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ファクタリングとビジネスローンの違い|手数料と金利を試算で比較、使い分けも

ファクタリングは売掛金を期日前に売って現金を受け取る取引で、ビジネスローンはお金を借りて利息とともに返す取引です。費用は、ファクタリングが額面から差し引かれる手数料、ローンが借入期間に応じた利息です。入金を30日早めるだけでも、手数料率によっては年率換算で100%を超えます。

本記事の試算では、額面100万円を30日前倒しで現金化し、手数料5%と仮定しました。この場合の手数料は5万円です。同じ95万円を年4.05%で30日借りた場合の利息は約3,200円です。一時的な入金のずれを埋める単発の利用ならファクタリングも選択肢になります。毎月の資金不足を埋める使い方は、費用が積み上がります。

どちらを選ぶ場合も、契約の形と手数料の水準を確認してから使ってください。以下では、法的な違い、費用の試算、金融庁の注意喚起、借入側の選択肢、使い分けの順に整理します。

ファクタリングは債権の売買、ビジネスローンは借入

金融庁は、ファクタリングを「事業者が保有している売掛債権等を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービス」と説明しています。法的には債権の売買(債権譲渡)契約です。売った後に取引先が支払えなくても、売主が負担しない契約がノンリコースと呼ばれます。

ビジネスローンは金銭の借入なので、取引先からの入金の有無にかかわらず返済義務が残ります。審査の対象は、借り手自身の決算や返済能力です。銀行融資との違いはビジネスローンと銀行融資の違いとは?で解説しています。

項目ファクタリングビジネスローン
法的な性質売掛債権の売買(債権譲渡)金銭の借入
費用額面から差し引く手数料金利に応じた利息(保証料などがかかる場合あり)
取引先が払わない場合契約による(ノンリコースなら売主は負担しない)借り手の返済義務は残る
使える金額売る売掛金の額面が上限審査で決まる借入額

2社間・3社間の違いと債権譲渡の法律

一般に、取引先に知らせずに利用者と業者の2者で契約する形を「2社間」と呼びます。取引先の承諾を得て業者へ直接支払ってもらう形は「3社間」です。どちらも業界の呼び方で、法律上の用語ではありません。

民法467条では、債権の譲渡は「譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ」債務者その他の第三者に対抗できません。法人の場合は、動産・債権譲渡特例法4条の債権譲渡登記をすると、債務者以外の第三者には確定日付のある通知があったものとみなされます。取引先(債務者)に主張するには、登記事項証明書を交付した通知か、取引先の承諾が別に必要です。

このため2社間では、利用者が取引先から代金を受け取り、それを業者へ渡す形になります。取引先との契約に譲渡禁止の特約があっても、民法466条2項は「債権の譲渡は、その効力を妨げられない」と定めており、譲渡自体は有効です。ただし同条3項により、特約を知っていた、または重大な過失で知らなかった譲受人に対して、取引先は支払を拒めます。契約書の特約は事前に確認しておきましょう。

手数料と金利を同じ条件で比べる試算

ファクタリングの手数料は法律上の利息ではありません。それでも年率に置き換えると、ローンの金利と同じ物差しで比べられます。式は「手数料÷(額面−手数料)×365÷前倒し日数」です。

条件は、額面100万円、入金を30日早める、手数料率3%・5%・10%としました。手数料率はいずれも仮定で、相場を示す数字ではありません。融資側は、公庫の国民生活事業(無担保・税務申告2期以上)の基準利率の下限4.05%と上限5.65%(令和8年10月1日現在)を参考にしました。あわせて金利15%と仮定した場合も示します。利息は日割り計算で、円未満を切り捨てています。

方法・条件(30日)受け取る現金費用年率換算
ファクタリング 手数料3%(仮定)970,000円30,000円37.6%
ファクタリング 手数料5%(仮定)950,000円50,000円64.0%
ファクタリング 手数料10%(仮定)900,000円100,000円135.2%
借入95万円 金利4.05%950,000円3,162円4.05%
借入95万円 金利5.65%950,000円4,411円5.65%
借入95万円 金利15%(仮定)950,000円11,712円15%

