2023年06月27日
老人ホームへの入居を検討するとき、「どのくらい費用がかかるの?」「誰が支払うの?」といったお金に関する心配ごとは多いはずです。この記事では、老人ホームの入居費用として必要な「入居一時金」や「月額利用料」の相場をはじめ、主な老人向け施設の特徴も順に解説しています。また、年金や貯蓄以外で費用をまかなう方法も紹介していますので、ぜひお役立てください。
目次
老人ホームには、「公的施設」と「民間施設」の2つがあります。公的施設は、地方自治体や社会福祉法人などの公的機関が運営しており、介護保険が適用されるため民間施設よりも費用が抑えられます。しかし、人気が高いため、入居希望者の多い地域では入居待ちになることもあります。
一方、民間施設は、費用の水準は高いですが設備やサービス面が充実しており、公的施設よりもスムーズに入居できる場合が多いです。また施設によってさまざまな特色があり、なかにはホテルのような内装を整えた高級志向の施設もあります。
「入居一時金」は、老人ホームの入居時にかかる初期費用のことで、「月額利用料」とは別に支払う必要があります。5年や10年といった想定居住期間などをもとに計算した「居住費(家賃)」に相当する費用で、施設によって支払いの有無は異なります。
入居一時金のうち、10〜30%(初期償却費用)は施設の取り分となり、これを差し引いたお金を、毎月支払う月額利用料の一部に充てていく(償却する)仕組みになっています。入居一時金を支払う場合、月額利用料は安くなりますが、入居時にまとまったお金が必要です。なお、入居一時金の償却期間内に途中退去する場合、残金は返還されます。
月額利用料には、上述した居住費のほか、管理費・共益費、食費、水道・光熱費、介護サービスの自己負担分、日常生活費用(理美容代、娯楽費等)などが含まれます。住居費は、利用する居室のタイプや施設の立地によっても異なるので注意しましょう。
<主な老人向け施設の入居費用>
施設の種類 | 入居一時金 | 月額利用料 | 入居条件 | |
公 的 施 設 | 特別養護老人ホーム(特養) | 0円 | 8~14万円 | 要介護3以上 |
介護老人保健施設(老健) | 0円 | 7~14万円 | 要介護1以上 | |
介護医療院 | 0円 | 7~14万円 | 要介護1以上 | |
養護老人ホーム | 0円 | 0~14万円 | 自立 | |
民 間 施 設 | 民間施設介護付き有料老人ホーム | 0~数千万円 | 15~30万円 | 自立~要介護5 |
グループホーム | 0~数十万円 | 10~15万円 | 要支援2以上 |
入居一時金や月額利用料は、老人ホームの種類によって異なります。以下に、主な老人向け施設の入居費用目安、入居要件、各施設の特徴などについてまとめましたので、施設選びの参考にしてください。
公的施設のひとつである特別養護老人ホーム(特養)は、基本的には65歳以上で要介護度3以上の方が入居対象となっています。軽度の認知症がある方、在宅での介護が困難な方向けの施設で、終身にわたって介護サービスが受けられるのが特徴です。要介護度の高い方から入居を優先されますが、入居希望者が多く、特に都心部では待機時間が長くなっています。
特養は入居一時金が不要で、月額利用料は8〜14万円程度です。月額利用料は世帯収入に応じて変動しますが、要介護度や居室タイプ、希望するサービスなどによっても変わります。ほかにも、人員体制を手厚くしたり、特別な介護ケアをおこなった場合には「介護サービス加算」が発生するなど、さまざまな加算費用があります。
介護老人保健施設(老健)とは、怪我などにより自宅での日常生活が困難になった方向けの公的施設です。医師管理の下におこなわれる看護・介護ケアをはじめ、作業療法士や理学療法士といったリハビリ専門職の指導を受けながら、自宅での生活復帰を目指し、自宅環境に合わせた訓練もおこないます。
老健では、医師や看護師による医療的ケアや栄養管理のほか、入浴や排泄などの日常生活のサポートがあります。また、特養よりも看護師の配置人数が多く、24時間体制で看護師を配置している施設も多いです。3〜6ヵ月の短期入所が基本で、3ヵ月ごとに退所判定がおこなわれるのも特徴のひとつです。
入居一時金は不要で、月額利用料の相場は7〜14万円となっています。月額利用料は特養と同様に、要介護度や居室タイプなどによって異なります。
介護医療院は、介護サービスと医療ケアが必要な要介護度1〜5の高齢者が、長期療養・生活をするための公的施設です。長期療養・生活を前提にしているため、プライバシーの配慮がされており、病院よりも広い空間で生活できるようになっています。
また、医師や看護師が常駐しているため、痰吸引や胃ろう、点滴といった医療的ケアや緊急対応、看取り対応も可能です。作業療法士などリハビリの専門職も配置されており、利用者が日常生活を自立して送れるよう機能訓練なども提供されます。
入居一時金は不要で、月額利用料の相場は7〜14万円程度です。なお要介護度や医療ケアの内容、居室タイプなどにより料金は変動します。
養護老人ホームは「特別養護老人ホーム」と名前が似ているため混同されやすいですが、介護サービスを提供する施設ではありません。経済的に困窮し、自力で生活するのが困難な高齢者を受け入れる「養護」を目的とした公的施設です。
経済的な理由だけでなく、身体的・精神的・環境的な要因で自宅で暮らすのが困難な場合も該当します。入居者が将来的に自立した生活を送れるようサポートをおこなうのが目的なため、長期入所は想定されていません。また、介護施設ではないため、要介護度が上がると退去になることもあります。
