銀行のマイカーローンやカードローンで「保証人不要」と書かれているのは、保証会社が保証人の役割を引き受けているからです。保証会社は申込みの審査に加わり、借り手の返済が滞ったときは借り手に代わって銀行へ返済します。その後は保証会社が借り手に全額を請求するため、代位弁済されても借金はなくならず、請求先が保証会社に変わるだけです。
保証料の払い方は、金利に含まれる型、借入時に一括で払う型、金利に上乗せする型に分かれます。この記事では、銀行・信用金庫・JAの商品説明書の表記を比べ、借入100万円・5年の例で一括払いと金利上乗せの総額を試算します。あわせて、返済が滞ったときに保証会社が出てくる順番と、信用情報に残る記録を整理します。事業者向けの信用保証協会は扱いません。
目次
民法446条は、保証人を「主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う」者と定めています。個人向けの無担保ローンでは、この保証人を家族や知人に頼む代わりに、金融機関が指定する保証会社が引き受けます。三菱UFJ銀行のカードローン「バンクイック」の商品説明書は、保証会社(アコム)の保証を使うので「保証人は必要ありません」と書いています。三井住友銀行の教育ローン・フリーローン・マイカーローンも、SMBCコンシューマーファイナンスが保証するため「原則として担保・保証人とも不要」としています。
借り手は、ローン契約とは別に、保証会社と保証委託契約を結びます。民法459条により、委託を受けた保証人が借り手に代わって返済すると、保証人は借り手に対して、支出した額を請求する権利(求償権)を持ちます。さらに民法499条と501条により、返済した保証会社は、銀行が持っていた債権や担保の権利を引き継ぎます。保証会社が払った分は、そのまま借り手の保証会社への債務になるという関係です。
保証会社の顔ぶれは、同じ銀行の中でも商品ごとに違います。三菱UFJ銀行では、カードローンがアコム、ネットDEマイカーローンがジャックスです。オリックス銀行のカードローンは、アコムか新生フィナンシャルのどちらかの保証を条件にしています。一方、消費者金融やクレジットカード会社の自社ローンは、保証会社を挟まずに自社で審査する例があります。JCBの説明では、自社のカードローン「FAITH」は保証会社と提携していません。
保証会社は保証料を受け取って保証を引き受けます。借り手から見ると、保証料の払い方は次の3つの型に分かれます。「保証料不要」は、保証料がかからないという意味とは限りません。多くの場合、借り手が払う金利の中から金融機関が保証会社へ支払っています。
| 金融機関・商品 | 保証会社 | 保証料の扱い(公式の表記) | 繰上返済したときの保証料 |
|---|---|---|---|
| 三井住友銀行 教育・フリー・マイカーローン(2026年9月1日現在) | SMBCコンシューマーファイナンス | 一括払いは不要。借入利率の中から銀行が保証会社に支払う | 返戻はないと明記 |
| 三菱UFJ銀行 ネットDEマイカーローン(2025年10月1日現在) | ジャックス | 保証料は不要。金利の中から銀行が保証会社へ支払う | 記載なし |
| にっしん信用金庫 教育ローン(令和7年2月26日現在) | しんきん保証基金 | 保証料は金利に含む(固定年2.50%・年3.00%、保証料込み) | 記載なし |
| JA晴れの国岡山 マイカーローン(2026年4月1日現在) | 岡山県農業信用基金協会など | 一括払いか、金利に保証料率を加算する分割払いを選ぶ。保証料率は年0.5% | 記載なし |
| 北陸銀行 マイカーローン(文中に2022年9月19日現在の記載) | 北陸保証サービスまたはオリエントコーポレーション | オリエントコーポレーションの保証になる場合は金利に年1.60%上乗せ | 記載なし |
表の上の3つは、保証料が金利に含まれる型です。借入時に別のお金は要りませんが、適用金利の中に保証料分が入っています。三井住友銀行は、この型では繰上返済しても保証料は戻らないと明記しています。もっとも、繰上返済で元金が減れば、その後の利息と一緒に保証料分の負担も減ります。戻ってくる仕組みがないだけで、早く返すほど負担が軽くなる点は変わりません。
JAの例は、借り手が払い方を選べる型です。一括払いでは融資時に保証料を払い、分割払いでは借入利率に保証料率が加算されます。JA晴れの国岡山は、保証料を資金使途に含めることもできるとしています。北陸銀行の例のように、保証会社がどこになるかで上乗せ幅が変わる商品もあります。資料の基準日が古いものもあるため、申し込む時点の商品説明書で確かめてください。
JA晴れの国岡山の商品説明書は、借入利率年2.00%・保証料率年0.5%のとき、借入100万円あたりの一括払い保証料を、5年で12,886円と例示しています。分割払いを選ぶと、借入利率に保証料率が加算されるので、同じ条件なら年2.5%で返す形になります。この2つを、借入100万円・60回の元利均等返済で比べてみましょう。月額は「元金×月利÷(1-(1+月利)のマイナス60乗)」で求め、円未満を四捨五入して60倍しました。実際の最終回の端数調整は考慮していません。
| 払い方 | 適用する金利 | 月々の返済額 | 返済総額 | 保証料を含めた総額 |
|---|---|---|---|---|
| 一括払い | 年2.0% | 17,528円 | 1,051,680円 | 1,064,566円(保証料12,886円を加算) |
| 金利に加算 | 年2.5% | 17,747円 | 1,064,820円 | 1,064,820円 |
