ローンの初回返済額が2回目以降より多くなるのは、多くの場合、借入日から初回返済日までの日数が1か月より長いためです。利息は借りていた期間に対してかかるので、初回までが40日、50日と延びれば、その分だけ初回の利息が増えます。逆に、日数が1か月に近ければ差はわずかです。
初回の金額は、融資実行日と返済日の組み合わせで決まります。返済日を選べる商品なら、給料日の数日後に置くのが基本です。返済日が固定の商品では、融資実行日を少し動かすだけで初回までの日数が変わることがあります。この記事では、金融機関の商品説明書に書かれた計算方法と、100万円を借りた場合の仮定の試算で、初回返済額の決まり方と返済日の選び方を整理します。
目次
個人向けの目的別ローンやフリーローンの多くは、毎月の返済額が一定になる元利均等返済です。ただし、毎月一定なのは2回目以降の話です。初回だけは、借りた日から最初の返済日までの日数がばらばらなため、利息の額が変わります。
利息の計算方法を商品説明書で確認すると、仕組みがわかります。空知信用金庫のカーライフプランの商品概要(令和4年4月1日現在)は、初回を除く利息を「ご融資残高×年利率×月数×1/12」、初回の利息を「ご融資残高×年利率×日数×1/365」としています。つまり、2回目以降は月割、初回だけ日割です。初回までの日数が長いほど、初回の利息が増えます。
千葉銀行のフリーローンの商品概要も、利息は原則として「1年を12か月とした月割」で計算し、「借入れ日から第1回ご返済日までの期間が1か月未満の場合の約定利息」などは「1年を365日とした日割」で計算すると定めています。この方式だと、初回までが1か月未満のときは日割で利息が小さくなり、初回の返済額が通常より少なくなる可能性もあるということです。
実際に、ドコモSMTBネット銀行の教育ローンの返済方法のページには「初回ご返済額は、毎月の返済額よりも多い場合があります」と書かれています。PayPay銀行の目的型ローン(新規受付は停止中)のQ&Aも、初回・最終回の返済額は画面に表示される返済額と異なる場合があるとしています。初回の金額が違うのは、商品の設計どおりの動きです。
なお、利息の計算方法は金融機関や商品で異なります。毎回日割で計算する商品もあります。契約前に受け取る商品説明書や返済予定表で、利息の計算方法を確かめてください。
初回返済日の決め方も、金融機関によって違います。公式資料で確認できた例を並べます。
表1 初回返済日の決まり方の例(各金融機関の公式資料、2026年10月18日確認)
| 金融機関・商品 | 返済日 | 初回返済日の決まり方 |
|---|---|---|
| ドコモSMTBネット銀行 目的ローン | 毎月27日 | 実行日が27日なら翌月27日。27日以外なら、次に来る27日の翌月の27日 |
| PayPay銀行 目的型ローン(新規受付停止中) | 1日〜28日・月末から契約時に指定 | 融資実行日の翌月に来る約定返済日から |
| 日本政策金融公庫 国の教育ローン | 返済希望日 | 借入日の翌月または翌々月の返済希望日から |
ドコモSMTBネット銀行のよくある質問には具体例があります。約定返済日が27日の場合、1月15日に実行すると初回返済日は2月27日、1月31日に実行すると3月27日です。前者は借入日から43日、後者は55日あります。同じ金額を同じ金利で借りても、実行日が半月ずれるだけで初回の利息が変わります。
初回まで2か月近く空く仕組みにも利点はあります。融資を受けた直後に最初の引落しが来ると、入学金や車の代金を払った直後で口座残高が少ないことがあります。初回までに間があれば、給料やボーナスで口座を準備できます。その代わり、初回の引落額は通常月より多くなるので、金額を事前に確認しておく必要があります。
ここからは仮定の試算です。借入額100万円、年5.0%の固定金利、返済回数60回(5年)、ボーナス返済なしの元利均等返済とします。年5.0%は計算のための仮の数字で、特定の商品の金利ではありません。
毎月の返済額は「借入額×月利÷(1−(1+月利)のマイナス返済回数乗)」で計算します。月利は年利の12分の1です。この条件では、2回目以降の毎月の返済額は18,871円(円未満四捨五入)になります。最初の1か月分の利息を月割で計算すると4,166円で、返済額のうち元金に充てられるのは14,705円です。