入居一時金は不要で、月額利用料の相場は0〜14万円です。費用は前年度の収入などによって決まり、経済状況によっては月額費用の免除や減額が受けられる場合もあります。
介護付き有料老人ホームには、要支援・要介護者は入居不可で自立者のみが入居可能な「自立型」、介護スタッフが24時間常駐する介護に特化した「介護型」、要介護者だけでなく自立者や要支援者も入居できる「混合型」があります。
民間施設のため費用は高くなりますが、公的施設と同様に日常生活の介護サービスや介護体制はしっかりしているため、安心して利用できます。入居一時金は0円から数千万円まで幅広く、なかには温泉が付いている高級ホテルのような施設もあります。
入居一時金の支払いは、あり・なしを選べる施設もあります。支払わない方が月々の居住費は高くなりますが、支払う場合はまとまった初期費用が必要です。入居時の経済状況に応じて、負担の少ない方を選ぶと良いでしょう。
グループホームに入居できるのは、認知症と診断された要支援2以上の高齢者で、施設がある市町村に住民票がある方です。入居者は、専門知識と技術のあるスタッフの援助を受けながら5〜9人の少人数で共同生活をおくります。食事の用意や掃除、レクリエーションなどをほかの利用者と一緒におこなうことで、症状が穏やかになったり、症状の進行が緩やかになる効果も期待できます。
入居一時金の相場は0円〜数十万円程度です。月額費用の相場は10〜15万円で、居住費や食費のほかに介護保険の自己負担分、日常生活費が含まれます。また、ほかの介護施設と同様に、特別な介護ケアをおこなった場合などは加算費用も発生します。
老人ホームの費用は「誰が払うのか?」そして「総額でいくら必要なのか?」も気になるところです。
費用は、入居者本人の年金や貯金から支払うのが基本です。厚生労働省の「2019年国民生活基礎調査」によると、「介護を要するもの(本人)」が負担しているという世帯が全体の87.1%を占めています。本人の年金や貯金だけではまかなえない場合は、子どもや親戚が話し合って費用を分担し援助するケースもあります。
親の介護は突然必要になるので、いざ老人ホームへの入居が必要になったときにも慌てることのないよう、早い段階で親の貯蓄状況を把握し、シュミレーションしておくことも大切です。
老人ホームにかかる費用の総額は、例えば入居期間が2.6年間(厚生労働省調査による有料老人ホームの平均入居期間)で、介護付き有料老人ホームに入居した場合、入居費用と月額費用だけで1,000万円程度になります。このほかに、日用品代や入院した場合の入院費などがかかるため、総額では1,300万円程度見込んでおく必要があるでしょう。
老人ホームの種類によっては、入居費用を年金だけで支払える場合もあります。
厚生労働省年金局「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2020年度の年金受給額の平均は、国民年金のみの場合で5万6252円、国民年金+厚生年金で14万4366円となっています。
特養や老健などの公的施設の場合、入居一時金は0円、月額利用料は8〜14万円程度なので、厚生年金を受給する人であれば費用をまかなえる可能性があるでしょう。
公的施設の老人ホームは入居費用が安いぶん人気も高く、すぐに入居するのは難しい場合も多いです。そのため、公的施設への入居待ちのあいだ一時的に民間の老人ホームに入居する方も少なくありません。
民間施設では、入居一時金としてまとまった費用が必要になることも多いため、貯金だけでは足りない場合や、入院などに備えて費用を残しておきたい場合にはローンを活用するのもひとつです。
近年は、高齢化に伴いローンの審査基準の年齢も引き上げられ、年配の方でも組めるローンは増えています。例えば、三十三銀行の「シニア向けフリーローン」は、満60歳以上満75歳以下の人が対象で、担保・保証人不要、年金受給者の方でも申し込みが可能です。用途は問わないため、老人ホームの入居費用に充てることもできます。
こういった老人ホームの費用に使えるローンを探すなら、「クラウドローン」が便利です。クラウドローンは、お金を貸したい金融機関とお金を借りたい個人をつなぐ、融資マッチングプラットフォーム。希望内容を登録して待つだけで、条件に合うローンの提案を金融機関から直接受けとることができます。本人の借入だけでなく、介護費用として子どもが借入したい場合にもぜひ活用してみてください。
老人ホームには複数の種類があり、施設によって対象者や目的も異なります。それぞれの施設の特徴を把握し、被介護者の状態や希望に合った施設を選びましょう。また、老人ホームは立地や設備、提供されるサービスによって費用が変わります。選択肢になる施設は実際に見学するなどし、比較してから選ぶことも大切です。
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老人ホームへの入居に関する費用について、公的施設と民間施設の違いや、入居費用の構成要素について解説しています。特に、入居一時金や月額利用料の相場や、それぞれの老人向け施設の特徴を具体的に示しています。また、費用を支払う方法や、ローンの活用についても触れており、読者にとって役立つ情報が充実しています。老人ホームの選択肢が多い中で、記事は施設選びの参考になるだけでなく、費用のシミュレーションやローンの活用方法にも役立つ内容です。