2023年11月30日
親の介護が必要になったとき、どんなことが必要でどのくらい費用がかかるのでしょう。これまで介護に関わりがなかったひとにとっては戸惑うことが多いのではないでしょうか。
介護の費用は、要介護度や利用するサービス、施設などによって異なります。また、介護される本人の希望や、家族の状況によっても介護にいくらかけられるかは変わってきます。
この記事では、介護にかかる費用の目安や、費用を抑えるためのポイントについて解説します。
目次
介護のサービスを受けるためには、介護保険を利用することになります。介護保険には要介護認定の区分によって利用限度額が設定されているので、介護が必要になったら、まず要介護認定を受けます。
介護サービスの自己負担額は1割〜3割です。その割合は「合計所得金額」と「65歳以上の方の世帯人数」によって決定します。合計所得には「年金収入(遺族年金と障害者年金を除く)」と「それ以外の所得」が該当し、現役並みの所得がある高齢者の自己負担割合は2〜3割になります。
<要支援・要介護度別 月あたりの支給限度額>(2023年10月末時点)
介護度 | 給付限度額 | 1割負担額 | 2割負担 | 3割負担 |
---|---|---|---|---|
要支援1 | 50,320円 | 5,032円 | 10,064円 | 15,096円 |
要支援2 | 105,310円 | 10,531円 | 21,062円 | 31,593円 |
要介護1 | 167,650円 | 16,765円 | 33,530円 | 50,295円 |
要介護2 | 197,050円 | 19,705円 | 39,410円 | 59,115円 |
要介護3 | 270,480円 | 27,048円 | 54,096円 | 81,144円 |
要介護4 | 309,380円 | 30,938円 | 61,876円 | 92,814円 |
要介護5 | 362,170円 | 36,217円 | 72,434円 | 108,651円 |
要介護認定の区分は、本人の身体的問題の有無・認知症の有無などによって分けられます。要支援1・2もしくは要介護1〜5と認定されると、介護保険サービスを利用できるようになります。
上の表のように、介護費用の給付限度額は要介護認定の介護度に応じて異なります。もし、給付限度額を超えて介護サービスを利用した場合、超過分は全額自己負担(10割)となるので注意が必要です。
生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」/2021(令和3)年度より参照
介護を在宅でするのか、施設にお願いするのかによって介護費用は大きく異なります。上の表では在宅では平均4.8万円、施設では平均12.2万円となっていて、施設の場合は在宅の倍以上かかっています。在宅介護の場合は施設の利用料金や家賃などの支出がありませんが、施設を利用すると、介護保険の施設介護サービス費の自己負担分のほかに、全額自己負担の家賃や管理費、食費、その他のサービス費用などがかかるためです。この点が大きな違いとなっています。
在宅介護では家族が介護することでさまざまな出費をおさえることができます。しかし、介護する家族には精神的にも肉体的負担にも大きな負担がかかります。また、介護の知識がない場合は、介護されるひとの状態を悪化させてしまう可能性もあります。
費用面だけで在宅介護を選択するのではなく、介護されるひとの状態や家族の状況に応じて、さまざまな介護サービスの利用や施設の利用を検討しましょう。そして、介護するひとにかかる負担を軽減させることが大切です。
<介護期間の割合>
6カ月未満 | 6カ月~1年未満 | 1~2年未満 | 2~3年未満 | 3~4年未満 | 4~10年未満 | 10年以上 | 不明 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
3.9% | 6.1% | 10.5% | 12.3% | 15.1% | 31.5% | 17.6% | 3.0% |
上の表によると、家族の介護をした期間の平均は61.1カ月(約5年1カ月)となっています。「4〜10年未満」が約3割で最も多く、4年以上介護した人の割合で見ると約5割となり、全体の半分を占めています。
介護には継続的に費用がかかるため、介護期間が長ければそれにともなって費用に影響がでます。また、平均寿命が長くなっていることで介護期間が長期化している状況にあります。介護にかかる期間を多めに見積もっておく必要があります。
介護をするためには介護用品が必要になったり、それに加えて医療費もかかります。また、在宅で介護をする場合、仕事を休まなければならなくなることがあります。このような介護に関連する困りごとを軽減するために、さまざまな制度があります。介護をしているひとの中には、制度の利用条件に該当しているにもかかわらず、そのような制度があることを知らないために活用できていない場合が少なくありません。
介護費用を軽減する制度や補助金について知って、介護の負担を少しでも軽くしましょう。
自己負担した分が限度額を超えた場合に払い戻しを受けられる3つの制度について解説します。
介護事業所へ支払った介護サービスの1カ月の自己負担額が限度額を超えた場合、払い戻しを受けられる介護保険の制度です。被保険者の所得により自己負担の上限額が異なります。払い戻しの対象となるのは、居宅サービス、介護施設サービス、地域密着型サービスなどの介護サービス事業所に支払う費用です。介護されるひとが要支援1以上の認定を受けていることが利用条件です。この制度を受けるには居住している市区町村に申請をする必要があります。
1年間の医療保険と介護保険の自己負担額を合算して、上限額を超えた場合に払い戻しを受けられる制度です。上限額は被保険者の年齢と所得により異なります。
医療機関や調剤薬局の窓口、あるいは介護サービス事業者などに対し、自己負担限度額を超えて支払った場合に、介護保険に係る部分は「高額医療合算介護サービス費」として支給され、医療保険に係る部分は「高額介護合算療養費」として支給されます。この制度を受けるには居住している市区町村に申請をする必要があります。