最後まで約定どおり返すと、総額の差は254円しかありません。年0.5%を毎月の残高に掛けて合計すると約12,916円になり、一括払いの12,886円とほぼ同じ水準です。満期まで返すなら、どちらの払い方でも総額はほとんど変わらないと読めます。違いは借入時の手元資金で、一括払いは最初に約1.3万円が必要です。
差が出るのは途中で完済する場合です。同じ前提で36回払った時点の残高は約41.2万円で、それまでに残高に年0.5%を掛けた額は約10,757円です。金利加算型なら、ここで完済すれば保証料の負担はおおむねこの額で止まります。一括払い型では12,886円をすでに払っているので、未経過分が戻るかどうかで結果が変わります。東邦銀行のローン全般向けの重要事項説明は、一括支払方式では繰上返済時に未経過保証料を保証会社所定の計算で返すと書いています。ただし、JA晴れの国岡山の商品説明書には返戻の記載が見当たりませんでした。繰上返済の予定があるなら、返戻の有無と計算方法を事前に確認してください。住宅ローンの例では、三菱UFJ信託銀行のように、返戻額から保証会社の手数料(一部繰上5,500円、全額繰上11,000円)を差し引く扱いもあります。
保証会社付きのローンでは、申込者は保証会社と金融機関の両方の審査を受けます。三菱UFJ銀行は「当行および保証会社(アコム(株))の所定の審査」、三井住友銀行は「当行および当行指定の保証会社であるSMBCコンシューマーファイナンス株式会社の審査」と、商品説明書に書いています。三井住友銀行の解説ページによると、保証会社は信用情報機関の情報も使って他社の借入残高や返済能力を確認し、銀行は保証審査を含めて総合的に判断します。
同じページは、同じ保証会社が保証する商品でも、提供する金融機関が違えば審査内容や結果は異なると説明しています。「この保証会社なら通る」とは言えません。JCBも、審査が甘い保証会社や通りやすいカードローンはないと説明しています。審査の結果は、申込者の収入、他社の借入、信用情報などで個別に決まります。
保証会社の審査は、信用情報にも記録が残ります。CICのFAQは、銀行でローンを契約すると、債務保証をしている会員会社から保証契約の情報が登録されると説明しています。開示した報告書に、契約した覚えのない会社名が載っていたら、ローンの保証会社であることが多いということです。ローンの比較サービスでも同じで、CrowdLoanの公式サイトは、提携保証会社による事前審査の記録が信用情報機関に残ると明記しています。
返済が遅れたまま続くと、ローン規定の期限の利益喪失条項に当たり、借り手は分割で返す権利を失います。東邦銀行の重要事項説明は、その場合に銀行が保証会社へ債務全額を請求し、保証会社が代位弁済したあとは、借主が保証会社に債務全額を返済すると説明しています。三菱UFJ銀行のバンクイックも、代位弁済後は「以降のお取引はアコム(株)がお客さまの窓口となります」と書いています。
代位弁済後の請求内容は、保証委託規定で決まります。ドコモSMTBネット銀行のカードローンで使われるSMBCコンシューマーファイナンスの保証委託規定(2026年8月3日現在)では、代位弁済額、保証会社が要した費用、代位弁済日の翌日からの年14.6%の遅延損害金、請求の費用の合計を、借り手が「直ちに」支払う定めです。また、代位弁済は借り手への通知や催告なしに行えると定めています。延滞を放置すると、分割の権利を失ったうえで、一括請求と遅延損害金が重なります。
| 信用情報機関 | 代位弁済の表記 | 保有期間(公式の表記) |
|---|---|---|
| 全国銀行個人信用情報センター | 取引情報に代位弁済の事実を含めて登録 | 契約期間中および契約終了日(完済されていない場合は完済日)から5年を超えない期間 |
| CIC | 異動(保証履行) | 契約期間中および契約終了後5年間 |
| JICC | 取引事実に関する情報(保証履行) | 2019年10月1日以降の契約は、契約継続中および契約終了後5年以内 |
CICの用語集は、異動を「61日以上または3か月以上の支払いの遅れ」「保証会社が返済したもの」などと定義しています。保証会社による返済は、延滞と同じく異動として扱われます。全国銀行個人信用情報センターの説明では、完済していなければ完済日が起算点になるので、保証会社への返済を終えるまで5年の期間が進み始めません。返済が難しくなりそうな段階で、まず契約先の金融機関に相談してください。相談先は、銀行なら全国銀行協会相談室、貸金業者なら日本貸金業協会の貸金業相談・紛争解決センター、債務の整理を含めた法律相談なら法テラスがあります。
保証会社の条件は、商品説明書の「ご利用いただける方」「保証人」「保証料」の欄と、保証委託約款に書かれています。申し込む前に、次の点を確認してください。
家族や知人に保証人を頼む場合との違いは、マイカーローンの保証人と連帯保証人の違いの記事で確認できます。
保証料の扱いは、金利の数字だけを見ても分かりません。金利込みの商品と一括払いの商品を比べるときは、保証料を含めた総額と、繰上返済の予定があるかどうかをそろえて比べると判断しやすくなります。
保証料込みの金利で複数の銀行ローンを比べたいときは、CrowdLoanで、提携保証会社の事前審査を経た金融機関の提案を受け取り、条件を比べて検討できます。審査は提携の保証会社と各金融機関が行い、借入れの可否や金利を約束するものではありません。
調査日:2026年10月11日。保証会社、保証料率、繰上返済時の扱いは、商品と契約時期で変わります。申し込む時点の商品説明書と保証委託約款で確認してください。
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