2022年11月24日
歯列矯正やインプラントの治療は、保険が適用されない自由診療です。自由診療は歯科医院によって費用も異なり、高額の治療費を全額自己負担しなければなりません。そこで今回は、歯列矯正やインプラントの費用相場と高額な歯科治療費を分割して支払えるデンタルローンについて詳しく解説。さらに、歯列矯正やインプラントの治療は、月々いくらぐらいの支払いでできるのかをデンタルローンとそれ以外の支払方法とともにシミュレーションしていきます。
目次
歯科治療には、保険が適用される治療と適用されない治療(自由診療)があります。保険が適用される診療は「誰もが同じ費用で悪くなった歯を治せる」ことを目的としており、一般的な虫歯治療や抜歯、入れ歯などが対象です。一方で「見た目や機能性を重視」するインプラントや矯正治療、セラミックやホワイトニングなどの審美歯科治療が、自由診療にあたります。
<自由診療は歯科医院によって治療方法が決まる>
保険が適用される歯科治療の内容はあらかじめ治療方法や材料が定められているため、どこの歯科医院でも費用は変わらず、患者はその0~3割を自己負担する形で支払います。反対に、自由診療の治療方法は歯科医院ごとに決められるので、高度な技術や高価な材料を使用することができます。ただし、その費用については患者の全額自己負担となります。
自由診療では、患者が治療費を全額自己負担せねばならず、高額な費用を支払うことになります。自由診療の内容や材料は歯科医院ごとに決められるため、費用も歯科医院ごとに異なりますが、おおよその目安は次の通りになります。
治療内容 | 費用の目安 |
インプラント(奥歯) | 1本30~40万円 |
矯正治療(表側ワイヤー全体) | 60~100万円 |
矯正治療(マウスピース全体) | 80~120万円 |
オールセラミックの被せ物 | 1本8~18万円 |
自費診療の総入れ歯 | 15~80万円 |
そこで、役に立つのがデンタルローンです。デンタルローンとは、歯科治療費専用ローン商品のことをいい、他の目的別ローンと同様、使途を歯科治療に限定しています。このデンタルローンを利用すれば、歯列矯正やインプラントにかかる高額な治療費も、低金利かつ無理のない範囲内で分割払いすることができるのです。
デンタルローンは、歯科医院が提携している信販会社が提供しているほか、銀行などの金融機関でも目的別ローンのひとつとしても取り扱われています。
提携のデンタルローンは、信販会社などと患者、そして信販会社と提携している歯科医院の3者間の契約です。患者が、歯科医院で受ける治療費用を、信販会社などに一度立替払いしてもらい、元金と利息を合わせて分割払いで月々返済していきます。
この提携ローンは歯科医院の窓口で申し込めることが多く、治療のついでにおこなえば、手続きの手間が省けます。
<歯科医院が金利を負担してくれることも>
提携のデンタルローンの金利の相場は年5%程度ですが、歯科医院によっては、金利を負担してくれるケースもあります。「一定の分割回数までは無金利」という利用条件などもあるため、契約内容をあらかじめ確認しておけばお得に利用することもできます。
一方、銀行のデンタルローンは、患者と各金融機関との2者間の契約です。患者自身が歯科医院に治療費の見積書などの作成を依頼し、銀行の窓口やWEBなどで直接申込み手続きをおこないます。
銀行のデンタルローンの金利の相場は2.5~8%です。各金融機関ごと、もしくは借入人や借入金額によっても異なりますが、場合によっては、提携ローンよりも低めの金利で利用できるケースも多いようです。
<デンタルローンを扱う銀行は少ない>
しかし、デンタルローンを扱っていない銀行が多いのも現実です。銀行のデンタルローンを検討する場合は、できるだけ低金利のフリーローンやカードローンと合わせて探してみるとご自身に合ったプランが見つかりやすくなるでしょう。
デンタルローンには、他のローンと同じく審査があるので、誰でも利用できるわけではありません。主な申込条件として、18歳以上で安定継続した収入があることが前提とされていますが、銀行の審査はさらに厳しい傾向です。また、18歳未満の子どもや専業主婦の方が治療を受ける場合であっても、安定した収入のある両親や配偶者の名義で申し込めるのであれば、デンタルローンを利用することが可能です。
<パートやアルバイトでも利用できる>
歯科医院に提携する信販会社が提供するデンタルローンでは、パートやアルバイトの方でも安定した十分な収入があれば利用できるものが多くあります。ただし、20歳未満の方や収入が少ない方の場合には、連帯保証人を必要とするケースが多くあります。
提携デンタルローン | クレジットカードの分割払い | 院内分割 | |
金利 | 5%程度 | 12.0~15.0% | かからない場合が多い |
審査 | 必要 | すでにクレジットカードを持っていれば不要 | 不要 |
最大分割回数 | 84回が一般的 | 24回が一般的 | 歯科医院により異なる |