初回については、元金部分は通常どおり14,705円とし、利息だけを「100万円×5.0%×日数÷365」の日割で計算すると仮定します(円未満切り捨て)。実際の初回の計算方法は商品ごとに違うため、あくまで仕組みを理解するための目安です。
表2 初回までの日数と初回返済額(仮定:100万円・年5.0%・60回・元利均等)
| 借入日から初回返済日まで | 初回の利息(日割) | 初回返済額 | 2回目以降との差 |
|---|---|---|---|
| 31日 | 4,246円 | 18,951円 | +80円 |
| 43日(1月15日実行→2月27日) | 5,890円 | 20,595円 | +1,724円 |
| 55日(1月31日実行→3月27日) | 7,534円 | 22,239円 | +3,368円 |
計算式:日割利息=1,000,000円×0.05×日数÷365(円未満切り捨て)。初回返済額=元金部分14,705円+日割利息。2回目以降の返済額は18,871円。
この仮定では、初回までが55日あると、初回は2回目以降より約3,400円多くなります。借入額が200万円なら差もほぼ倍になり、金利が高ければさらに広がります。金額そのものは大きくなくても、給料日前に初回の引落しが来ると残高不足になりやすい点には注意が必要です。
一方で、初回の利息が多いからといって、総返済額が不当に増えるわけではありません。借りていた日数分の利息を払っているだけです。初回までの日数が長いことで増えた利息は、その期間お金を使えたことの対価です。総返済額を抑えたいなら、初回の調整よりも、借入額を減らす、期間を短くする、繰上返済をするほうが効果は大きくなります。
返済日を選べるかどうかは商品によって大きく違います。大東銀行のマイカーローン(2026年7月6日現在の商品概要説明書)は7日・17日・27日のいずれか、きらぼし銀行のマイカーローンとフリーローンは7日か17日を選びます。京葉銀行のマイカーローンは毎月6日で、返済日の変更はできません。みなと銀行のフリーローンは借入手続時に返済日を選び、西京信用金庫のマイカーローンは任意の日を指定できます。りそな銀行の教育ローンも、契約時に毎月の返済日を任意で設定できるとしています。
返済日を選べる場合は、給料日の2〜5日後に置くと、給料の振込が遅れたときや、休日で振込日が前倒し・後倒しになったときにも余裕が残ります。給料日が25日なら、27日や月末を選ぶ考え方です。給料が振り込まれる口座と返済口座が別なら、資金を移す日数も見込んでください。
返済日を選べない商品では、給料日との相性を申込み前に確認します。たとえば返済日が毎月6日で給料日が25日なら、給料日から10日以上あとに引き落とされるので、その間にクレジットカードの引落しや家賃で残高が減らないかを見ておきます。
返済日が土日祝日にあたった場合、多くの商品説明書は「翌営業日」としています。千葉銀行、大東銀行、京葉銀行、日田信用金庫などがこの扱いです。ところがPayPay銀行の目的型ローンのQ&Aには、約定返済日が土曜日・日曜日・祝日でも普通預金口座からの引落しがあると書かれています。休日の扱いが前日に入金しておく必要がある方式かどうかは、商品ごとに確認してください。
初回返済額は契約時の書類で確認できます。目安として、次の順で確かめると漏れがありません。
まず、融資実行日と初回返済日を確認します。融資実行日は、金融機関との契約手続きと、車の販売店や学校への支払日との兼ね合いで決まります。次に、返済予定表で初回の返済額を見てください。初回だけ金額が違うなら、その理由が日数による利息かどうかを担当者に聞いてください。最後に、ボーナス併用払いにしている場合は、最初のボーナス返済月と金額も確認します。空知信用金庫の商品概要では、ボーナス払い分の初回の利息も日数で計算するとされています。最初のボーナス月までの期間が長ければ、その回の利息も増えます。
表3 契約前に確かめる項目
| 確認する項目 | 書いてある書類 | 確かめる理由 |
|---|---|---|
