2023年06月21日
妊娠してから出産するまでには、妊婦健診や入院、分娩などで医療費がかかります。それにくわえて、マタニティー用品やベビー用品をそろえるためにまとまった費用が必要になります。出産は健康保険適用の対象外ですが、費用を助成する制度があるので、制度をよく知って活用すれば自己負担を少なくすることが可能です。
この記事では、出産費用について解説するとともに、自己負担額を抑える方法を紹介します。出産前にお金の不安をなくして出産に備えましょう。
目次
厚生労働省の「出産費用の実態把握に関する調査研究(令和3年度)の結果等について」によると、出産費用は毎年、平均1%前後のペースで増加しています。令和2年度の平均出産費用(室料差額を除く)は46.7万円でした。そして、都道府県や市区町村によって運営されている公的病院の平均出産費用は45.2万円程度。民間で運営している私的病院は高価格帯で費用にバラツキが大きい傾向があります。私的病院のなかには、ホテルのようなサービスを提供したり、最新の治療機器などを備えているところがあり費用が高額になります。
出産費用には地域差も関係しています。東京は地方にくらべて高い傾向があり、最大で20万円程度の違いがあります。
妊娠がわかったら赤ちゃんを迎えるためにさまざまな用意が必要です。妊婦健診や、入院・分娩費用をはじめ、赤ちゃんの世話に必要な家具や服、日用品などを買いそろえるための費用がかかります。いつ、どれくらいの費用が必要になるのか把握しておきましょう。
住んでいる自治体に妊娠の届けを出す際に、母子手帳といっしょに健診費用を助成する妊婦健康診査助成券(自治体によっては受診券、補助券)がもらえます。助成券を利用すると妊婦健診の自己負担額は少なくなります。
<妊娠初期~中期(4週~23週あたり)>
月1回受診。助成券利用で1回1,000円〜3,000円程度。
<妊娠中期~後期(24週~35週あたり)>
2週に1回受診。助成券利用で1回1,000円〜3,000円程度。
<妊娠後期(36週~出産)>
週1回受診、状況によっては週に複数回。助成券利用で1回3,000円程度。
週数に応じて助成券適用外の検査を受ける必要があり、上記金額に追加で費用がかかります。
妊婦健診で自己負担する費用の総額は2万5,000円〜7万円程度です。地域や産院によっても費用に差があります。
お産にかかる費用の内訳は入院料・分娩料・新生児管理保育料・処置・手当料・差額ベッド代などです。
正常分娩の入院・分娩費用は50万円程度です。正常分娩の場合、公的医療保険が適用されないため、出産費用は全額自己負担になります。さらに、無痛分娩や入院の際に個室を選択した場合などには追加料金がかかります。
帝王切開の場合は60〜70万円程度です。帝王切開などの異常分娩の場合、医療行為が介入するので、麻酔、投薬、手術、入院費用などに保険が適用されます。しかし、出産費用すべてに適用されるわけではなく、助産師がサポートした分の分娩介助料や差額ベッド代、新生児管理保育料などは自己負担になります。
なお、正常分娩・異常分娩のどちらであっても、公的医療保険から支払われる出産育児一時金を利用できるので自己負担額が少なくなります。
妊娠期間中に使うマタニティ用品や、赤ちゃんが家で快適に過ごすためのベビー用品も買いそろえる必要があります。
<マタニティ用品>
マタニティウェア、下着、妊婦帯、授乳服など
<ベビー用品>
服、肌着、ベビーカー、チャイルドシート、ベビーベッド、布団、おむつ、哺乳瓶、お風呂グッズなど
購入費用は総額で10万〜15万円程度になります。市区町村によっては、育児用品の購入費を助成する制度があるので、自分が済んでいる地域で実施されているか調べてみましょう。また、レンタルや知人から譲り受けるなどして負担を減らすことも検討しましょう。
妊娠・出産にかかる費用について、国や市区町村では助成制度を設けています。ただし、いずれも自分で申請しなければなりません。せっかく利用できる制度があるのに活用できなかったということがないようにしましょう。
妊婦の健康と安全なお産のために定期的に健診を受けなければなりません。妊婦健診の費用は公的保険適用外なので全額自己負担になってしまいますが、市区町村の妊婦費用を助成する制度を使えば自己負担額を減らすことができます。
市区町村の妊婦費用の助成制度を受けるためには、まず、市区町村に妊娠の届け出をしましょう。そうすると、母子手帳とともに妊婦健診の助成券が手渡されます。妊婦検診の際にその助成券を医療機関に提出すると、その日かかった費用から助成券の金額分を引いてもらえるしくみです。
助成券のよび方は市区町村によって異なり、受診票や補助券とよばれている地域もあります。そして、助成券の総額や1枚ごとの金額も地域によりさまざまです。
出産育児一時金とは、妊娠週数が22週以上の人が出産した場合に、公的医療保険から一児につき50万円(2023年4月以降)が支給される制度です。正常分娩と異常分娩どちらでも適用されます。また、加入している保険が健康保険、国民健康保険の両方とも利用できます。
入院と分娩にかかった費用が50万円以下であれば自己資金は不要になり、50万円を超える場合はその差額だけを支払います。
出産育児一時金は加入する公的医療保険に申請することで受けることができます。支給方法は公的医療保険から医療機関に直接支払われる直接支払制度や、受取代理制度があり、その方法でほとんどの人が利用していますが、被保険者に支給してもらうこともできます。
出産手当金は、健康保険に加入している人が出産のため会社を休んだ際、事業主から報酬が受けられないときに支給されます。出産手当金が受けられる期間は、出産の日(実際の出産が予定日後のときは出産予定日)以前の42日(多胎妊娠の場合は98日)から、出産の翌日以後56日目までの範囲内です。
出産手当金の金額は以下の計算で算出します。
