表前でも申込みが可能です。金利は2026年10月8日の確認時点で年4.05%の固定金利です。2026年2月2日時点のJASSO資料では年3.55%と記載されており、半年ほどで変わっています。借入日の金利が適用されるため、申込み前に最新の値を確認してください。
貸与奨学金は子ども本人が返し、教育ローンは保護者が返します。誰が、いつから、毎月いくら返すのかを家族で書き出してから借入額を決めると、借りすぎを防げます。
返済不要の支援を先に探すなら、JASSO給付奨学金の予約採用も確認してください。貸与型と給付型では、卒業後の負担が大きく異なります。
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