私立中学の初年度は、学校へ納める納付金だけで100万円前後、受験料や制服・端末まで含めると130万円台になる試算です。支払いは1月の出願、2月の入学金、4月以降の授業料と数回に分かれ、最初の山は合格発表の直後に来ます。この記事では、公的な統計と実在校の募集要項で内訳をそろえ、いつ・いくら必要になるかを時期順に整理します。なお、日本政策金融公庫の「国の教育ローン」は、中学校の入学金・授業料・受験料には使えません。この点は後半で公式の記載を示します。
この記事は2026年10月7日に確認した資料にもとづきます。読者の多くが受験するのは2027年2月の入試ですが、各校の令和9年度(2027年度)の募集要項が出そろっていない場合もあります。そのため金額と期限は、令和9年度と明記したものを除き2026年度入試の要項を例にしています。実際の金額と期限は、志望校の最新の募集要項で確認してください。
目次
初年度費用を調べると、約100万円、約112万円、約156万円と、資料によって数字が大きく違います。差の原因は、どこまでを費用に含めているかです。数字を並べる前に、定義の違いを押さえておきます。
文部科学省の「子供の学習費調査」(令和5年度、令和8年1月に訂正版を公表)は、保護者が1年間に支出した費用を調べたものです。私立中学校の学習費総額は1人あたり年間1,560,359円で、学校教育費1,128,061円、学校給食費9,317円、学校外活動費422,981円の合計です。塾や習い事を含むため、学校に納める金額とは別物です。このうち学校教育費の内訳は次のとおりです。
| 項目(私立中学校・年額平均) | 金額 | 構成比 |
|---|---|---|
| 入学金等 | 119,829円 | 10.6% |
| 授業料 | 458,018円 | 40.6% |
| 修学旅行費等 | 65,276円 | 5.8% |
| 学校納付金等 | 172,268円 | 15.3% |
| 図書・学用品・実習材料費等 | 80,135円 | 7.1% |
| 教科外活動費 | 65,131円 | 5.8% |
| 通学関係費 | 155,293円 | 13.8% |
| その他 | 12,111円 | 1.1% |
| 学校教育費の合計 | 1,128,061円 | 100% |
表は中学1〜3年生を通した平均です。入学金は入学した年度に集中するため、1年生だけで見ると負担はもっと重くなります。同じ調査の学年別の学習費総額は、中学1年が1,869,839円、中学2年が1,281,980円で、差は587,859円です。初年度が最も大きな山になることが、公的統計からも確認できます。
一方、東京都生活文化局が公表した「令和8年度 都内私立中学校の学費の状況」は、都内184校が学則で定める初年度納付金を集計したものです。制服、端末、教材費、修学旅行の積立、寄付などは含まれていません。次の表が、延べ210校の平均額です。
| 費目(令和8年度・都内私立中学校の平均) | 金額 | 納付の考え方 |
|---|---|---|
| 授業料 | 524,818円 | 毎年度納付 |
| 入学金 | 263,929円 | 入学時に一括 |
| 施設費 | 29,238円 | 入学時に一括 |
| その他(学則上の納付金) | 230,049円 | 毎年度納付 |
| 初年度納付金の平均 | 1,048,034円 | 前年度比+14,647円(1.4%) |
| (参考)検定料の平均 | 23,895円 | 出願ごと |
都の調査では、初年度納付金の最高額は2,117,800円、最低額は668,000円でした。平均だけを見て予算を組むと、志望校によっては2倍以上ずれる可能性があります。平均は目安にとどめ、志望校の募集要項の数字を使うのが基本です。
平均値だけでは実感がわきにくいため、2026年度入試の募集要項に金額が載っている2校を計算してみます。どちらも学校が公表している数字で、計算は筆者が行いました。
| 学校(2026年度入試の要項) | 入学金 | 入学金以外の年額・費用 | 合計の目安 |
|---|---|---|---|
| 桜蔭中学校 | 380,000円(入学手続時に納付) | 授業料492,000円、施設費105,600円、教育充実費105,600円、生徒会費・PTA会費等26,500円(年額)。校服約63,000円、端末購入等約150,000円 | 入学金と年額の合計1,109,700円。校服・端末を加えると約1,322,700円 |
| 芝中学校 | 300,000円 | 学納金の年額合計864,800円(2025年度実績。授業料498,000円、設備費136,200円、施設維持費72,000円、教育充実費43,200円ほか)。学習端末は別途請求 | 入学金と学納金の合計1,164,800円。端末費は含まず |
桜蔭は、入学後に寄付を1口100,000円で2口以上「お願いしたい」と要項に書いています。芝も、後援会への施設寄付金として250,000円以上(任意)が入学後に必要になる場合があります。寄付の扱いは学校によって違うため、任意か、実質的に求められるのかを説明会で確認しておくと予算が組みやすくなります。芝の要項には「学納金等については改定することがあります」とも書かれており、入学時点の金額が変わる前提で余裕を持たせる必要があります。
初年度の支払いは、おおむね次の順番で進みます。時期は2026年度入試(東京の私立は2月1日以降に選抜)の要項にもとづく例で、年度や学校によって変わります。
| 時期 | 支払うもの | 金額の例 | 確認したい点 |
|---|---|---|---|
