2023年11月17日
早く離婚したいと思っても、その後の生活を考えるとお金のことが心配でなかなか踏み切れないということもあるでしょう。離婚はこれまでの生活を清算したり、新しい生活のために多くの費用が必要になります。なににどれくらいかかるのかを知り、備えておかなければ離婚後の生活が立ち行かなくなってしまいます。
この記事では、離婚のパターンによってかかる費用の違いや離婚する際に何にお金がかかるのか、離婚したあとに受けられる助成金や税金の減免制度などについて解説します。
目次
離婚に必要な費用はどのようなパターンで離婚するかによって大きく変わります。
円満に離婚する場合は離婚届を役所に提出するだけなので手続きにお金はかかりません。
しかし、相手ともめて離婚の話し合いがまとまらない場合は、離婚調停や離婚裁判をする必要があります。対立が激しく、解決に時間がかかるほど費用が高額になってしまいます。
それぞれのパターンについて解説します。
離婚のパターン | 費用 |
---|---|
協議離婚 | ・手続きに費用はかからない (ただし、離婚協議書を公正証書で作成する場合には公正証書の作成手数料が必要) ・新生活に必要な費用 |
調停離婚、離婚裁判 | ・調停や裁判手続に支払う費用 ・弁護士に支払う費用(弁護士に依頼する場合のみ) ・新生活に必要な費用 |
夫婦で話し合って円満に離婚する場合は、離婚届を役所に提出するだけなので離婚手続きにかかる費用はありません。
しかし、円満な離婚であってもその後のトラブルを防ぐために、「離婚協議書」を作成するのがおすすめです。離婚協議書は、財産分与や慰謝料の支払い、子どもの養育費や面会交流などについて当事者同士で取り決めたことを記した合意書です。
その離婚協議書を公正証書化していれば、慰謝料や養育費の支払いが滞った場合に裁判をせずに強制執行することができます。
公正証書にするには公証役場に数万円の手数料を支払う必要があります。また、専門家に公正証書の作成を依頼する場合は、5〜10万円程度必要になります。
離婚についての話し合いが難航してしまう場合は、離婚調停や離婚裁判をすることになります。その場合、裁判所や弁護士に払う費用が必要になります。離婚調停と離婚裁判のそれぞれについてくわしく解説します。
「調停離婚」は夫婦の一方が家庭裁判所に離婚を申し立てて、調停によって離婚の合意を目指すことです。調停委員と呼ばれる人が当事者それぞれの話を聞き、離婚の条件についての意見の調整をします。調停手続で夫婦間で離婚の合意ができ、調停調書に記載されたときに離婚が成立します。
離婚調停にかかる費用は大体3,000円程度で、弁護士を立てる場合は弁護士費用が別に必要になります。
原則として、家庭裁判所に直接離婚の訴訟を提起することはできず、先に調停をする必要があります。
調停離婚にかかる費用の項目 | 金額 |
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収入印紙代 ・夫婦関係調整調停(離婚) ・養育費請求調停 ・面会交流調停 ・財産分与請求調停 ・年金分割の割合を定める調停 ・慰謝料請求調停 ・婚姻費用の分担請求調停 | 1,200円 1,200円(子ども1人につき) 1,200円(子ども1人につき) 1,200円 1,200円 1,200円 1,200円 |
戸籍謄本(全部事項証明書) | 発行費用450円(郵送で取得する場合には別途送料が必要) |
切手代 | 1,000円程度(家庭裁判所によって異なる) |
その他必要な資料についての取得費用 | 資料によって異なる |
調停で合意できなければ、最終手段として裁判をすることになります。裁判は弁論でおこなうのではなく書面によって主張をぶつけ合うかたちになります。
離婚裁判にかかる費用は、離婚だけを求める場合であれば2万円程度で、裁判に鑑定や証人が必要となった場合には、鑑定費用や証人の日当などが必要となることがあります。
離婚裁判にかかる費用の項目 | 費用 |
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離婚の裁判の申立手数料 | 13,000円 |
収入印紙代 ・夫婦関係調整調停(離婚) ・養育費請求調停 ・面会交流調停 ・財産分与請求調停 ・年金分割の割合を定める調停 ・慰謝料請求調停 ・婚姻費用の分担請求調停 | 1,200円 1,200円(子ども1人につき) 1,200円(子ども1人につき) 1,200円 1,200円 1,200円 1,200円 |
戸籍謄本(全部事項証明書) | 発行費用450円(郵送で取得する場合には別途送料が必要) |
