中高一貫校の6年間は、文部科学省の統計を単純に足すと約819万円(私立中学3年間で約467万円、私立高校3年間で約352万円)です。ただし、これは塾や習い事を含む全国平均の合計で、志望校の実際の金額ではありません。年ごとに「入学時の山」「進級時の追加納付」「学費改定」が重なるため、学校の学費表を年次ごとに分けて見積もることが、資金計画の出発点になります。
この記事は2026年10月7日に確認した資料にもとづきます。日本政策金融公庫の「国の教育ローン」は、中学校の費用には使えません。高校課程の費用については、後半で確認方法を書きます。
目次
文部科学省「子供の学習費調査」(令和5年度。令和8年1月に訂正版を公表)には、私立中学校と私立高校(全日制)の学年別の学習費総額があります。学習費総額は、学校教育費に学校給食費と学校外活動費を加えた、保護者の年間支出の平均です。学年ごとに並べて累計を出すと、次のようになります。
| 学年 | 学習費総額(年間・平均) | 累計 |
|---|---|---|
| 中学1年 | 1,869,839円 | 1,869,839円 |
| 中学2年 | 1,281,980円 | 3,151,819円 |
| 中学3年 | 1,519,770円 | 4,671,589円 |
| 高校1年 | 1,392,712円 | 6,064,301円 |
| 高校2年 | 1,150,924円 | 7,215,225円 |
| 高校3年 | 977,725円 | 8,192,950円 |
6年間の合計は8,192,950円で、私立中学校の3年間の合計4,671,589円と、私立高校の3年間の合計3,521,361円の和と一致します。この数字を使うときは、次の3点に注意してください。
学年別に見ると、中学1年が1,869,839円と最も多く、中学2年は1,281,980円まで下がり、中学3年は1,519,770円、高校1年は1,392,712円と再び上がります。入学時の中1と、節目の中3・高1に山があることは、年次の見積もりで押さえておきたい点です。
統計の平均ではなく、志望校の数字で6年分を組み立てる手順は次のとおりです。募集要項の「学費」の欄と、学校のウェブサイトの学費ページを並べて使います。
特に5番目と6番目は忘れがちです。たとえば開成中学校・高等学校の学費ページは、授業料などを4月・9月・1月の各学期に口座振替で納入するとし、申し出により年納・月納もできると案内しています。昭和学院秀英中学校の2026年度の要項も、月額53,500円の学費を4月・8月・12月の3期に分けて納めるとしています。引落月に大きな金額が出るため、月々の家計とは別に、その月のための資金を取り分けておく必要があります。
東京都生活文化局の調査では、都内私立中学校の初年度納付金(総額)の平均は、令和3年度の970,176円から令和8年度の1,048,034円へ、5年間で77,858円(約8.0%)上がりました。年ごとの伸び率は、令和4年度0.8%、令和5年度1.1%、令和6年度2.0%、令和7年度2.4%、令和8年度1.4%です。令和8年度は、調査対象184校のうち51校(27.7%)が初年度納付金を値上げしました。
これは新入生の初年度納付金の平均で、在校生の授業料などの改定とは別の話です。ただ、学校側も「改定することがある」と書いています。芝中学校の2026年度の要項には「学納金等については改定することがあります」とあり、目黒学院の学費ページにも「授業料・維持費は2年次以後、額を変更する場合があります」と書かれています。入学時の金額で6年分を固定して見積もると、後半の年に不足するおそれがあります。
次は、都内私立中学校の平均額をもとにした仮定の試算です。初年度は入学金263,929円、施設費29,238円、授業料524,818円、その他230,049円の合計1,048,034円とします。入学金と施設費は入学時のみとして、中2・中3は授業料とその他の合計754,867円が毎年かかると仮定し、この部分が毎年同じ率で上がる場合を比べます。伸び率の1.4%は令和8年度、2.4%は令和7年度の都の平均の伸び率を借りた仮定です。
| 中学3年間(学校へ納める分のみ) | 中2 | 中3 | 3年間の合計 | 据え置きとの差 |
|---|---|---|---|---|
| 据え置き | 754,867円 | 754,867円 | 2,557,768円 | ― |
| 毎年1.4%上昇 | 765,435円 | 776,151円 | 2,589,620円 | +31,852円 |
| 毎年2.4%上昇 | 772,984円 | 791,536円 | 2,612,554円 | +54,786円 |
中学3年間では差は約3.2万〜5.5万円にとどまりますが、高校の3年間も同じように上がれば、差は6年間で大きくなります。毎年の改定額が小さくても、見積もりには数%の余裕を入れておくと安全です。この表には制服、端末、塾、通学費、寄付は入っていません。
6年間の見積もりで見落としやすいのが、入学後に発生する追加の納付金です。募集要項やウェブサイトで確認できた実在校の例を並べます。年度は各校の資料の記載にしたがいます。
