ローンの提案が複数届いたら、まず金利タイプ・保証料の扱い・返済期間をそろえてから金利を比べます。そのうえで、金利差を総返済額の差に直して、手数料や口座開設の手間と並べると、どれを選ぶか決めやすくなります。
200万円を5年で借りる仮定の試算では、金利が0.5%違うと総返済額の差は約2.7万円です。一方で、融資時の手数料は数千円、繰上返済の手数料は1回数千円と、金融機関によって金利と別の費用が違います。金利差が小さいときは、口座開設や来店の手間、融資までの日数が決め手になることもあります。この記事では、地方銀行のマイカーローンやフリーローンの公式資料をもとに、比べる順番を整理します。
目次
提示された金利をそのまま並べる前に、条件がそろっているかを確認します。条件が違うと、低く見える金利が実際には高くつくことがあるためです。
1つ目は金利タイプです。固定金利は返済期間中の金利が変わりません。変動金利は定期的に見直されます。横浜銀行のマイカーローンの商品概要説明書は、変動金利を毎年4月1日と10月1日に見直し、6月・12月の約定返済日の翌日から新しい利率を適用するとしています。変動の提案が固定より低くても、借りた後に上がる可能性を含めて比べる必要があります。
2つ目は保証料の扱いです。伊予銀行と十六銀行のマイカーローンは保証料を金利に含めています。横浜銀行のマイカーローンは「保証料 不要です」と書いています。西日本シティ銀行のEZマイカーローンは保証料込みの金利が基本ですが、契約時に一括で払う方法も選べ、例として100万円・3年で15,000円を示しています。一括払いを選ぶと金利は下がって見えますが、保証料を足した総額で比べないと公平になりません。
3つ目は借入額と返済期間です。事前審査の結果、希望額より少ない額が提示されることがあります。提示額や期間が提案ごとに違う場合は、同じ額・同じ期間に置き換えて試算し直してください。
金利の差を金額に直すと、どこまでこだわる価値があるかが見えます。以下は仮定の試算です。金利は計算のための仮の数字で、特定の商品の金利ではありません。
表1 金利差による総返済額の違い(仮定:元利均等、ボーナス返済なし、手数料・保証料の一括払いなし)
| 借入額・期間 | 年3.0% | 年3.3% | 年3.5% |
|---|---|---|---|
| 200万円・5年(60回)の毎月の返済額 | 35,937円 | 36,205円 | 36,383円 |
| 200万円・5年の総返済額 | 2,156,220円 | 2,172,300円 | 2,182,980円 |
| 年3.0%との差 | なし | 16,080円 | 26,760円 |
| 100万円・3年(36回)の総返済額 | 1,046,916円 | 1,051,704円 | 1,054,872円 |
| 年3.0%との差 | なし | 4,788円 | 7,956円 |
計算式:毎月の返済額=借入額×月利÷(1−(1+月利)のマイナス返済回数乗)、月利=年利÷12。毎月の返済額は円未満を四捨五入し、総返済額は毎月の返済額×回数の概算です。
200万円・5年なら、金利0.1%の差は総返済額で約5,300円です。100万円・3年では、0.5%の差でも約8,000円にとどまります。借入額が小さく期間が短いほど、金利差の重みは小さくなります。このくらいの差なら、次に説明する手数料や手間で順位が入れ替わることも十分あります。
金利以外の費用は、融資時の手数料と、繰上返済や条件変更の手数料が中心です。公式資料で確認できた例を並べます。
表2 マイカーローンの手数料・保証料の例(各行の公式資料、2026年10月18日確認)
| 銀行 | 保証料 | 融資時の手数料 | 繰上返済の手数料 |
|---|---|---|---|
| 横浜銀行 | 不要 | 取扱手数料3,300円 | 一部5,500円・全額11,000円(アプリ・インターネットバンキングなら無料) |
| 伊予銀行 | 利率に含む | 説明書に記載なし | 一部繰上返済などの条件変更5,500円、全額は不要 |
| 西日本シティ銀行(EZ) | 金利込み(契約時一括払いも可) | ページに記載なし | 無料 |
| 十六銀行 | 金利に含む | 金利と印紙代以外の費用負担なし | 6,600円(残高100万円未満または借入から1年以内は無料) |
表の「記載なし」は、確認した資料に書かれていなかったという意味で、無料と確認できたわけではありません。提案を選ぶ前に、金融機関に確認してください。
繰上返済をする予定があるかどうかで、手数料の重みは変わります。ボーナスで何度か一部繰上返済をするつもりなら、1回5,500円の手数料でも合計は数万円になりえます。その場合、ネット経由なら無料の銀行や、手数料自体が無料の銀行のほうが、金利が少し高くても総額で有利になることがあります。繰上返済をしないなら、この項目は気にしなくてかまいません。
同じ銀行でも商品によって条件が違う点にも注意が必要です。横浜銀行のフリーローンは、2024年7月29日現在の商品概要説明書で一部繰上返済の取扱いをしないとしていました。その後、2026年10月5日付のお知らせで、10月19日からインターネットバンキングで一部・全額の繰上返済を受け付け、手数料は0円、窓口での全額繰上返済は3,300円になると案内しています。資料の日付を見て、最新の条件を確かめてください。