切手代 | 5,000~6,000円程度(家庭裁判所によって異なる) |
その他必要な資料についての取得費用 | 資料によって異なる |
例)離婚+財産分与+子ども2人の養育費を請求する場合 |
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13,000円+1,200円(財産分与)+1,200円(養育費)×子2人=16,600円 |
例)離婚+財産分与+子ども2人の養育費+慰謝料300万円を請求する場合 |
2万円(慰謝料300万円の印紙代)+1,200円(財産分与)+1,200円(養育費)×子ども2人=23,600円 |
弁護士に依頼すると、着手金、成功報酬金、諸経費などがかかり、あわせて80万〜100万円程度かかります。
離婚だけを争うのか、慰謝料や財産分与などについても争うのかによって金額は前後します。
費用を工面するのが難しい場合は、「法テラス」の立替制度を利用することを検討しましょう。
法テラスとは
収入や資産がなくても裁判制度や弁護士を利用することができる制度です。
訴訟費用や弁護士費用を負担するのが難しい人のために、無料で法律相談を行ったり、紛争解決費用の立て替えをおこないます。立て替えてもらった分は利用者が法テラスに分割払いで返済します。
離婚をすると経済的に不利な状況になってしまう場合は、離婚の際に相手に請求できるお金をしっかり請求すれば適切な金額を支払ってもらうことができる可能性があります。離婚で受け取れるお金についてくわしく解説します。
「財産分与」とは、婚姻生活中に夫婦で協力して築き上げた財産を、離婚の際にそれぞれの貢献度に応じて分配することをいいます。
夫婦の共同名義で購入した不動産、夫婦の共同生活に必要な家具や家財などが対象になります。夫婦の片方の名義となっている預貯金や車、有価証券、保険の解約返戻金、退職金なども、婚姻中に夫婦が協力して取得した財産といえるものであれば、財産分与の対象となります。
「養育費」とは、子どもを育てていくために要する費用です。未成年の子どもがいる場合、その子どもの親権者を父母のどちらかに決める必要があり、子どもを監護する親は、子どもを監護していない親に対して養育費を請求することができます。
生活が苦しいからといって養育費を支払えないという理由は認められません。本人の生活水準を落としてでも養育費を支払う必要があります。
養育費が請求できるのは、原則として子どもが18歳になるまでです。
「年金分割」制度は、配偶者の年金保険料の納付実績の一部を分割し、それをもう一方の配偶者が受け取れるという制度です。この制度は「厚生年金保険および共済年金の部分」に限っていて、婚姻期間中の保険料納付実績を分割する制度です。
将来受け取る予定の年金金額の2分の1をもらえるという制度ではなく、保険料の納付実績を分割するという制度です。
年金分割制度を利用するメリットがあるのは、婚姻期間中に配偶者が厚生年金・共済年金を自分より多く支払っていた場合のみです。
離婚の際の「慰謝料」とは、離婚によって生じた精神的苦痛を金銭に換算したものです。
そのため、離婚にいたる原因を作った配偶者に対して、精神的苦痛を被った他方の配偶者が慰謝料を請求することができます。たとえば、配偶者の不貞行為、DV、ハラスメント行為などです。
離婚理由として多い「性格の不一致」や「価値観の相違」などで、どちらか一方が悪いわけではない場合は、慰謝料の請求ができない可能性があります。
「婚姻費用」とは、家族(夫婦と未成熟の子ども)が、通常の社会生活を維持するために必要な居住費や食費、医療費、子どもの学費などの生活費のことです。
法律上、婚姻費用は夫婦が分担する義務を負っています。そのため、法律上の夫婦である限り、別居中であったり、夫婦関係が破綻していたりしても、婚姻費用を支払う義務があります。婚姻費用の請求は離婚が成立するまでとなります。
離婚してひとり親になると経済的に困窮する場合が多いため、助成金などのさまざまな優遇措置が設けられています。どのような制度があるのか知り、厳しい状況をサポートしてくれる公的支援を積極的に活用しましょう。
「児童扶養手当」とは、地方自治体から支給される手当のことです。
児童扶養手当の支給対象となる子どもの条件は、養育者(ひとり親)の所得が一定以下であり、かつ18歳(18歳に達した日以降最初の3月31日)までの児童です。子どもに一定の障害がある場合には、20歳になるまで支給されます。
支給金額は、子どもの人数や受給資格者の所得によって異なります。受給するためには、お住まいの市区町村への申請が必要です。
