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在宅介護はいくらかかる?費用の内訳やメリットとデメリットについて解説

一言コメント村田大輔 - 貸金業取扱主任者/クラウドローン株式会社代表

在宅介護に必要な費用やサービスについて知りたい方にとって、この記事は大変有益です。介護保険の活用や家族の支援だけでなく、専門家の介入が必要になる場面も詳しく解説しています。費用の見積もりから、介護保険を使ったサービスの具体例まで、在宅介護に関する不安を解消するための情報が満載です。読者にとって、介護計画を効率的に立て、経済的負担を軽減する手助けとなるでしょう。

在宅介護はどのくらい費用がかかるの?」「在宅だとどんな介護サービスを受けられるの?」と在宅介護について不安を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
要介護度が低いときは家族だけでの介護が可能かもしれませんが、要介護度が高くなるにつれて専門家のサポートなしでは困難な状況になってしまいます。介護サービスには介護保険が使えるので積極的に活用しましょう。
この記事では、在宅介護にかかる費用のことを中心に、在宅で利用できる介護サービスや費用の軽減制度について解説します。

在宅介護1か月の費用の目安は?

<在宅介護1人あたりにかかる要介護度別の月額費用>

在宅介護のお金と負担 2016年調査(家計経済研究所)

上の表によると在宅介護する場合、要介護1から5までのひとの1か月にかかる費用の平均は5万円程度となっています。

「介護サービスへの支出」は要介護度に応じて支給限度額が多くなるので、要介護度が上がっても費用負担はさほど変わりません。しかし、「介護サービス以外の支出」は要介護度が上がるにつれて増えていることがわかります。

介護サービス以外の支出で影響が大きいのは、おむつ代や介護食などの日常にかかる費用や医療費などの費用です。
介護用品にかかる費用は自治体が助成制度を設けているところもあります。上手に活用して費用負担を軽減しましょう。

在宅介護のメリットとデメリットは?

住みなれた自宅で過ごすことを望んで在宅介護を選ぶケースもありますが、要介護者の状態やご家族の事情などをふまえたうえで、在宅か施設かを判断しなければなりません。
在宅介護のメリットとデメリットを知って介護のあり方を検討しましょう。

メリット① 住み慣れた自宅だとストレスを感じない

要介護者は他人に介護されると気を使ったり、環境の変化によってストレスをうけることもあります。
住み慣れた自宅で暮らしながら家族に介護してもらい、ご近所付き合いなどをするなど、今までどおりの環境の中で生活を続ける方がストレスを感じずに安心して暮らせます

メリット② 介護費用の軽減になる

介護施設へ入居すると毎月の居住費や食費、光熱費などの費用がかかります。
しかし、在宅介護であれば居住費はかからず、食費や光熱費なども使った分以上かかることはなく、自分たち次第で節約も可能です。
また、介護サービスを利用する場合も必要なサービスを選択することができるため、出費を調整することができます。

デメリット① 家族や親族への負担が大きい

介護経験がない家族や親族が移動介助や着替えの介助、おむつ交換や排泄介助をするのは体力的にも精神的にも大きな負担になります。夜間でも介護が必要で睡眠がとれないこともあります。
また、65歳以上の方が介護する「老老介護」や子育て世代が介護もしなくてはならない「ダブルケア」になってしまう場合があります。
介護の負担が大きくなる前に家族で介護について話し合い、介護に関する情報を集めて介護を分担するようにしましょう。

デメリット② 緊急事態にすぐに対応できない

要介護者に異変が起きた場合、適切に応急処置をするためには専門的な知識や訓練が必要ですが、在宅介護の場合だとすぐに適切な処置をすることは家族にとって難しいことです。
在宅介護では緊急時の対応と連絡先をリストにして貼っておくなどの備えをしておきましょう。

在宅介護で利用できる介護サービスは?