この制度の対象は、生活保護を受給していたり、世帯全員が市町村民税非課税であったり、預貯金額が規定額以下の所得が低い方です。
介護施設のサービスを利用したときの食費や居住費(滞在費)は原則として保険給付の対象外であるため全額自己負担ですが、所得が低い方の場合、自己負担限度額を超えた分は介護保険から給付されます。この制度を受けるには居住している市区町村に申請をする必要があります。
介護のために仕事を休む場合や自宅の改修工事をする場合などに受けられる補助金について解説します。
「介護休業」とは、雇用保険の被保険者が要介護状態の家族を介護するための休みを取得できる制度です。要介護状態の家族を介護するため、目安としては2週間以上仕事を休まなければならない状態のときに取得できます。
そして、「介護休業給付」は「介護給付」を取得した場合に受け取れます。賃金日額×支給日数×67%の給料が保証される制度です。対象家族1人につき、通算93日を限度に取得可能です。この日数を3回まで分割して利用することができます。この制度を受けるにはハローワークに申請する必要があります。
介護される人が住みなれた自宅で安全に暮らし続けられるように、自宅を改修するためにかかった費用の補助を介護保険によって受けられる制度です。住宅の玄関や浴室などに手すりをつけたり、段差をなくしたりする改修が対象で、上限20万円分までの工事について補助されます。ただし、介護保険の自己負担割合により、1割から3割までの自己負担が必要になります。この制度を受けるには居住している市区町村に事前に申請する必要があります。
要介護4〜5の家族を介護サービスを利用せずに1年間自宅でケアしているひとに自治体から年額10万円〜12万円が支給される制度です。ほかの条件として、通算90日以上入院していなかったり、住民非課税世帯であったりなど、自治体によって支給条件が異なります。
自治体によって給付条件がやや厳しかったり、実施していない自治体もあるので確認をしておきましょう。この制度を受けるには居住している市区町村に申請をする必要があります。
要介護度が高くなるにつれて介護費用も高くなります。できるだけ無駄な費用がかからないようにするためのコツについて解説します。
介護保険サービスを利用するときは、ケアマネジャーがケアプランを作成します。
費用負担がかからないようにするためには、ケアプランの内容が重要になります。ケアプランを作成する際にはケアマネジャーとコミュニケーションを取りながら、介護される本人と家族の要望や経済状況などをしっかり伝えましょう。ケアマネジャーは聞き取った条件から最適なケアプランを作成してくれます。介護費用をおさえるとともに、満足度の高い介護サービスを受けられるでしょう。
介護施設に入居する際は、公的介護施設の特別養護老人ホームなどが民間施設にくらべて費用をおさえることができます。しかし、特別養護老人ホームは人気が高いためすぐに入居する事はできません。特別養護老人ホームへ入居待ちするあいだは、民間の老人ホームなどに入居してしのいでいる場合もあります。
老人ホームや介護施設の費用は家賃が多くをしめます。家賃はマンションやアパートと同じく地価が影響します。東京などの施設は高くなりがちなので、少し離れたところだと予算に見合った介護施設を見つけることができるかもしれません。
親の介護費用をだれが負担するかの考え方は、家族ごとの状況によりさまざまだとは思いますが、介護が必要な親を持つ子どもは自分の家族を養うことで手いっぱいな年代なので、親の介護費用まで面倒が見れない状況にある人が多いのが現状です。基本的には介護費用は親本人がたくわえておいて、負担するのが自然な流れです。
しかし、親の貯蓄が足りなかったり、親の資産状況が把握できない状態で急に介護が始まれば、子どもが介護費用を負担することになります。親子それぞれが疲弊してしまわないように、親が元気なうちに将来の介護について話し合い、準備を進めておきましょう。
公的な介護施設であれば、年金だけで費用がまかなえるところもあります。介護に備えて、介護される本人の年金受給額を知っておきましょう。
受け取れる金額は勤続年数や収入によって異なりますが、平成30年の厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概要」によると、厚生年金の平均は月額14.6万円で、国民年金の平均は5.6万円となっています。
年金の金額を確認する方法ですが、すでに年金を受け取っている場合は銀行口座の明細で分かります。そして、まだ年金をもらっていない場合は、日本年金機構のホームページで試算することができます。
親の介護が必要になったけれど手持ちの資金が足りない場合、「介護ローン」を活用する方法もあります。数あるローンの中から自分にベストなローンを探すには「クラウドローン」が便利です。銀行系ローンの複数のプランを比較しながら選べます。
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在宅介護であれば経済的な負担がかからないと考える人もいるかもしれませんが、在宅で介護することは身体的にも精神的にも大変な負担になります。費用面だけで判断するのは危険です。介護疲れによって世話することができなくなるリスクや、介護されるひとの状況が悪化してしまう恐れもあります。介護の制度や補助、サービスは国や自治体、民間企業がさまざまな形で用意しています。家族みんながおだやかに過ごせるように、それらの助けを有効に活用しましょう。
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介護が必要になったときの経済的負担は、多くの人にとって大きな関心事です。介護の実態や費用について詳細に解説するこの記事は、初めて介護と向き合う人にも役立つ情報が満載です。要介護度による介護費用の違い、介護サービスの自己負担額、さらには費用を抑えるためのポイントまで、具体的な数字を交えて解説しています。介護保険の利用や各種支援制度への理解を深めることで、未来の介護計画を立てやすくなるでしょう。