中古の戸建てやマンションを買う前に、建物の状態を第三者の目で確認してもらう「ホームインスペクション(建物状況調査)」。検討し始めると最初に気になるのが費用・価格です。この記事では、2026年9月21日時点で各社の公式ページに掲載されていた料金をもとに、基本料金の目安、追加料金が発生する条件と計算例、価格以外で見るべき調査範囲、契約前の段取り、支払いと資金計画までを整理します。
目次
まず、公式ページに掲載されている基本料金です。金額はいずれも税込で、2026年9月21日に確認しました。同じ「基本料金」でも、報告書が含まれるか、どの範囲まで見るかが会社ごとに違うので、料金表はその前提で読んでください。
| 会社 | 対象 | 基本料金(税込) | 報告書 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| さくら事務所 | 中古一戸建て | 77,000円 | 基本料金に含む | 首都圏料金。125㎡超、各階80㎡超、2000年12月31日以前の竣工、図面なし、詳細床下・屋根裏、出張などで追加の可能性 |
| さくら事務所 | 中古マンション | 49,500円 | 別途 | 首都圏料金。エリアによる出張交通費の可能性。築年数割増・図面なし割増は一戸建て向けの設定 |
| アネスト | 中古戸建て Aプラン | 55,000円 | 写真付き報告書はサービスページ上「無償」(エリア別料金ページには9,900円の記載もあり、要確認) | 出張料・面積加算などが別途かかる場合あり。プランに含まれる項目は依頼先に確認 |
| アネスト | 中古戸建て Bプラン | 71,500円 | 同上 | 同上 |
さくら事務所の首都圏向け料金ページでは中古戸建てが77,000円〜と案内されています。あくまで首都圏の料金で、全国一律ではありません。エリアで料金体系が変わる会社は多いので、買う物件の所在地での料金を見るのが基本です。
基本料金だけで収まるとは限りません。さくら事務所のFAQでは、延床125㎡超、各階80㎡超、2000年12月31日以前の竣工、図面がない場合、床下・屋根裏の詳細調査、出張などで追加料金の可能性が示されています。アネストも床下詳細・屋根裏詳細がオプション扱いで、エリアAでは33,000円・27,500円、エリアBでは各22,000円と、エリアで単価が異なります。詳細報告書は、エリア別料金ページでは9,900円の記載がある一方、中古一戸建てのサービスページでは「無償で含まれる」とされており、記載が一致していません。依頼時に確認してください。出張料や面積加算も別途です。
イメージをつかむために、アネストのエリアAで「Aプラン+床下詳細+屋根裏詳細」を選んだ場合を足し合わせてみます。
| 項目(エリアA) | 料金(税込) |
|---|---|
| 中古戸建て Aプラン | 55,000円 |
| 床下詳細調査 | 33,000円 |
| 屋根裏詳細調査 | 27,500円 |
| 合計 | 115,500円 |
この合計は、編集部が公式ページの料金を単純に合算した例で、見積書ではありません。対象物件の条件、Aプランにどこまで含まれているか、出張料の有無で実際の金額は変わります。基本料金が5万円台でも、オプションを足すと11万円を超えることがある、という感覚を持っておくと、見積もりを見たときに慌てません。
料金表を横に並べると差があるように見えますが、調査内容や条件の違いも確認が必要です。報告書が基本料金に入っているか別料金か、床下・屋根裏は点検口からの確認までが基本でその先は詳細調査か、対象面積の上限はどこか、築年で加算があるか。ここがそろっていない比較は、価格比較として成り立ちません。
見積もりを取るときは、①報告書込みか別か、②床下・屋根裏の扱い、③面積・築年・図面有無の加算条件、④出張料の範囲を、どの会社にも同じ条件で伝えてください。本記事でも、各社の調査範囲と報告書の仕様が異なるため、どちらが安い・優れていると断言することはしていません。
費用より先に確認したいのが「誰が、何を見るのか」です。国土交通省が整備した建物状況調査(インスペクション)の枠組みでは、調査は登録講習を修了した建築士が行い、通常の目視などで確認できる範囲の劣化事象を調べるものと位置づけられています。依頼先の調査員がこの要件を満たすかは、確認しておきたい点です。
