2024年04月05日
高齢化社会の進展により、介護が必要な人が増加しています。ひとたび介護が必要な状態になると、施設入所や訪問介護など様々なサービスがあり、それに伴い費用も高額になってきます。このような介護に関する費用負担に対応するために生まれたのが、介護ローンです。
今後益々大きくなる介護ローン市場について、実際に介護ローンの商品開発に携わったUI銀行のプロモーション部部長の平貴夫さん、UI銀行のプロモーション部シニアマネージャー近藤正規さん、プロダクトマネジメント部シニアマネージャー伊藤千晶さんに話を伺いました。
目次
2025年には、日本の人口の21%が65歳以上の高齢者となり、超高齢社会を迎えます。高齢者の増加に伴い、医療・介護サービスの需要が急増し、医療機関や介護施設の不足、医療・介護従事者の不足などがますます深刻になると言われています。超高齢社会における介護の問題は、日本全体が取り組むべき、大きな社会課題と言えるでしょう。
近年では、仕事と介護の両立ができずに、家族の介護を理由に仕事を辞める介護離職の問題も注目されています。介護による離職は本人や家族の収入が減少するだけではなく、企業にとっても働き盛りの人材を失うことになり、生産性低下につながる大きな問題です。
また、親や祖父母の介護を日常的に行っているヤングケアラーの子どもが、介護の負担から精神的なストレスを抱え、社会的に孤立し、生活に不安を抱えるケースも多く見られます。
介護にかかる費用は、介護保険制度による公的支援がありますが、全てをカバーすることはできません。公的支援の対象となるのは、要介護認定を受けた高齢者のみです。また、公的支援でまかなえるサービスは限られていて、それ以外の費用はすべて自己負担になります。
では、実際の介護費用は総額でどのくらい必要なのでしょうか。2021年に「生命保険文化センター」が過去3年間に介護経験がある人を対象におこなった調査によると、公的介護保険の自己負担分を含んだ平均的な介護費用は、住宅改造や介護用ベッドの購入費など一時的な費用が平均74万円、月々の費用が平均8.3万円であることが分かりました。
介護期間の平均は5年1ヵ月であり、月々の費用の8.3万円を掛けると合計約506万円、これに一時的な費用を足すと平均で、総額約580万円程度になります。
介護が必要な状況は人によって異なりますが、ひとたび介護が必要になると、公的な介護保険制度を利用してもこれだけのお金がかかってくることが分かります。また、民間の老人ホームを利用する場合は、入居一時金や月々の利用料などもかかるので、さらに大きな費用が必要になります。
近年、介護費用の増加に伴い、ローンへの需要が高まっています。しかし、介護期間や必要な支援は高齢者によって異なるため、従来の金利が高く、返済期間が短いローンでは対応が難しいという問題がありました。このような課題を解決するために誕生したのが、「介護ローン」です。介護ローンは、介護費用を負担軽減するために、低金利・長期返済可能な設計になっているのが大きな特徴です。
介護ローンの利用条件は、それぞれの金融機関やプランにより異なっていますが、下記のような利用条件が一般的です。
通常のローンと同様に満20〜65歳と設定している商品が多く見られます。ただし、介護ローンでは完済時の年齢が満70〜75歳以下に指定されるなど、条件が特記されていることにも注意しましょう。
収入についてもほかのローンと同じく、安定かつ継続した収入があり返済能力があることを求められます。そのため、年金生活者や老々介護の方、介護のために離職した方は利用できない可能性もあります。
介護ローンは、本人または配偶者、もしくは親や兄弟、配偶者の両親などの3親等内の血族に被介護者がいる場合に利用できます。被介護者と別居している場合でも利用可能です。
介護ローンの利用用途は、上記のリストにあるような介護にまつわる費用に限られます。介護のための自宅のリフォーム費用や、車いすや介護ベッドなどの高額な介護機器の購入費用だけではなく、介護施設やヘルパーを利用する場合の料金や交通費などの日常の介護にかかる費用も対象となります。さらに、介護用紙おむつなどの消耗品の購入費にも利用できるのが大きなメリットです。
介護ローンは、一般的なカードローンより金利が低く、手続きから融資までが短く、公的機関よりも条件や手続きが簡単です。介護保険は通常、利用者が利用料金を先払いし、領収書等を添付して給付申請を行うため、入金までに申請から1~2ヶ月程度かかります。一方、介護ローンは申し込みから入金までの手続きが早いので、経済的に余裕が生まれることになります。また、介護が長期化する可能性にも対応できるよう、返済期間は7年、10年など長めに設定されています。