| 12月〜1月(出願) | 検定料(受験料) | 都平均23,895円、桜蔭25,000円、芝30,000円+事務手数料 | 受験する回数ぶんかかる。芝は受験料・入学金を「いかなる事由があってもお返しいたしません」としている |
| 2月上旬(合格発表から数日以内) | 入学金(学校により施設費なども) | 桜蔭380,000円(2月3日13時まで)、芝300,000円(1回は2月3日12時まで) | 決済期限は合格発表の1〜2日後。芝はクレジットカードのみで、別途事務手数料がかかる |
| 2月〜3月 | 残りの入学時納入金 | 報徳学園(令和9年度)は入学時納付金が合計801,000円で、入学金200,000円を第1回、残りを第2回に分ける | 2段階払いの学校では、2回目の期限までに残りの現金が必要 |
| 3月〜4月 | 制服・指定用品・端末 | 桜蔭は校服約63,000円、端末約150,000円 | 要項の本体価格に入っていないことが多い |
| 4月以降 | 授業料など | 昭和学院秀英は月額53,500円(年額642,000円、4月・8月・12月の3期で納入) | 月払い・学期払い・年払いの別と、口座振替の開始月を確認する |
表のとおり、入学前の2〜3月にまとまった現金が出ていきます。合格発表から入学金の期限までは数日しかないため、結果を見てから資金を探すのでは間に合わないことがあります。受験校が決まる秋のうちに、先に必要な金額を見積もっておきましょう。
次は、都内私立中学校の平均額に、受験料と制服・端末の費用を足した試算です。受験回数と制服・端末の費用は、説明用の仮定です。桜蔭の校服と端末の合計(約213,000円)を参考に、200,000円と置きました。
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 検定料(5校を受験すると仮定) | 23,895円 × 5 | 119,475円 |
| 入学時に一括の納付金 | 入学金263,929円 + 施設費29,238円 | 293,167円 |
| 授業料とその他の納付金(初年度分) | 524,818円 + 230,049円 | 754,867円 |
| 制服・指定用品・端末(仮定) | 200,000円 | 200,000円 |
| 合計 | 1,367,509円 |
合計は約137万円です。そのうち、入学前に必要なのは検定料と入学時の一括分を合わせた412,642円です。残りの授業料などは、4月以降に学期ごとや月ごとの支払いになることが多く、家計の負担を時期で分けて考えられます。授業料等754,867円を12か月で割ると月約62,906円ですが、実際の納付回数は学校ごとに違います。
この試算には、塾の費用、通学定期代、修学旅行の積立、寄付は入っていません。通学関係費は、文部科学省の調査では私立中学校で年間平均155,293円でした。通学距離が長い家庭ほど増えるため、定期代の見積もりは別に行ってください。
支払い方法は大きく、自己資金、学校の分納・延納、銀行の教育ローンの3つです。上の試算では、入学前に出ていく約41万円を自己資金で用意し、授業料などは学校の納付方法に合わせて積み立てる形が組み立てやすくなります。
注意したいのが、日本政策金融公庫の国の教育ローンは、中学校の費用には使えない点です。公庫の「ご利用条件」には、対象の学校が「修業年限が3ヵ月以上で、中学校卒業以上の方を対象とする学校」と書かれ、対象校の一覧は高等学校から始まります。お使いみちの欄にも「義務教育期間中の費用は対象とはなりません」とあります。同じ公庫のよくある質問には、すべりどめ校の入学金も融資の対象になるとありますが、これは対象校(高校以上)の話で、私立中学の入学金には当てはまりません。金利は年4.05%の固定(令和8年7月1日現在、保証料別)と案内されていますが、これは高校以降に使う場合の条件です。
銀行の教育ローンは商品ごとに対象が違います。2026年10月7日に公式ページを確認した範囲では、ドコモSMTBネット銀行の教育ローンは、私立中学・高校の学費・入学金を使いみちとして挙げ、仮審査の申込時点で支払後3か月以内の費用も対象としています。金利は変動で、借入額に対して2%に消費税を加えた事務手数料がかかり、申込時の年齢は満20歳以上、完済時は満70歳未満などの条件があります。三井住友銀行の教育ローンは、対象の学校として大学・大学院・短大・高校・高専・塾・専門学校・各種学校・予備校等を挙げており、中学校は記載がありません。中学校の費用に使えるかどうかは、申込前に窓口で確認が必要です。
銀行ローンの金利は、変動であることに加えて、審査の結果によって適用される金利や借入可否が変わります。この記事では金利の数字を載せません。申込前に、各行の公式ページで最新の金利、事務手数料、借入可能額を確認してください。
自己資金で足りる分、学校の分納や延納で時期をずらせる分、銀行の教育ローンで補う分を、金額と時期で分けてみると、必要な借入額が見えてきます。教育ローンも含めて複数の支払い方法を比べたいときは、CrowdLoanで条件を確認するのもひとつの方法です。
私立中学の初年度費用は、学校へ納める分だけなら都内平均で約105万円、受験料や制服・端末を加えると約137万円(仮定を含む試算)です。ただし資料ごとに含む範囲が違うため、志望校の募集要項の数字で計算し直してください。支払いは入学前の2〜3月に集中するので、早めに資金計画を立てておくと、期限に追われずに済みます。
※本文の合計額は、公表された平均額と募集要項の金額に、受験校数(5校)と制服・端末費用(200,000円)の仮定を加えた概算です。特定の学校や金融機関の条件を示すものではなく、融資の可否や金利を保証するものでもありません。
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