在宅介護サービスには介護保険が適用される、訪問型、通所型、宿泊型のサービスがあります。そのほかに介護保険の対象外のサービスもあります。
それらの介護サービスを家族の負担軽減に役立てましょう。

「介護保険対象サービス」には費用の上限がある

介護保険対象の介護サービスは利用できるサービスの量(支給限度額)が要介護度別に定められています。
限度額の範囲内でサービスを利用した場合は、そのサービスにかかった費用の1割(一定以上所得者の場合は2割又は3割)を自己負担します。限度額を超えてサービスを利用した場合は、超過分を全額自己負担することになります。

介護保険対象サービスについて解説します。

<在宅サービスの1か月あたりの支給限度額と利用者負担額(2023年12月現在)>

要介護度支給限度単位支給限度額利用者負担額(1割負担)
要支援15,032単位50,320円5,032円
要支援210,531単位105,310円10,531円
要介護116,765単位167,650円16,765円
要介護219,705単位197,050円19,705円
要介護327,048単位270,480円27,048円
要介護430,938単位309,380円30,938円
要介護536,217単位362,170円36,217円
(この表は1単位の単価が10円の地域の表です。単価は地域によって異なります。)

厚生労働省「サービスにかかる利用料」より

自宅で生活のサポートや医療ケアをうけられる「訪問型サービス」

訪問型サービスは介護スタッフや医療ケアの専門家が利用者の自宅に訪問して、ケアをするサービスです。訪問介護では食事や排泄介助、家事などのサポートをしたり、訪問看護では医療ケアや健康管理など必要に応じたサービスをうけることができます。
おもな訪問型サービスは以下の通りです。

  • 訪問介護(ホームヘルプ)
  • 訪問入浴
  • 訪問看護
  • 訪問リハビリ
  • 夜間対応型訪問介護
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護

施設にかよって介護やリハビリをうけられる「通所型サービス」

通所型サービスは利用者が施設に通ってサービスを受けます。自宅から施設までは送迎サービスがあるので家族が送り迎えする負担はありません。
食事や入浴、レクリエーションなどのサービスを提供するデイサービスや、リハビリ専門員が在籍するデイケアなどがあります。
おもな通所サービスは以下の通りです。

  • 通所介護(デイサービス)
  • 通所リハビリ(デイケア)
  • 地域密着型通所介護
  • 療養通所介護
  • 認知症対応型通所介護

一時的に介護施設に宿泊して介護をうけられる「宿泊型サービス」

宿泊型サービスは在宅で介護を受けているひとが一時的に施設に宿泊して、施設入居者と同様の介護を受けられるサービスです。医師や看護師による医療ケアが受けられる施設もあり、費用は利用者の要介護度と宿泊する部屋の広さによって異なります。
おもな宿泊型サービスは以下の通りです。

  • 短期入所生活介護
  • 短期入所療養介護

状況によって訪問、通所、宿泊を組み合わせる「融合型サービス」

融合型サービスは利用者が自立した日常生活を送ることができるように利用者の状態や希望に応じて、施設へ通ったり、施設に短期間の宿泊したり、利用者の自宅での訪問介護やケアなどを柔軟に組み合わせて支援や機能訓練をしていきます。
おもな融合型サービスは以下の通りです。

  • 小規模多機能型居宅介護
  • 看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)

福祉用具をそろえるためのサービス

利用者が自宅で自立した日常生活を送ることができるように福祉用具をレンタルしたり、購入する際に介護保険を利用して費用負担を減らすことができます。
レンタルする福祉用具は厚生労働省に定められた13品目(手すり、スロープ、車いすなど)に限られます。
おもなサービスは以下の通りです。

  • 福祉用具貸与
  • 特定福祉用具販売

住環境を整えるためのサービス

介護されるひとにとって自宅での生活を安全で暮らしやすくするために、手すりの取り付けや段差の解消、トイレや浴室の改修などのバリアフリー化が必要になることもあります。
このような場合、介護保険の「居宅介護住宅改修費」が適用され、20万円までのリフォームであれば、1〜3割の自己負担で工事できます。
そのほか、自治体によっては事前に申請することで介護保険以外の補助金を支給してくれるところもあります。

さまざまなニーズに応える「介護保険対象外の自費サービス」

各市区町村や介護サービス事業者、社会福祉協議会、シルバー人材センター、民間企業などが介護保険対象外のさまざまなニーズに合わせた介護サービスや高齢者支援サービスをおこなっています。
おもな自費サービスは以下の通りです。

  • 訪問美容
  • 家事代行サービス
  • 配食サービス
  • 移送サービス
  • 自費リハビリサービス
  • 高齢者見守りサービス
  • 病院付き添いサービス

在宅介護にはなにに費用がかかる?