報告書は、買うかどうかの判断だけでなく、売主との価格交渉や購入後の修繕計画にも使う資料です。写真の点数、指摘事項に優先度がついているか、口頭での説明や質問の機会があるかは、金額と同じくらい実務に効きます。
国土交通省のQ&Aでは、建物状況調査は基礎・外壁などの劣化や不具合を目視・計測で調べるもので、瑕疵がないことを保証するものではない、と整理されています。耐震性能を評価する耐震診断は、今回確認した2社とも別サービス・別料金です。壁の内側や床下の奥など目視できない部分、劣化の原因を突き止める詳細な調査は、別途相談する扱いです。
つまり「検査を通ったから安心」ではなく、「見える範囲で今の状態を把握した」と受け止めるのが正確です。費用を払って得られるのは判断材料としての現状把握。この期待値を合わせておくと、報告書の読み方も変わります。
マンションは、調査対象が専有部(室内)だけか、共用部(外壁・屋上・共用配管など)まで含むかで、費用も報告書の意味も変わります。国土交通省のQ&Aでは、マンションの建物状況調査は専有部分だけでなく共用部分も対象になり、事前に管理組合の了承が必要とされています。料金表では、さくら事務所の中古マンション基本料金は49,500円(首都圏、報告書別途)です。アネストの中古マンション建物調査は公式ページで新規受付停止と案内されているため(2026年9月21日時点)、比較から外しています。
共用部は個人で調べられる範囲が限られるため、管理組合の修繕履歴や長期修繕計画、直近の総会資料と合わせて読むのが現実的です。国土交通省の建物状況調査の対象は、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分です。給排水設備は対象外で、オプション調査の対応を確認してください。
依頼のタイミングは、売買契約を結ぶ前が基本です。契約後に問題が見つかっても、価格交渉や見送りの選択肢は狭まります。まず不動産会社に「契約前にインスペクションをしたい」と伝え、売主の承諾と立ち入り日程を調整します。次に、検査会社へ所在地、築年、延床面積、各階の面積、図面の有無を伝えて見積もりを取ります。図面がなければ追加料金の可能性があることを織り込んでおきましょう。
床下・屋根裏の点検口があるかも事前に確認しておくと、詳細調査ができるか、費用がいくらになるかの見通しが立ちます。調査当日は立ち会えると、その場で気になる箇所を質問でき、報告書の理解も早くなります。報告書を受け取ったら、指摘事項を「すぐ直すもの」「様子を見るもの」「交渉材料にするもの」に分け、修繕見込みを含めて購入の判断を固める、という流れです。
今回確認した2社の基本料金は49,500〜77,000円、オプションを足した計算例では115,500円でした(いずれも公式料金に基づく数字で、相場ではありません)。支払い方法は会社ごとに異なります。さくら事務所は銀行振込・クレジットカードで、サービス終了後に届く案内から1週間以内の後払い、アネストは調査後10日以内の後払いと案内されています(いずれも公式ページ、2026年9月21日確認)。調査は住宅ローンの融資実行より前に行うことが多いため、検査費用は融資実行前に手元資金から支払う必要がある可能性があります。この点は早めに確かめておきましょう。
検査費用そのものは自己資金でまかなえる額であることが多く、この金額のためだけに借入を組むことはおすすめしません。一方で、中古住宅は購入価格に加えてリフォーム費用や諸費用がかかり、検査で見つかった修繕も計画に入ってきます。この「全体の資金計画」の中で、自己資金、銀行の住宅ローンやリフォームローン、施工会社の提携ローンなどをどう組み合わせるかが本題です。
CrowdLoanは、提携金融機関のローンを比較できるサービスで、空き家の購入やリフォームといった用途にも対応しています。資金使途や利用条件は商品ごとに異なり、審査があります。検査費用単独で融資の対象になるかは各金融機関に確認が必要ですが、購入から改修までを含めた資金計画を組む際に、選択肢を並べて比較する手段として活用してください。
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