治療を受けたい歯科医院に提携するデンタルローンがない場合や、デンタルローンの審査を通過することが難しいときには、デンタルローン以外の支払い方法を検討しなければなりません。歯科医院では、現金払いの他にもクレジットカード払いや院内分割などの支払い方法を提示していることがありますので、それぞれの特徴や金利、契約内容をあらかじめ確認してから、ご自身に合ったベストな方法を選ぶことをおすすめします。
自由診療の支払いに、クレジットカードが利用できる歯科医院が多くあります。すでにクレジットカードを持っているのであれば、審査も不要で手続きなしで使えます。1回払いであれば手数料も無料、さらにカードのポイントやマイルを貯めることもできます。
しかし、金利は12.0~15.0%とデンタルローンよりも高めです。最大分割回数も24回程度と、治療費によっては月々の返済額が高額になってしまう可能性があるので注意しましょう。
<クレジットカードの上限金額が低いと支払いきれない>
学生などクレジットカードの上限金額が低い場合には、治療費の全額をクレジットカードで支払うことができません。事前に上限を引き上げる手続きをおこなうか、頭金をいくらか先に支払っておくなどの対応が必要です。
決して数は多くありませんが、矯正治療や審美歯科治療などをおこなっている歯科医院などでは、独自の「院内分割」を導入していることがあります。「院内分割」は審査不要で金利もかからないケースがほとんどですが、歯科医院独自のシステムのため、分割回数はもちろん支払い方法などがそれぞれに異なります。また、学生や未成年者の利用には、保護者のサインが無ければ契約できないことも多いようです。
<治療期間が長くなければメリットが少ない>
「院内分割」の分割回数などは歯科医院によってさまざまですが、どの歯科医院でも、治療開始月から治療終了月までの間に治療費を完済する契約を結びます。よって、歯列矯正のように治療期間が長い治療でなければ月々の負担は大きく、「院内分割」のメリットをあまり感じられないでしょう。
歯科治療を受ける上でやはり気になるのが、実際に利用した場合の支払いは月々いくらになるのか? ということです。この項目では、歯列矯正とインプラントの返済状況を支払方法別にシミュレーションしましたので、詳しく見ていきましょう。
歯列矯正の費用は、歯並びの症状や治療方法によって異なりますが、全体の矯正となると80~120万円程度かかり、治療期間は1年〜2年半程度が一般的です。
今回は、歯列矯正の治療費が100万円であったと想定し、それぞれの支払い方法での一般的な最大分割回数で返済した場合のシミュレーション結果を見てみましょう。
デンタルローン | クレジットカードの分割 | 院内分割 | |
金利 | 5% | 12% | 0% |
分割回数 | 84回 | 24回 | 24回 |
毎月の返済額 | 14,133円 | 47,073円 | 41,667円 |
返済総額 | 1,187,172円 | 1,129,752円 | 1,000,000円 |
上記のケースでは頭金0円で計算していますが、頭金を用意することで月々の支払額を抑えることも可能です。表を見てもわかるように、デンタルローンは返済期間を長く設定できるため、毎月の返済額を低く抑えられます。
インプラントの費用は1本あたり30〜40万円程度なので、今回の治療費は40万円と想定し、それぞれの支払い状況をシミュレーションしてみました。デンタルローンとクレジットカードの分割回数は同じ24回、インプラントの通院期間は短いため、一般的な院内分割の分割回数である2回に設定しました。
デンタルローン | クレジットカードの分割 | 院内分割 | |
金利 | 5% | 12% | 0% |
分割回数 | 24回 | 24回 | 2回 |
毎月の返済額 | 17,548円 | 18,829円 | 200,000円 |
返済総額 | 421,152円 | 451,896円 | 400,000円 |
治療期間の短いインプラントの治療費に院内分割を利用した場合では、毎月の負担は大きく、分割払いのメリットを感じられることは少ないでしょう。一方、クレジットカードの金利は12%と高いため、同じ分割回数に設定したデンタルローンよりも返済額が増えていることがわかります。
毎月の返済額を抑えるには、より低金利なデンタルローンを選ぶことが大切です。歯科医院の提携ローンだけでなく、さらに低金利で利用できる銀行のデンタルローンも検討してみましょう。
しかし、デンタルローンを扱う銀行や金融機関は少ないので、歯科治療にも使えるフリーローンに範囲を広げて探してみるのもおすすめです。銀行のローンでは、金利がそれぞれの金融機関によって違うため、できるだけ複数のローン商品を比べて探すとより低金利なローンを見つけられます。
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