空き家を直して貸し出したいとき、改修費用をどう調達するかは大きな課題です。2026年9月20日、日本経済新聞は、築古住宅の賃貸流通を促す新たな融資制度について報じました。
2026年9月21日時点で確認できるのは、国土交通省の2027年度予算概算要求に盛り込まれた制度案です。すでに一般募集が始まったローンや、誰でも受け取れる補助金として捉えるのは早計です。この記事では、公表資料に書かれた内容と未確定の事項を分け、改修費用の見積もりと支払い方法まで整理します。
目次
国交省の「令和9年度住宅局関係予算概算要求概要」19ページには、住宅ストックを活用した賃貸住宅融資制度の創設が掲げられています。住宅金融支援機構を通じ、空き家の借り上げや、比較的状態の良い空き家を賃貸住宅として流通させる取り組みを金融面から支える構想です。
| 確認項目 | 公表資料から読み取れる内容 |
|---|---|
| 制度の段階 | 2027年度予算の概算要求。募集開始や融資承認を意味しない |
| 支援の方向 | 既存住宅を改修し、賃貸として供給する事業の資金調達を支援 |
| 図に示された関係者 | 住宅借上事業者等、住宅金融支援機構、地方公共団体、入居者 |
| 入居者として想定される層 | 子育て世帯、中低所得者層等 |
| 予算表記 | 住宅金融支援機構出資金21億円の内数 |
出典:国土交通省「令和9年度住宅局関係予算概算要求概要」19ページ。概算要求は予算の要求段階であり、内容がそのまま確定したわけではありません。
特に注意したいのが21億円という数字です。資料では出資金の「内数」とされ、出資金で信用リスクに対応する図が示されています。21億円を、この新制度だけの貸付総額や個人向けの補助金総額として計算することはできません。
日本経済新聞の2026年9月20日付記事の公開部分では、早ければ2027年度の制度創設が報じられています。一方、今回確認した概算要求資料には、個別の適用金利や借入上限などの具体的な商品条件は掲載されていません。
| 今後の正式発表で確認すること | 資金計画への影響 |
|---|---|
| 申し込める個人・法人、事業の条件 | 相続した家を1戸貸す場合も対象になるか |
| 対象建物・必要な性能 | 耐震・断熱など、必須工事で費用が増えるか |
| 融資率・上限・自己資金 | 工事費の何割を自己負担するか |
| 金利・返済期間・担保・保証 | 毎月返済と総支払額がいくらになるか |
| 申込時期・融資実行時期 | 契約金や着工金を立て替える必要があるか |
「新しい優遇融資ができるらしい」という情報だけで物件を購入したり、工事を契約したりするのは避けたいところです。制度待ちの期間に見積書の有効期限が切れる可能性もあるため、現時点の資金調達でも成立する計画かを確認しておきましょう。
住宅金融支援機構には、現在も「賃貸住宅リフォーム融資(省エネ住宅)」があります。省エネ性能を高める改修資金が対象で、対象工事費の80%が融資上限、返済期間は最長20年の全期間固定金利という仕組みです。ただし、共同建て等の建て方、面積、構造などに条件があります。
したがって、「空き家なら今ある省エネ融資を使える」とも、「既存商品の80%という融資率が新制度にも適用される」ともいえません。古い戸建て1戸の活用では、建物条件を先に照合する必要があります。出典:住宅金融支援機構・商品概要、利用条件。
また、住宅借上制度を利用する場合の「リフォーム融資(住みかえ支援・耐震改修)」もあります。対象となる借上制度や耐震工事の要件が定められているため、自由に貸し出す賃貸経営すべてが対象になるわけではありません。住みかえ支援融資の条件も、事業の形に合わせて確認しましょう。
改修価格は、築年数だけでは決まりません。内装や設備を新しくする費用に加え、雨漏り、床下の劣化、配管、耐震性能などを確認し、賃貸に必要な工事を積み上げます。物件の購入価格が安くても、見えない部分の修繕が多ければ総予算は増えます。
| 費用の区分 | 見積もりで確認する項目 |
|---|---|
| 調査・計画 | 建物状況調査、必要に応じた耐震診断、設計・工事監理 |
| 建物の修繕 | 屋根・外壁、構造部、床下、雨水侵入への対処 |
| 居住性能・設備 | 断熱、窓、給排水、電気、キッチン・浴室等 |
| 工事以外 | 残置物処分、登記、保険、融資諸費用、入居者募集 |
| 運営開始後 | 空室中の費用、管理費、税金、定期修繕の積立 |
例えば、税込工事見積もり500万円、調査・諸費用50万円、予備費50万円と仮定すれば、当初の資金計画は600万円です。これは市場相場や新制度の借入可能額を示す数字ではなく、工事費だけで判断しないための計算例です。補助金を使う場合も、入金時期までの立て替えを別に考えます。
編集部の試算として、月額家賃7万円、年間稼働10か月なら家賃収入は年70万円です。年間の管理・税・保険・修繕用の確保額を合計20万円と仮定すると、返済などに回せる額は年50万円、月平均約4.2万円になります。ここから返済して余裕が残るかを確認します。
満室想定の84万円と比べるだけでも14万円の差が生まれます。実際には税務上の所得計算とは異なり、大きな修繕や募集時の費用も発生し得ます。周辺の成約賃料や募集期間を管理会社に確かめ、家賃が下がる場合も試算することが大切です。
自分が住む家のリフォームと、家賃収入を得るための改修では、選べるローンが異なります。自宅向けの銀行リフォームローンや施工会社の提携ローンを、賃貸事業にも使えるとは限りません。資金使途は申し込み前に明確に伝えましょう。
| 方法 | 比較したい点 |
|---|---|
| 自己資金 | 利息はかからないが、修繕・空室に備える手元資金を残せるか |
| 銀行等のローン | 賃貸用途の可否、固定・変動金利、保証料、担保、繰上返済条件 |
| 施工会社の提携ローン | 工事の見積価格と融資条件を分けて比較できるか |
| 公的な融資・補助制度 | 対象事業・物件、申請時期、入金時期、併用条件 |
資金調達先を比較するときは、CrowdLoanで目的に合う金融機関のローンを確認する方法もあります。物件の用途、工事見積もり、希望借入額を整理し、金利だけでなく諸費用を含む総返済額で検討しましょう。この記事の新制度をCrowdLoanから申し込めると案内するものではなく、賃貸用途の対応可否や融資条件は各金融機関での確認・審査が必要です。
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