受験の直前期は、塾の講習費や受験料が、短い期間に集中します。東京都には、そうした費用を無利子で借りられる「受験生チャレンジ支援貸付事業」があります。ここで大切なのは、これが給付ではなく貸付であることです。
この記事では、2026年度の内容を確認したうえで、2027年に進学する受験生の資金繰りを考えます。同じ教育費の支援でも、貸付・給付・助成・援助では、返済の有無や申請先が違います。その違いを、表で整理しながら説明します。
目次
対象は、中学3年生・高校3年生、またはこれに準じる方を養育する、都内在住の低所得世帯の生計中心者です。貸し付けの対象になる費用は、学習塾等の受講料と、受験料です(2026年10月7日確認)。
| 費用 | 貸付の上限 |
|---|---|
| 学習塾等の受講料 | 30万円 |
| 中学3年生等の受験料(高校等) | 2万7,400円 |
| 高校3年生等の受験料(大学等) | 12万円 |
利子はかかりません。つまり、無利子での貸付です。そして、高校や大学等に入学した場合は、返済が免除されます。東京都のページには、返済免除率99%という記載があります。ただし、免除の手続きの詳細は、窓口で確認してください。
申込みの窓口は、お住まいの区市町村です。2026年度の受付は、4月1日から始まっています。このページの更新日は、2026年4月1日でした。受付の終わりの時期は、確認できた範囲では記載がなく、窓口に問い合わせる必要があります。
所得の目安は、世帯の人数によって異なります。一般の世帯で3人世帯の場合は、年間の総収入が441万円以下で、合計所得金額が年間308万7,000円以下が参考です。ひとり親世帯で2人世帯の場合は、総収入が405万7,000円以下という目安もあります。
ただし、これらは目安であり、世帯の構成によって基準は変わります。都のページには、対象者のチェックツールやQ&Aが用意されています。まずはそれで見当をつけて、そのうえで窓口で確認する、という順番が現実的です。
収入だけで対象を判断しないことも大切です。東京都の案内には、預貯金等の資産が600万円以下であること、居住用以外の土地・建物を所有していないことなど、別の条件もあります。対象の子どもの年齢や、他の公的制度との併用条件も確認してください。
なお、返済の方法や期間は、確認できたページに記載がありませんでした。条件の詳細は、申込みのときに窓口で説明を受ける必要があります。返済に関する条件は、契約の前に必ず確認してください。
教育費の支援には、似た名前の制度が多くあります。返済が必要かどうかで、使い方は大きく変わります。次の表に、この連載で取り上げた制度のうち、受験・進学に関わるものを並べます。
| 制度 | 種類 | 返済 | 申込み先 |
|---|---|---|---|
| 受験生チャレンジ支援貸付事業 | 貸付(無利子) | 高校・大学等に入学した場合は免除 | 区市町村の窓口 |
| 私立高校等奨学給付金 | 給付 | なし | 私学財団(通常申請は7月に終了) |
| 私立高校の授業料軽減助成金 | 助成 | なし | 私学財団(通常申請は7月に終了) |
| 公立小中学校の就学援助 | 援助 | なし | 区市町村 |
受験生チャレンジ支援貸付は、貸付です。入学すれば返済が免除されるとはいえ、免除は入学が条件です。給付のように「条件を満たせば受け取れるお金」とは、性格が異なります。
また、貸付は、塾代と受験料に使うお金です。進学したあとの授業料や入学金は、別の制度で考えます。たとえば、私立高校の授業料には、国の就学支援金と都の助成金があります。使う時期と目的が違うので、一つにまとめて考えないでください。
ここから、すべて仮定の数字で計算します。高校3年生の受験生が、冬期講習と直前対策に18万円を使い、私立大学を3校受けるケースです。受験料は1校3万5,000円とします。
| 項目(仮定) | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 塾の講習費 | 180,000円 | |
| 受験料 | 35,000円×3校 | 105,000円 |
| 合計 | 180,000円+105,000円 | 285,000円 |
| 塾代の貸付上限との差 | 300,000円−180,000円 | 120,000円(上限の余り) |
| 受験料の貸付上限との差 | 120,000円−105,000円 | 15,000円(上限の余り) |
この仮定では、塾代も受験料も、貸付の上限の範囲に収まります。借りるなら合計28万5,000円です。上限を超えていないため、理屈の上では、全額が貸付の対象に入ります。ただし、実際の貸付額は、審査や窓口の判断で決まります。
注意したいのは、時期のずれです。受験料の支払いは、出願の時期に集中します。貸付は、申込みから審査、貸付までに日数がかかる可能性があります。支払いの期限の前に、手続きが間に合うかを、窓口で早めに確認してください。
都の案内では、審査後に借用書を提出してから送金まで2〜3週間程度とされています。さらに、資金使途を確認する領収書の提出も必要です。2026年度分は2027年3月末までが提出期限で、領収書を確認できない場合は一括返金を求められます。借りる前に、支払期限と書類の保存方法を決めておきましょう。
貸付が受けられなかった場合や、間に合わなかった場合の備えも必要です。受験料や塾代の支払いを、いつまでに、いくら払うかを一覧にしておきます。そのうえで、家計から出せる額と、不足する額を分けて考えましょう。
2027年に進学する受験生は、2026年度の制度を利用する立場にあります。2026年度の受付は、4月から始まっているので、すでに利用できる時期です。冬の受験期に向けて、秋のうちに窓口の相談を済ませておくと安心です。
手順は次のとおりです。まず、受験する学校と日程から、必要になる費用と時期を書き出します。次に、お住まいの区市町村の窓口で、対象になるか、必要な書類は何かを確認します。そして、貸付の申込みと、他の支援の申請を、並行して進めます。
2027年度の貸付の内容は、2026年10月7日時点で未発表です。2027年に進学する受験生は、2026年度の制度で借りるため、実務上は2026年度の条件が基本です。ただし、受付の終わりの時期は不明なので、早めの相談が大切です。
進学が決まったあとの費用にも、目を向けましょう。入学金や授業料は、受験の費用とは別に、短い期間でまとめて必要になります。公的な助成や給付の多くは、入学後に申請し、入るのは後になります。入学時の資金の見通しも、あわせて立てておくと安全です。
まず、受験生チャレンジ支援貸付を含め、公的な制度の対象になるかを確認します。そのうえで、不足する分については、銀行の教育ローンと、国の教育ローンを比べる方法があります。
教育ローンは、金利や返済期間、申込みから入金までの日数が異なります。受験の時期に間に合うかも、大切な比較の点です。銀行からの提案を比較したい場合は、クラウドローンも選択肢です。審査の結果や金利は、個々の状況で変わり、保証するものではありません。
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