ただし、金利負担が少ないといえども、それでも金利は発生します。返済計画をしっかり立て、金利負担を最小限に抑えるようにしましょう。また、通院や治療代のような医療費には介護ローンを使うことはできません。
介護費用は、本人だけでなく家族にとっても大きな負担です。介護ローンを利用する際には、上記の注意点をしっかりと理解し、慎重に検討することが大切です。
介護を担う世代をサポートする商品として、介護ローンの展開に積極的に取り組んでいるのが、東京きらぼしフィナンシャルグループの株式会社UI銀行です。UI銀行は、東京きらぼしフィナンシャルグループが2022年1月に開業したデジタルバンクで、店舗を持たず、アプリ上で全ての取引を行うため、時間や場所に縛られることなく、いつでもどこでも気軽に利用できます。
UI銀行がなぜ介護ローンに力をいれるのか、その開発の経緯や想いについて、商品開発に携わった、プロモーション部部長の平貴夫さん、プロモーション部シニアマネージャー近藤正規さん、プロダクトマネジメント部シニアマネージャー伊藤千晶さんに話を伺いました。
(聞き手 クラウドローン代表 村田大輔)
ーまずは、UI銀行さんについてのご紹介をお願いします。
伊藤:私たちのブランドコンセプトは「ふやすのは、わたし資産」です。金融サービスだけではなく、自分がありたい姿になるために必要な、思い出や経験といった無形資産も含んだ資産形成をサポートし、利用者の生活によりそった非金融のサービスの充実も目指しています。
近藤:2年目の銀行としては非常に好調にお客様を増やしていて、2023年12月末時点の預金残高は約4100億円、口座数は約11万口座に達しています。
ーUI銀行という名称はとても新しい感じがしますが、どのような意味があるのでしょうか。
伊藤:UI銀行の名称には、「あなた(U=You)と私(I)=わたしたち)」。
人と人とのつながりを大切にし、思いをつないでいきたい、との意味が込められています。
デジタルバンクでありながら、“サービスをつなぐ” “世代をつなぐ” “地域をつなぐ” プラットフォームとして、みなさまに親しまれ、愛される銀行を目指しています。
ーUI銀行さんが開発した介護ローンは、他の銀行には見られない特徴を持つユニークな商品だと思います。どのような経緯で介護ローンは生まれたのでしょうか。
平:近年、高齢化社会の進展により、介護市場は急速に拡大しています。それに伴い、介護を担うミドルエイジ世代は、子供の教育費と親の介護費用の両方に負担を強いられるケースが増えています。
私たちは、こうした社会的な課題を踏まえ、介護を担う世代をサポートしたいという想いから、介護ローンを開発しました。介護ローンを提供している銀行は多くありませんが、私たちは新しいマーケットを開拓するという気持ちでチャレンジしました。
ー具体的には、介護ローンはどのような使途に使われているのでしょうか?
平:一番大きい資金使途は介護施設の入居費用ですが、それだけではなく、実際に、お風呂につける手すりの費用や、自宅にスロープを作るバリアフリー対応費用などに使われています。介護はいろいろと費用が掛かるので、基本的に幅広く介護に関する資金使途に使ってもらいたいと考えています。
ー介護ローンの対象は高齢者だけでしょうか?
伊藤:介護が必要なのは高齢者だけではありません。お子さんでも、若い方でも介護が必要な場合があります。介護ローンの使い道は自由です。介護ローンは、老人ホームに入所するための費用だけでなく、さまざまなサービスに利用できます。介護ローンは、年齢に関係なく、介護が必要な人がいれば誰でも利用できます。
ーUI銀行の介護ローンには、「都度借入型」という特徴がありますが、これはどのようなものなのでしょうか。
伊藤:都度借入型ローンとは、あらかじめ設定した限度額(極度額)の範囲内であれば、必要な時に必要な金額を借り入れられるローンです。一般的にローンというと、大きな金額を借りるイメージが強いと思います。しかし、介護ローンは、介護用具の購入や日常生活での利用など、比較的小さな金額から借りられるのが特徴です。審査は最初の1回だけなので、限度額の範囲で、基本的に介護に使うということがわかれば、いつでも自由に借りることができます。
ー介護ローンの借入限度額はどれくらいですか?
