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給料が払えない会社の経営者へ|支払日までにやることと遅延損害金・相談先

給料日に給与を全額払えそうにないときは、今日のうちに不足額を確定させてください。そのうえで取引金融機関に連絡し、従業員には支払日より前に事情を伝えます。労働基準法24条は、賃金を毎月1回以上、決まった期日に全額払うよう定めています。従業員の個別の同意で支払を遅らせてよいとする例外は、条文にない点を前提に動いてください。

この記事は、支払日まで数日から数週間ある経営者を想定しています。遅らせ方を探すための記事ではありません。期日に払うための資金の手当てと、払えなかった場合の精算と相談先を順に整理します。

最初にやることは三つです。不足額を確定させること、資金繰り表で入出金を日付順に並べること、取引金融機関に今日電話することです。

給料日までにやること(今日・支払日前・支払日後)

1. 今日やること

まず支払日に必要な額を出します。数えるのは、支払日に口座から出ていく差引支給額の合計です。源泉所得税や社会保険料の納付日も同じ表に入れておきましょう。

次に、支払日までの入金予定と支払予定を日付順に並べた資金繰り表を作ります。売掛金の入金日や、買掛金・家賃の支払日も欠かせません。資金繰り表の作り方と運転資金の目安は運転資金の借入目安と所要運転資金の計算で詳しく扱っています。

不足額が見えたら、その日のうちに取引金融機関へ連絡します。決算書と試算表、資金繰り表を持って相談に行けるよう準備してください。融資には審査があるため、目前の支払日に間に合う前提で計画を立てないでください。

2. 支払日前にやること

売掛先に入金日の前倒しを相談します。支払条件の変更は相手の同意が要るので、早く頼むほど調整の余地が残ります。

従業員への説明は、支払日の前に正直に行ってください。いくら足りないか、いつ払えるか、会社が何をしているかを具体的に伝えます。説明しても、期日に全額を払う義務は残ります。従業員から出産や病気などの費用として請求があれば、支払期日前でも既に働いた分の賃金を払う義務があります(労働基準法25条)。

税金や社会保険料の納付日も重なる場合は、納付の猶予制度を確認してください。手続きは税金・社会保険料が払えない事業者向けの記事にまとめています。

3. 支払日を過ぎてしまったら

未払い分は1日でも早く全額を払ってください。遅れた日数に応じた遅延損害金(退職者は遅延利息)も含めて精算が必要です。計算方法は後の節で示します。

従業員は、労働基準法違反の事実を労働基準監督署に申告できます。申告を理由とする解雇などの不利益な扱いは禁止されています(104条)。今後の支払見込みが立たないときは、早めに弁護士へ相談してください。

残り日数と不足額で決める「まずやること」

状況ごとの初動と相談先の目安です。線引きは目安であり、法律上の基準ではありません。

状況(目安)まずやること相談先期限の考え方
支払日まで2週間以上ある/入金の時期ずれで一部が不足資金繰り表で不足額を確定し、売掛金の入金前倒しと融資を並行して相談取引金融機関、日本政策金融公庫、顧問税理士融資の審査期間を見込み、今日相談を始める
支払日まで数日/不足が一部にとどまる払える額と残額の支払日を確定し、支払日前に従業員へ説明社会保険労務士、取引金融機関残額は1日でも早く払う。遅延損害金が日数分かかる
支払日まで数日/大半が払えず今後の入金見込みも乏しい事業を続けられるかを判断する。新たな借入で埋める前に専門家に相談弁護士(倒産手続の検討を含む)支払日より前に相談する
支払日を過ぎて未払いがある未払額と遅延損害金を計算し、全額を精算社会保険労務士、弁護士、労働基準監督署精算が遅れるほど遅延損害金が増える

給与の遅れ・分割・同意はどこまで認められるか

労働基準法24条1項は、賃金を通貨で、直接労働者に、全額を払うよう定めています。2項は、毎月1回以上、一定の期日を定めて払うよう求めています。

全額払いの例外は条文上、法令に別段の定めがある場合と、過半数組合などとの書面協定で一部を控除する場合です。従業員一人ひとりの同意で支払を遅らせてよいとする規定はありません。分割払いに同意をもらっても、支払日に払えなかった部分は未払いとして残ります。

支払日に払える分だけを先に払うことは、従業員の生活を守るうえで意味があります。ただし残額の未払いは解消しません。違反には30万円以下の罰金の定めがあります(120条)。行為者が会社の従業者でも、事業主に罰金刑を科す規定があります(121条)。