在宅で介護をはじめる場合、それまでと異なるのは介護サービスに費用がかかることと、おむつなどの衛生用品にかかる費用ですが、それ以外の生活費にも気をつける点があります。どのようなことに費用がかかるのか解説します。

介護保険サービス利用料

介護保険サービスは訪問介護やデイサービス、ショートステイなどの介護サービスやベッドなどの福祉用具レンタルを利用した時に発生する料金です。自己負担額は介護保険が適用されるためサービス利用料の1割です。自己負担額は所得によりかわるため2〜3割になるひともいます。
また、要介護度によって決められているサービスの利用限度額を超えた場合は、全額自己負担になります。

食費

高齢者が健康でいるためには栄養バランスの取れた食事はかかせません。しかし、加齢によって食欲が減退すると、必要な栄養を十分にとれず、体調不良を引き起こすことにつながります。歯が弱いため、食べ物の大きさや柔らかさなどに気を配る必要があり、家族とは別メニューが必要になることもあります。

光熱費

高齢の方は体力が低下していることが多いため、温度調節や湿度調節に気を配らなくてはなりません。エアコンや加湿器、空気清浄機などを一日中使用するため、それらの電気代がかかります。
また、在宅で人工呼吸器などの医療機器を使用する場合があるため、その分の光熱費も必要になります。

その他

医療機関にかかった際の医療費とそこに行くまでにかかった交通費や、おむつや清拭シート、ビニール手袋などの衛生用品も必要です。紙オムツの購入は、自治体によっては給付を受けられる場合があるので制度を有効に活用しましょう。

公的な費用軽減制度で費用負担を減らそう

介護される本人の年金や貯蓄、資産で介護費用をまかなうのが難しい場合は、公的な費用軽減制度を利用して負担を軽くすることができます。おもな制度について解説します。

 高額介護サービス費

介護事業所へ支払った介護サービスの1か月の自己負担額が限度額を超えた場合、払い戻しを受けられる介護保険の制度です。
被保険者の所得により自己負担の上限額が異なります。払い戻しの対象となるのは、居宅サービス、介護施設サービス、地域密着型サービスなどの介護サービス事業所に支払う費用です。
介護されるひとが要支援1以上の認定を受けていることが利用条件です。この制度をうけるには居住している市区町村に申請をする必要があります。

高額介護合算療養費制度

1年間の医療保険と介護保険の自己負担額を合算して、上限額を超えた場合に払い戻しを受けられる制度です。
上限額は被保険者の年齢と所得により異なります。医療機関や調剤薬局の窓口、あるいは介護サービス事業者などに対し、自己負担限度額を超えて支払った場合に、介護保険に係る部分は「高額医療合算介護サービス費」として支給され、医療保険に係る部分は「高額介護合算療養費」として支給されます。
この制度をうけるには居住している市区町村に申請をする必要があります。

 介護保険負担限度額認定

介護保険サービスの料金は自己負担割合が1〜3割ですが、介護保険施設やショートステイの食費や宿泊費は全額自己負担です。しかし、介護保険負担限度額認定制度の要件を満たすひとは上限額が設定され一定額を減額することができます。
この制度をうけるための要件は本人をふくむ世帯全員が住民税非課税であることと、預貯金が、配偶者がいる場合は2,000万円以下、配偶者がいない場合は1,000万円以下であることです。

資金がたりないときは介護ローンを活用しよう

介護にともなって自宅をリフォームすることになった場合や、福祉用品を買いそろえる資金が必要な場合はローンを利用することも検討しましょう。

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介護が必要になったときのために資金を準備しておこう

在宅介護の場合、介護されるひとの状態によっては住宅のリフォームや福祉用具の購入、レンタルをする必要があります。介護保険や自治体の助成を利用することで、費用の負担を軽減することはできますが、リフォームをするときなどには一旦まとまった資金が必要になります。また、介護するための出費は毎月かかります。介護費用のことについては、介護される本人が元気なうちに家族と話し合って、必要となる資金を準備しておくことが大切です。


POINT

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