| 融資実行日と初回返済日 | 契約書・返済予定表 | 初回までの日数で初回の利息が変わる |
| 初回返済額と2回目以降の返済額 | 返済予定表 | 初回だけ多い場合に口座残高を準備する |
| 利息の計算方法(月割・日割) | 商品説明書 | 初回や繰上返済時の利息の出し方がわかる |
| 返済日が休日の扱い | 商品説明書・規定 | 前営業日までの入金が必要な場合がある |
| 初回のボーナス返済月 | 返済予定表 | ボーナス分の初回も日割で増えることがある |
初回の引落しで残高が足りないと、延滞として扱われ、遅延損害金がかかります。延滞が続くと信用情報に記録されるおそれもあります。初回は金額が違う前提で、前日までに入金しておくと安全です。引落日に残高が足りなかったときの対処は「ローンの引落日に残高が足りなかったら?」にまとめています。
初回の利息を減らすには、借入日から初回返済日までの日数を短くするしかありません。ただし融資実行日は、支払先への振込期限や金融機関の手続き日程で決まるため、自由には動かせません。車の納車日や入学金の納付期限より後に融資が実行されると、支払いに間に合わなくなります。支払期限に間に合うことを最優先にし、その範囲で実行日を相談するのが現実的です。
初回の多さが家計に響く場合は、初回の引落月に他の大きな支出を重ねない工夫のほうが効きます。自動車税や固定資産税の納付月、保険料の年払いの月と重ならないかを確認してください。初回の数千円よりも、返済期間全体で利息がどう変わるかを見るほうが判断を誤りにくくなります。元利均等と元金均等の違いや総返済額の比べ方は「元利均等返済と元金均等返済の違い」で試算しています。
複数の金融機関を比べる段階では、返済日を選べるか、休日の扱い、初回までの期間も金利と並ぶ比較の材料です。ただ、返済日は契約時に決まる項目で、申込み時点の情報には出ていないことも多いため、本申込みの段階で金融機関に確認してください。
金利や返済条件を複数の金融機関で比べてから決めたい場合は、CrowdLoanで、保証会社の事前審査を経た提案を見比べる方法があります。融資の可否と条件は保証会社と金融機関が審査し、CrowdLoan自体は融資の審査をしません。事前審査の結果は、平日16時までの申込みなら当日19時頃、それ以降は翌営業日に届くと公式FAQに書かれています。提案された金利や借入可能額は確定ではなく、金融機関の本審査で変わることがあります。提案が届くとは限りません。返済日や初回返済日は、提案を選んだ金融機関の手続きで確認します。給与振込口座のある取引銀行で金利優遇が大きい人は、その銀行に直接相談するほうが条件がよい場合があります。資金が必要な日まで1〜2週間しかない人にも向きません。公式ヘルプは入金希望日の1か月以内(マイカーローンは3か月以内)になってからの申込みを案内しているため、入金がそれより先の人は、まだ申込みの時期ではありません。
商品によってはありえます。借入日から初回返済日までが1か月未満なら、日割の利息が月割より小さくなり、初回は通常より少なくなる場合があります。千葉銀行のフリーローンの商品概要は、この場合の初回の利息を年365日の日割で計算すると定めています。
商品によります。京葉銀行のマイカーローンのように返済日の変更ができないと明記している例や、PayPay銀行の目的型ローンのように申込後に約定返済日を変えられない例があります。契約前に給料日との関係を決めておくのが確実です。
今回確認した商品概要では、利息を返済日に払う後払い(後取り)の記載がありました。たとえば日田信用金庫のフリーローンの商品概要は、利息は後取り方式で約定返済日に元金とともに払うとしています。借りた時点で利息を差し引かれる方式ではないかは、商品説明書で確認してください。
千葉銀行のフリーローンでは、繰上返済時の未払利息を前回返済日から繰上返済日までの日数で日割計算すると定めています。繰上返済の手数料や計算方法は金融機関ごとに異なるため、手続き前に確認してください。
調査日:2026年10月18日。金利・返済条件は変わることがあります。試算は仮定の条件で計算した目安です。
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