金利と費用が近いなら、手間と日数で決めるのも合理的です。多くの銀行は、返済用にその銀行の普通預金口座を求めます。口座のない銀行を選ぶと、口座開設の手続きが一つ増えます。
表3 口座・契約方法・融資までの目安(各行の公式資料、2026年10月18日確認)
| 銀行 | 口座 | 契約方法 | 融資までの目安 |
|---|---|---|---|
| 横浜銀行 | 契約手続きまでに普通預金口座が必要 | 申込みから借入れまでWeb | 申込みから一般に2〜3週間程度 |
| 伊予銀行 | Web完結は口座を持つ人が対象 | 口座があればWeb完結 | 審査回答は最短2日(融資日の記載は確認できず) |
| 西日本シティ銀行(EZ) | 口座がなくても申込可、口座開設は来店が必要 | Web完結の記載と店頭契約の記載が併存 | 申込後最短7日 |
| 十六銀行 | 正式申込の際に返済用口座を開設 | Web完結が可能(支払先4先以上などは店頭) | 最短2〜3週間程度 |
支払いの期限が迫っている場合は、日数がいちばん重要です。車の納車日や工事代金の支払日に融資が間に合わなければ、金利が低くても意味がありません。必要書類を出してから融資までの日数は、口座開設の有無でも変わります。期限まで余裕がないなら、口座を持っている銀行や、来店なしで契約できる銀行を優先する考え方もあります。
提示金利に、給与振込や住宅ローンの利用などによる優遇が含まれているかどうかも確認します。西日本シティ銀行のEZマイカーローンは、給与振込で年0.4%など、取引に応じて最大0.7%の割引を示しています。十六銀行は、Web完結で契約すると借入額201万円以上で年1.2%、200万円以下で年0.8%引き下げ、店頭契約では給与振込などの条件で最大年0.6%引き下げるとしています。伊予銀行は取引状況に応じて最大0.4%の引下げです。
優遇の条件が給与振込口座の変更なら、勤務先への届出や、ほかの引落しの付け替えが必要になります。その手間をかけても総額の差が数千円なら、見送る判断もあります。逆に、すでにその銀行に給与口座がある人は、優遇を受けられる可能性が高いので、提示金利がさらに下がるかを確認する価値があります。
提示された金利はまだ確定ではない点も押さえておきます。横浜銀行の商品概要説明書は、実際の借入利率は借入日時点の基準利率で決まり、審査結果の連絡時や契約時に表示される予定利率と異なる場合があるとしています。金利がどの時点で確定するかは「ローンの広告金利と、事前提案・本審査・契約時の金利はどう違う?」で整理しています。
複数の提案から1つを選ぶ手順を、判断の順にまとめます。最初に、支払期限までに融資が間に合わない提案を外します。次に、金利タイプ・保証料・借入額・期間をそろえ、総返済額を計算します。続いて、融資時の手数料と、予定している繰上返済の手数料を足します。最後に、口座開設や来店、優遇条件の手間を比べ、総額の差がその手間に見合うかで決めます。
総額の差が1万円未満なら、手間や日数の少ないほうを選んでも大きな損にはなりにくいでしょう。差が数万円あるなら、口座開設などの手間をかける価値があります。どちらにするかは家計と期限の事情で変わるため、数字を並べたうえで自分の優先順位を決めてください。手数料を含めた実質的な負担の比べ方は「実質年率とは?」も参考になります。
CrowdLoanの事前審査で複数の提案が届いた場合も、選び方は同じです。公式ヘルプでは、提案からは1つだけを選ぶこと、金融機関の口座開設が必要なこと(本人名義の既存口座は利用可)、本申込みの後は別の金融機関に変更できず、変更するなら事前審査からやり直しになることが案内されています。事前審査の有効期間は、マイカーローンが3か月、それ以外が1か月です。提案が届くとは限らず、提案の金利や借入可能額は目安で、金融機関の最終審査で変わることがあります。融資の可否と条件は保証会社と金融機関が審査し、CrowdLoan自体は融資の審査をしません。提案が1件しか届かなかった人は比べる対象がないため、取引銀行に個別に相談して条件を並べるほうが判断しやすくなります。また、給与振込口座や住宅ローンのある銀行で優遇が大きい人は、その銀行の条件のほうが有利な場合があります。
同じとは限りません。金融機関の本審査で金利や借入額が変わることがあります。横浜銀行のマイカーローンのように、実際の利率は借入日時点の基準利率で決まると説明している商品もあります。契約書の金利を確認してから署名してください。
金利差が小さいと、融資時の手数料や繰上返済の手数料で総額が逆転することがあります。また、融資が支払期限に間に合わなければ選ぶ意味がありません。総返済額、手数料、日数の3つを並べてから決めてください。
個別の銀行に仮審査を申し込んでいた場合は、その銀行の案内に従って辞退を伝えるとやり取りが早く終わります。CrowdLoanの公式ヘルプでは、提案が届いても必ず利用しなければならないわけではないと案内されています。
変動金利は借入後に見直されるため、提示時点の金利だけでは比べられません。たとえば変動金利が0.5%上がった場合の総返済額も試算し、固定金利の総額と比べると判断しやすくなります。
調査日:2026年10月18日。金利・手数料は変わることがあります。試算は仮定の条件で計算した目安です。
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