1日あたりの金額= (出産手当金支給開始日の以前12ヶ月間の各標準報酬月額を平均した額)÷30日×3分の2 |
出産手当金を受け取るためには、出産のために会社を休みはじめた日の翌日から2年以内に勤め先に申請します。申請してから約1〜2カ月程度で振り込まれます。
父親の育休制度は、従来からある育休と2022年にスタートした「産後パパ育休(出生時育児休業)」の2つがあります。
産後パパ育休は、子どもの出生から8週間以内に最大4週間(28日間)の休業を取得することができ、一定の要件を満たすと「出生時育児休業給付金」が給付されます。
そして、従来からある育休は原則1歳未満の子を養育するために育児休業した場合、一定の要件を満たすと「育児休業給付金」が給付されます。
申請は勤務先の担当部署に申し出ます。通常の育休は原則1カ月前までに、産後パパ育休は取得予定の2週間前までに連絡しましょう。
育休手当の支給は原則2ヶ月に1度ずつで、通常の賃金の約5〜7割が支給されます。支給決定日から1週間程度で指定の口座に入金されます。
健康保険では、産前産後休業期間と育児休業期間の社会保険料(厚生年金保険料・健康保険料・介護保険料)の支払いが全額免除されます。
産前産後休業期間とは、産前42日 ( 多胎妊娠の場合は98日 )、産後56日のうち、妊娠や出産のため会社を休んだ期間のことです。
自営業の人などが利用している国民年金保険料にも免除があり、出産予定日または出産日のある前月から4ヵ月間が対象期間です。届け出は出産予定日の6か月前から市区町村で行うことができます。
高額療養費制度は医療費の自己負担額が多くならないよう、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費がひと月の上限額を超えた場合、その超えた額を支給する制度です。
手術や長期入院をした場合、公的医療保険制度を利用して自己負担額が1〜3割になったとしても、多額の医療費が必要になることがあります。そのような時に高額療養費制度を利用して医療費の負担を軽減します。
前もって帝王切開することが予定されている場合などには、「限度額適用認定証」を提示すれば窓口での支払額を抑えることができます。
「限度額適用認定証」は、加入している公的医療保険に申請すると交付されます。限度額適用認定証と保険証を提示するだけで、ひと月の支払い総額を自己負担限度額まで抑えられます。
医療費控除とは、1月1日〜12月31日までの1年間にかかった医療費が10万円(総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%)を超えた場合に受けられる所得控除制度です。医療費控除の対象になる場合は、翌年に確定申告することで還付金を受け取ることができます。
医療費控除は、本人が妊婦健診で医療機関を受診した場合だけでなく、扶養家族の医療費等についても計算に含めることができます。加入している公的医療保険や分娩方法に関係なく利用でき、定期検診や通院費用、入院中の食事代なども対象です。なお、支払った医療費を計算する際には、出産育児一時金などで受け取った金額は差し引きます。
出産費用が足りない場合に、健康保険や社会福祉協議会などの公的機関から貸与を受けることができます。出産前にまとまった資金が必要な時などに無利子で貸与できるので緊急時の助けになります。
出産費貸付制度は、資金が足りない場合に出産費用を借りられる制度です。全国健康保険協会や健康保険組合では、一定の条件を満たす人に出産育児一時金が支給されるまでの間、出産育児一時金見込額の8割相当を無利子で貸与しています。
利用できるのは健康保険に加入する本人または配偶者(被扶養者)です。申し込み後、2週間以内に指定した金融機関の口座に振り込まれます。
なお、国民健康保険にも同様の制度がありますが、すべての市区町村で実施しているわけではありません。
生活福祉資金貸付制度は、都道府県社会福祉協議会が主体となって低所得世帯、障害者世帯、高齢者世帯の自立を支援する制度です。
日常生活には困っていないが、出産などの生活の変化にともなって資金が必要となった世帯が対象です。この制度の窓口は居住している市区町村の社会福祉協議会です。
貸付上限額は50万円で、返済期間は3年以内(6ヵ月は据え置き)です。連帯保証人ありの場合は無利子、なしの場合は年1.5%の利子がつきます。
妊婦健診の費用や、マタニティ用品、ベビー用品を買いそろえる費用など、出産前に費用がかかりますが、給付金などが支給されるのは基本的に出産後になります。資金が足りない場合はローンを利用することも検討しましょう。
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妊娠してから出産にいたるまでには、健診やいろんなものを買いそろえるための費用がかかるので、どれだけ資金を用意すればいいのか不安になるかもしれません。しかし、国や市区町村、健康保険などでは公的な支援制度を多数用意しています。自分で申請しないと利用できないものが多いので、見逃しがないように調べてどんどん活用しましょう。
支援制度を利用する場合、申請から給付までに時間がかかることがあるので、その場合は低金利のローンを利用することも検討しましょう。
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妊娠期から出産までには、医療費や準備費用がかかりますが、公的支援制度を活用することで負担を軽減できます。妊婦健診の自己負担を抑えるためには助成券を利用し、出産育児一時金や出産手当金、育児休業給付金なども活用できます。さらに、医療費控除や生活福祉資金貸付制度もあります。支援制度の利用には申請手続きが必要なので、早めに確認して活用しましょう。資金が足りない場合は低金利の銀行の医療ローンも検討できます。出産に不安を感じることなく、費用面で安心して備えましょう。