SNSやYouTubeで話題になっている「残クレアルファード曲」をご存じでしょうか。高級ミニバン・アルファードと“残価設定クレジット”という仕組みをとりあげたこの曲が、公開からわずかで700万回以上も再生されています。耳に残るメロディーとともに、車の買い方にまつわるメリットや思わぬ落とし穴を知ることができます。この記事では、話題の曲をきっかけに残クレの仕組みとリスクについて解説します。

「残クレ アルファード」の歌をご存知ですか？

「残クレアルファード曲」と呼ばれる曲をご存じですか？YouTubeで公開されるや大きな話題となり、現在再生回数は700万回を突破しました。

トヨタの「アルファード」は、国産車の中でも特に人気の高い高級ミニバンです。大きく存在感のあるデザインと、広く快適な室内空間が魅力で、家族でのお出かけはもちろん、送迎やビジネス用途にも選ばれています。高級感のある内装や乗り心地の良さに加え、安全性能やハイブリッドモデルも備えており、幅広い層に支持されています。価格帯は500万円台から1000万円近くまであり、ステータス性の高い車として知られています。

トヨタや特定の人物を揶揄しているわけではありませんが、「残クレアルファード、公道のヒエラルキーの最高峰」というフレーズが繰り返し登場し、アルファードに乗る人は強くてかっこいいという表現しています。

アルファードはベーシックモデルで500万円超、高額モデルでは1000万円近くに達する高級車です。しかし、残価設定クレジットを利用すれば手取りが少なくても購入できるため、「高級車を残クレで買う」という現象が揶揄の対象になりがちです。この曲は、そうした社会的イメージを風刺的に描いたことで、多くの人の共感と笑いを呼んでいるのです。

悲しい結末を迎えてしまった「残クレ」とは

ただこの曲の終わりには、悲しい結末が待っています。かっこいいアルフォードを乗り回して、5年経った返却日に、事故の減価償却や、脱臭クリーニングと走行距離の加算代で、残価を一括で300万円の支払い請求を受けてしまうのです。

では、残価設定とはどのような仕組みなのでしょうか。実際には、この仕組みを十分に理解しないまま車を購入してしまう方も少なくありません。

販売側はディーラーローンと比べて金利が低いことや、月々の支払いが抑えられるといったメリットを中心に説明するため、利用者は良い点ばかりに目が向きがちです。もちろん重要事項の説明は行われますが、ローン審査が通り、購入できる状況になると、「すぐに車が手に入る」という期待が先立ち、説明を十分に理解しなかったり、聞いていても「なんとかなるだろう」と軽く捉えてしまうケースもあります。

そこで改めて、残価設定クレジットの基本的な仕組みと注意すべき落とし穴について、具体的に整理してみたいと思います。

「残価設定クレジット」のメリットデメリット

「残価設定クレジット」とは、自動車を購入する際に、その車の将来の価値（残価）をあらかじめ差し引いてローンを組む仕組みです。

たとえば、300万円の車を購入するケースを考えてみましょう。3年後に100万円の残価が設定されている場合、ローンの対象は「残りの200万円」となります。この200万円を分割して支払うため、月々の負担を抑えられるのが大きな特徴です。

残価設定クレジットのメリット

• 月々の支払いが安くなる
  通常ローンよりも少ない金額で新車に乗れるため、家計への負担を軽減できます。
  
• 最新モデルに乗りやすい
  数年ごとに車を乗り換えやすく、常に新しい車を楽しめます。
  
• 返却すれば残価の支払いが不要
  契約終了時に車を返却すれば、設定された残価を支払う必要はありません。

残価設定クレジットのデメリット

一見するとお得に見える残価設定クレジットですが、意外なリスクも潜んでいます。

• 残価は必ず保証されるわけではない
  キズやヘコミ、走行距離オーバーがあると残価が減額され、差額を請求される場合があります。
  
• 途中解約で高額な違約金
  契約期間中にやむを得ず解約すると、大きな負担となるケースがあります。
  
• 乗り続けたい場合は追加負担が発生
  契約満了後も同じ車に乗りたい場合、残価を一括で支払うか、再度ローンを組む必要があります。再ローンの金利が高めに設定されることも多く、結果的に割高になることもあります。
  
• カスタムや整備に制約がある
  契約内容によってはカスタム不可、ディーラー指定整備が必須など、自由度が制限されます。そのため、「自分好みに車を使いたい派」には不向きです。

このように、車を購入したものの制約も大きく、自由に車を使いたいという人には適さないローンです。月々の支払いが安いからと安易に飛びついてしまうと、後々大きな出費が発生してしまうかもしれません。

車は買い方ひとつで人生が変わってしまいます。自分にあったローンを選択することが、理想のカーライフを送るための一歩になります。

アルファードを買うなら残クレより銀行マイカーローン！

ここまで解説した「残価設定クレジット（残クレ）」の仕組みや注意点を理解したうえで、「それでも残クレを利用したい」という方もいるでしょう。しかし、実は銀行が提供するマイカーローンを利用することで、「残クレ」よりもさらに負担を抑えられる可能性があります。

銀行のマイカーローンの特徴

• 金利が低い
  残クレに比べ、銀行系ローンは一般的に一段階低い金利帯で提供されているため、総返済額を抑えることが可能です。
  
• 所有権が購入者にある
  銀行ローンの場合、ローン返済中であっても車の所有権は購入者に移ります。これは、将来的な乗り換えや売却の自由度に大きく影響します。
  

所有権が自分にある

所有権が自分にあるかどうかは、カーライフに大きな差をもたらします。

残クレやディーラーローンでは、返済が完了するまで車を自由に処分することができません。原則として、一括返済を終えないと売却できない仕組みになっているため、乗り換え時に大きな手間や費用が発生することがあります。

一方で銀行マイカーローンであれば、所有権が自分にあるため、返済途中であっても車を売却したり買い替えたりすることが可能です。この自由度の高さは、長期的に見たときに大きなメリットとなります。

もちろん銀行ローンにも弱点があります。残クレやディーラーローンに比べて審査に時間がかかるため、契約時にはやや面倒に感じるかもしれません。

しかし、低金利による返済負担の軽減や、所有権を持てる安心感を考えると、銀行マイカーローンは十分に検討する価値があると言えるでしょう。

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