仕事を減らして休ませる場合も負担は消えません。使用者の責に帰すべき事由による休業では、平均賃金の60%以上の休業手当を払う必要があります(26条)。個別の対応が法的に問題ないかは、社会保険労務士か弁護士に確認してください。

支払が遅れたときの遅延損害金の計算

遅延損害金の利率は、従業員が在職中か退職済みかで変わります。在職中の従業員には民法の法定利率が使われます。根拠は、金銭債務の遅延損害金を法定利率で定める民法419条と、法定利率を定める404条です。法務省によると、2026年4月1日から2029年3月31日までの法定利率は年3%です。

退職した従業員には、賃金の支払の確保等に関する法律6条が適用されます。退職日までに払わなかった賃金(退職手当を除く)に、退職日の翌日から支払日まで年14.6%の遅延利息がかかります。退職後に支払期日が来る賃金は、その支払期日の翌日から数えます。率を定めるのは同法施行令1条です。天災地変などやむを得ない事由による遅れは、その期間について適用されません。

次の表は仮定の数字による試算です。給与総額600万円の支払が10日遅れた場合を、365日の日割りで計算し、円未満を切り捨てました。実際は従業員ごとに計算します。

対象利率計算式遅延損害金(遅延利息)
在職中の従業員年3%(民法の法定利率)600万円×3%×10日÷365日4,931円
退職した従業員年14.6%(賃確法6条)600万円×14.6%×10日÷365日24,000円

金額だけを見ると小さく感じるかもしれません。しかし遅延損害金を払っても、期日に払わなかった違反が消えるわけではありません。退職者が多い会社では利率の差も大きくなります。

役員報酬は従業員の賃金と扱いが違う

取締役の報酬を決める手続は、会社法に置かれています。361条によると、報酬の額などを定款で定めていないときは株主総会の決議が必要です。減額の手続は定款や過去の決議の内容によって変わります。

税務上の扱いは別に確認が要ります。国税庁は、事業年度の途中で役員報酬を減らした場合に損金算入が認められる理由の一つとして「経営状況が著しく悪化したこと」を挙げています。一方で、一時的な資金繰りの都合は含まれないと明記しています。減額を検討するときは、事前に税理士へ相談してください。

資金繰り対策にならない制度もある

未払賃金立替払制度は、会社が倒産した場合に退職した従業員の未払賃金の一部を国が立て替える制度です。厚生労働省によると、要件は労災保険の適用事業で1年以上事業を行い、倒産したことです。倒産には破産手続開始決定などの法律上の倒産と、労働基準監督署長が認定する事実上の倒産(中小企業事業主のみ)があります。

立替払の額は未払賃金総額の8割で、年齢別の上限があります。請求は破産手続開始決定などの日から2年以内で、退職後6か月以内に破産等の申立てか認定申請がないと対象になりません。退職した従業員本人が請求し、労働者健康安全機構が支払う仕組みです。機構は立て替えた分の賃金請求権を取得し、事業主に支払を求めます。事業を続けながら給与の不足を埋める手段にはなりません。

雇用調整助成金も給与の穴埋めには使えません。対象は、経済上の理由で事業活動の縮小を余儀なくされ、休業などで雇用を維持した事業主です。売上高などの最近3か月の月平均が前年同期より10%以上減少していることなどが要件です。助成額は、事業主が支払った休業手当の負担額に助成率を掛けて計算します。支給には審査があり、要件を満たさなければ受けられません。問い合わせ先は厚生労働省のページに一覧があります。

給与の資金を手当てする方法

取引金融機関には、手元資金が尽きる前に相談してください。資金繰り表と試算表を見せ、いつまでにいくら足りないかを具体的に伝えます。

日本政策金融公庫の経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)は、社会的・経済的な外部要因で一時的に業況が悪化した事業者が対象です。中長期的に業況の回復が見込まれ、所定の要件のいずれかに当てはまることが条件です。要件の一つに、最近の決算期の売上高が前期か前々期に比べて5%以上減少していることがあります。融資限度額は7,200万円(国民生活事業)、運転資金の返済期間は10年以内とされています。申込先は公庫の支店で、審査の結果、希望に沿えない場合があります。

売掛金の早期回収も並行して進めましょう。請求書の発行を早める、入金日の前倒しを相談するなど、相手との合意で進められることから当たってください。

赤字や債務超過の状態で金融機関に相談する準備は赤字決算でも融資は相談できるかを扱った記事を参考にしてください。

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出典・確認先

調査日:2026年10月9日。法令・利率・制度の要件は改正や見直しで変わる場合があります。最新の内容は各公式ページで確認してください。


POINT

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