伊藤:50万円から500万円までのご希望金額をお選びいただけますが、最終的な利用枠は審査結果によって決定されます。多くの場合、100万円前後が多いようですが、詳細は審査結果にてご確認ください。
ーUI銀行の介護ローンにはガン保障特約付きの消費者信用団体生命保険がつけられるのも大きな特徴ですね。どのようなメリットがあるか説明してもらえますか。
伊藤:団体生命保険(団信)は、住宅ローンに付帯されることが多い保険です。契約者が死亡した場合、ローン残高が全額支払われるため、遺された家族は金銭的な負担や家がなくなるリスクから守られます。
ガン保障特約付きの消費者信用団体生命保険が付帯した介護ローンでは、死亡または所定の高度障害状態に該当したとき、生まれて初めてガンと診断確定されたときには保険金を未返済債務に充当し、ローン残高が0円になります。ローンの返済負担が一切なくなることで、ご本人もご家族も安心することができます。
ー介護ローンのお申し込み手続きについて教えてください。
伊藤:UI銀行に口座を持っている方はスマホアプリから申し込みできます。申し込みはアプリをダウンロードして、最後までアプリ内で完結します。保険付きと保険なしのいずれかを選択できます。UI銀行に口座をお持ちではない方はアプリ外からの申し込みも可能です。
ースマホアプリの文字が大きくて、操作がしやすいですね。
近藤:どなたでも利用しやすいように、ボタンをわかりやすく設置しています。より見やすく、より早く動くように、アプリを今年4月にリニューアルしました。
ー申し込みをした後の流れを教えてください。
伊藤:希望のローンを選択した後は、審査に入ります。本人確認のため、確認書類をアップロードしてもらいます。審査の結果もメールで連絡がきますので、本人による意思確認ができたら、すぐご利用いただけます。最短で翌営業日には借り入れができるようになっています。
近藤:アプリで借り入れすると普通預金口座に入金されますので、ATMから出金ができます。ローン用のカードは発行されない商品なので、キャッシュカードを使ったり、スマホATMなら、セブン銀行でキャッシュカードのかわりにスマートフォンアプリを使って、お引き出しできます。
ーとても簡単に借りられるように感じられますが、返済についてはいかがですか?
伊藤:介護ローンの返済は、定額返済の自動引き落としですが、ボーナス月など余裕のある月は、随時返済でいつもより多めに返済することが可能です。ご自身の状況に合わせて柔軟に対応できるようになっています。
ーUI銀行さんは、介護ローンのような新しい商品を開発しているので、大変新しく革新的な銀行という雰囲気を感じますが、実際のところはいかがでしょうか。
平:うちの銀行は新しい銀行なので、銀行員以外の経歴を持つ者が半数近く在籍しています。外国人社員も多く、従来型の銀行のイメージとは少し違って、みんなで新しいサービスを作り上げるんだという気持ちがあります。
近藤:その中でも、介護ローンは、他にはあまりない革新的な商品なので、社内でも非常に注目されています。会社全体の期待値が高く、私たちも良い意味でのプレッシャーを感じていますが、「こんなにいい商品をつくりました」と胸を張って言える商品なので、介護という分野に関しては、先行していきたいと思っています。
ーデジタルバンクは、なかなかお客様と触れ合う機会が少ないようにも思えますが、お客様とのコミュニケーションはどのような形でとられるのでしょうか?
平:我々はデジタルバンクとはいっているものの、きらぼし銀行の窓口、リアルのチャネルをもっているのが強みです。きらぼし銀行をご利用のお客さまにも、UI銀行のサービスをご利用いただきたいと考えております。きらぼし銀行のお客様はシニアの方が多いので、はじめてデジタルバンクを使うシニアの方は、ご来店いただいて、きらぼし銀行の窓口で使い方を聞いてもらうことができます。
ーきらぼしグループが掲げている「シニア世代へのデジタル支援」というコンセプトとも一致しますね。
近藤:私もミドルエイジ世代であり、親の介護をした際に、介護疲れやお金の問題によるストレスを経験しました。ローンというとネガティブなイメージを持つ方もいらっしゃいますが、ポジティブなイメージを持って活用し、「これがあるから安心」と感じられるような使い方をしてもらいたいと考えています。
平:介護はそれなりの負担がありますが、介護費用という心配事からお客様を解放してあげられる一助になればと思っています。最初に申し上げましたが、ブランドコンセプトとして「ふやすのは、わたし資産」という形で、金融だけではなく、非金融のサービスも提供する中で、利用者様には豊かな人生を歩んでいただきたいという気持ちがあります。介護ローンは、単なる金融商品ではなく、豊かな人生を歩むための大事なサービスだと考えています。
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日本が直面する超高齢化社会では、介護の必要性とその費用は避けては通れない問題です。介護ローンは、こうした状況に対処するための財政的な支援として急速に需要が高まっています。特にUI銀行のように、低金利で長期間の返済が可能な介護ローンは、多くの家庭にとって大きな救いとなり得ます。本記事では、介護ローンの背景、必要性、そしてその利用方法について詳しく説明しており、介護負担に直面している方々にとって価値ある情報となっています。