| 学校 | 確認できた内容 | 資料の年度 |
|---|---|---|
| 開成中学校・高等学校 | 第2学年から毎年、施設拡充資金を年額70,000円。中学校第1学年の学級費(学年旅行費・教材費等)は160,000円。中学校から高等学校に進学する際は、高校入学金の半額を入学金として納める | 2026年度の学費ページ |
| 浦和実業学園中学校 | 入学手続時は入学金230,000円+施設設備費40,000円で270,000円。毎月の納入金63,000円(授業料34,000円、教育充実費2,400円、諸会費1,600円、積立金25,000円)。2・3年生への進級時に年1回、施設設備費40,000円。制服・体育着・カバン・補助教材は別途 | 2025年度(令和8年度)の要項 |
| 目黒学院 | 高等学校に内部進学する際にも入学金が必要で、減額措置がある。授業料・維持費は2年次以後に額を変更する場合がある。模擬試験・教材・教具費用などが別に約69,000円 | 令和8年度実績 |
| 芝中学校 | 高校への進学の際には所定の入学金を申し受ける(金額は中学の要項には記載なし) | 2026年度の要項 |
表のとおり、「内部進学なら入学金は不要」とは限りません。開成のように半額となる学校、目黒学院のように減額措置がある学校、芝のように金額を別に定める学校があり、高校進学時の入学金は学校ごとに扱いが違います。浦和実業学園のように、学年が上がるたびに施設設備費を納める学校もあります。中学の入学前に、高校進学時と2年目以降の納付金をまとめて質問しておくと、6年分の見積もりの精度が上がります。
高校段階では、国の高等学校等就学支援金が使えます。文部科学省のQ&Aによると、令和8(2026)年4月から所得制限が撤廃され、私立高校(全日制)の支給上限額は月額3万8,100円、年額に直すと45万7,200円になりました。この制度は授業料を支援するもので、中学校の授業料は対象になりません。施設費、維持費、諸会費、積立金なども、授業料とは別に考える必要があります。
仮に高校の授業料が年60万円の学校なら、上限45万7,200円の支援があるとして、授業料の自己負担は142,800円です(60万円−45万7,200円。説明用の仮定)。実際の支給額や手続きは、学校や都道府県の案内で確認してください。中高一貫の6年間では、高校段階は授業料に支援制度がある一方、進学時の入学金や施設費などの追加納付が別に発生するという違いを、見積もりに反映させます。
6年間の費用を全部、入学前に用意する必要はありません。入学前に必要なのは、受験料と入学時の納付金までです。その後は、年ごと、学期ごとに分けて払っていく形になります。そのため、資金計画は「入学前までに用意する分」と「入学後に家計から払う分」に分けて立てます。
国の教育ローンについては、日本政策金融公庫のご利用条件で、対象校は「中学校卒業以上の方を対象とする学校」で、一覧は高等学校から始まります。お使いみちの欄には「義務教育期間中の費用は対象とはなりません」とあるため、中学校の3年間の費用には使えません。一方で、高等学校は対象校に含まれます。金利は年4.05%の固定(令和8年7月1日現在、保証料別)で、融資限度額は子ども1人あたり350万円(一定の要件で450万円)、返済期間は20年以内、今後1年間に必要となる費用が対象です。世帯年収の上限もあります。ただし、中高一貫校の高校課程の入学金や授業料が対象になるかどうかは、学校の種類や費用の性質で変わりうるため、申込前に公庫の教育ローンコールセンター(0570-008656)で確認してください。審査の結果によっては借りられないこともあります。
銀行の教育ローンは商品ごとに条件が違います。ドコモSMTBネット銀行の教育ローンは、私立中学・高校の学費・入学金を使いみちとして挙げており、金利は変動、借入額の2%に消費税を加えた事務手数料がかかります。2026年10月7日時点では、公式ページの金利表示の日付が取得できなかったため、数字は載せません。変動金利のローンは、返済中に金利が変わる可能性があり、適用金利は審査結果によっても異なります。
自己資金の積立、学校の分納・年納の選択、銀行の教育ローンを組み合わせて、6年間の負担を無理なく分けましょう。中高一貫の6年間のお金を、複数の支払い方法で比べたいときは、CrowdLoanで条件を確認してみてください。
中高一貫校の6年間は、統計上は約819万円(学校外活動費を含む平均の単純合計)です。実際の金額は学校ごとに大きく違うため、年次ごとの学費表、進級時の追加納付、高校進学時の入学金、学費改定の余裕を分けて見積もってください。中学校の費用には国の教育ローンが使えない点も、早めに押さえておくと資金計画の選択肢を整理しやすくなります。
※本文の試算は公表された平均額や上限額を使った仮定の概算で、特定の学校や金融機関の条件を示すものではありません。融資の可否や金利を保証するものでもありません。
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