「児童手当」とは、0歳から中学校卒業(15歳に達した日以降最初の3月31日)までの子どもを養育する親などに対して支給される手当のことをいいます。ひとり親に限らず、支給される制度です。
なお、子どもを養育している者が複数いる場合、子どもの生計を維持する程度が高い人に支給されます。ただし、別居中の両親で生計を同一にしていない場合には、生計を維持する程度にかかわらず、子どもと同居している親に支給されることになります。
児童手当を受給するためには、お住まいの市区町村への申請手続きが必要です。
ひとり親家庭などのひとが病院などで診療を受けた場合、医療費の自己負担分を補助してもらえます。対象は、ひとり親家庭等の18歳(18歳に達した日以降最初の3月31日)までの子ども(一定の障がいがある児童は20歳未満まで)とその養育者(母親や父親など)です。なお、扶養義務者の所得制限等の要件があります。
この制度を利用するには、お住まいの市区町村への申請手続きが必要です。
児童扶養手当の支給を受けている世帯の方がJR通勤定期券を購入する場合に、割引(3割引)を受けることができる制度です。ただし、ほかの割引(学割等)との併用はできません。お住いの市区町村に事前に登録が必要です。特定者資格証明書と特定者用定期乗車券購入証明書の交付申請を行い、それらを持参のうえ、JR定期券販売窓口で定期券を購入します。
自治体によっては住宅手当を支給したり、自立支援教育訓練給付金などの就職に関する補助もあります。
ひとり親の場合「寡婦控除」として所得税と住民税の所得控除を受けられます。
控除される額は一般の寡婦で27万円。特別の寡婦に該当する場合は35万円です。
寡婦控除を受けるためには、年末調整の際に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」という書類に必要事項を記入して勤務先に提出します。
個人事業主は、確定申告の際に申告書の該当欄に必要事項を記入して税務署に提出します。
所得が少ないなどの理由で保険料を納めることが困難な方は、保険料の免除を申請する手続きをして、日本年金機構の承認を受けた場合、承認期間の保険料の全額または一部(4分の1、半額、4分の3)の額の納付が免除されます。
寡婦(夫と離婚または死別した後再婚せず、独身でいる女性)またはひとり親で、前年の所得が135万円以下の場合は保険料の支払いが全額免除となります。
ひとり親であることを理由に国民健康保険料が減免される制度はありませんが、世帯全体の所得の合計が基準額以下であれば、国民健康保険料が軽減(7割、5割、2割)されます。
また、未就学児(6歳に達する日以後の3月31日までにある人)のいる世帯は、未就学児の均等保険料が5割減額されます。所得制限はなく、申請をする必要もありません。
低所得による保険料の軽減がされている場合には、軽減後の額から5割減額となります。
自治体によっては水道・下水道料金の減免や粗大ゴミの処理手数料の減免をしてくれるところもあるようです。離婚の準備を進める段階で、お住いの市区町村にどのような制度があるのかをしっかり調べておきましょう。
財産分与や慰謝料などまとまった金額が支払われる予定が少し先で、新生活のための準備を進めるときの手持ちの資金が不足する場合、一時的にローンを利用する方法もあります。
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離婚の話し合いは、相手が離婚を拒否していたり、離婚条件であらそったりして、なかなかまとまらないこともあります。また、当事者だけで話し合うと感情的になってしまい、落ち着いて話し合いすることができないということもあるでしょう。離婚を急ぐあまり結果的に不利な内容で合意してしまうことにならないよう、離婚について不安のある方は専門の知識を持った人に相談することから始めましょう。
離婚の際に請求できるお金や助成金が多くあります。ときにはローンも利用しながら新たな生活の準備を進めましょう。
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離婚は金銭的な問題で躊躇することが多いですが、正確な情報と適切な準備があれば、新たなスタートを切る上で役立ちます。この記事では、離婚のタイプ別に必要な費用、関連する助成金や税の減免制度を網羅的に解説しています。離婚を考えている方々が金銭的な負担を理解し、計画的に対処するための有益なガイドとなっています。特に、離婚後の経済的な支援を受ける方法について詳しく説明されており、心強い参考情報が満載です。