公庫の融資は30日だけ借りる商品ではないため、借入側の数字は期間と返済方法を単純化した参考値です。実際には審査に日数がかかり、保証料などの費用も加わる場合があります。

1回限りなら、手数料5万円と利息数千円という金額差で判断すると実感に近くなります。年率換算は、繰り返し使ったときの負担を見る指標です。手数料5%の利用を毎月12回続けると、手数料は合計60万円になります。95万円を年4.05%で1年間借りた場合の利息は、元金を返さない単純計算で38,475円です。ファクタリングを毎月の資金繰りに組み込むと、費用が借入よりはるかに大きくなります。

金融庁が注意を呼びかける偽装ファクタリング

金融庁は、ファクタリングを装った高金利の貸付けを行うヤミ金融業者の存在が確認されていると注意を呼びかけています。疑いがある例として挙げているのは、「ファクタリング業者から受け取る金銭(債権の買取代金)が、債権額に比べて著しく低額である」ケースです。

回収を売主に委託し、集金できなかったときに売主が買い戻す契約や、売主が自分の資金で支払う契約は、貸金業に該当するおそれがあるとされています。ノンリコースの規定があるかどうかといった形式だけでなく、経済的な実態で判断されます。2社間では売主が回収を担う形になるため、買戻しや自己資金での支払の定めがないかを契約書で確かめてください。契約書に「売買」と書かれていても、実態が貸付けなら貸金業の規制を受けるおそれがあります。

貸金業には財務局または都道府県の登録が必要です。金融庁のページは、年109.5%を超える利息の契約をした場合に消費貸借契約自体が無効になるとも記載しています。高額な手数料については「かえって資金繰りが悪化し、多重債務に陥る危険性があります」との注意書きがあります。相手が登録業者かどうかは、金融庁の「登録貸金業者情報検索サービス」で調べてください。

個人が勤務先から受け取る賃金を対象にした「給与ファクタリング」は、金融庁が貸金業に該当すると明記しています。最高裁令和5年2月20日決定も、この取引を貸金業法上の貸付けにあたると判断しました。事業者向けの取引とは別の問題として、利用しないよう呼びかけられています。

売掛金を担保に借りる流動資産担保融資保証制度

売掛金を担保にして借りる方法もあります。信用保証協会の流動資産担保融資保証制度(ABL保証)は、売掛債権や棚卸資産を担保に金融機関から借りるときの保証制度です。全国信用保証協会連合会のページでは、保証限度額2億円(保証割合80%の部分保証)、根保証の保証期間1年間、個別保証は1年以内とされています。保証料率は借入極度額・借入金額に対し年0.68%で、保証人は不要です。

利用には金融機関と信用保証協会の審査があり、審査の結果、希望に沿えない場合があります。詳しい条件は、取引のある金融機関か最寄りの信用保証協会に問い合わせてください。

使い分けの目安と支払条件の見直し

ファクタリングが候補になるのは、入金予定は確かだが支払日が先に来る、といった一時的なずれのときです。取引先の信用が高く、手数料と契約内容を確認できることも条件になります。入金が遅れる状態が毎月続くなら、運転資金として借入を相談するほうが費用は小さくなる可能性があります。返済の原資が売上の入金で確保できるかは、借りる前に資金繰り表で確かめましょう。

入金までの期間そのものを短くする交渉も検討してください。下請法は「中小受託取引適正化法(取適法)」に改められ、令和8年1月1日に施行されました。公正取引委員会によると、取適法では同日以後の発注について手形での支払が禁止されています。電子記録債権などの支払手段も、受領から60日以内の支払期日までに代金の満額を受け取れないものは禁止です。

令和9年4月1日からは、独占禁止法上の支払告示が施行されます。取適法の対象とならない製造委託等の取引でも、給付の受領から60日以内の支払が求められます。自社の取引が対象になるかを確認し、支払期日の見直しを取引先と話し合う材料にしてください。

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出典・確認先

調査日:2026年10月8日。金利・制度の内容・法令は改正や見直しで変わることがあります。利用前に各機関の最新情報を確認してください。


POINT

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