マル経融資(小規模事業者経営改善資金)は、日本政策金融公庫(以下、公庫)が無担保・無保証人で貸す公的融資です。限度額は2,000万円、返済期間は10年以内(うち据置期間2年以内)で、利率は特別利率Fを使います。令和8年10月1日現在、特別利率Fは年3.05%と公表されています。
使えるのは、商工会議所・商工会などの経営指導を受けている小規模事業者のうち、商工会議所等の長の推薦を受けた方です。申込みの入口は地元の商工会議所か商工会です。
相談と経営指導を経て推薦を受け、その後に公庫の審査に進みます。公庫は「審査の結果、お客さまのご希望に沿えないことがございます」としています。
マル経融資の条件(公庫の制度概要)
下の表は、公庫のマル経融資のページに載っている通常時の条件です。災害関連のマル経融資には別枠や別の利率があり、この記事では扱いません。
| 項目 |
内容 |
| 利用できる方 |
商工会議所・商工会・都道府県商工会連合会の経営指導を受けている小規模事業者(商工業者に限る)で、商工会議所等の長の推薦を受けた方 |
| 融資限度額 |
2,000万円 |
| 返済期間 |
10年以内(うち据置期間2年以内) |
| 利率(年) |
特別利率F:3.05%(令和8年10月1日現在) |
| 担保・保証人 |
無担保・無保証人 |
| 併用できる特例 |
賃上げ貸付利率特例制度(災害等関連のマル経融資は対象外) |
公庫の金利ページは、利率が金融情勢で変わると注記しています。実際の借入金利(固定)は、掲載の利率と異なる場合があります。今年の商工会議所のチラシでも、令和8年4月1日時点は2.50%、令和8年6月1日時点は2.60%と書かれていました。申込みの時点で最新の利率を確かめてください。
返済期間は、2026年に発行された商工会議所の案内で運転資金と設備資金に共通の扱いです。武蔵野商工会議所のチラシは、運転資金と設備資金をどちらも「10年以内(据置期間2年以内)」としています。相模原商工会議所のチラシにも「運転・設備共通」とあります。
利用要件は従業員数・指導期間・業歴・納税
推薦を受けるための要件は、各地の商工会議所の案内に載っています。以下は、2026年に発行された武蔵野商工会議所と相模原商工会議所のチラシで確認できた内容です。細かな運用は地区ごとに違う場合があるため、所属先で確かめてください。
- 従業員数:常時使用する従業員が、商業とサービス業(宿泊業・娯楽業を除く)は5人以下、製造業や宿泊業・娯楽業などそれ以外は20人以下。法人の役員や個人事業者の家族従業員は数えない(相模原)
- 指導期間:商工会議所の経営指導員による経営指導を6か月以上受けている(武蔵野)
- 業歴と地域:その商工会議所の地区内で、最近1年以上事業を行っている(両所)
- 納税:所得税・法人税・事業税・住民税などの、納期限が来た税金を完納している(両所)
- 業種:商工業者で、公庫の融資対象業種を営んでいる。許認可が必要な業種は取得済みである(相模原)
指導期間の要件があるため、資金が要る直前に初めて相談しても、すぐには推薦を受けられない場合があります。武蔵野商工会議所は「初めての方はまずはご相談ください」と案内しています。相模原商工会議所のチラシには、会議所の会員でない事業者も利用できるとの記載がありました。
資金使途は、経営改善のための運転資金と設備資金です。武蔵野商工会議所は、借入金の返済には使えないと明記しています。融資額が1,500万円を超える場合は、事業計画書などの作成が必要とも書いています。
手続きの流れと期間の目安
流れは「商工会議所等への相談、経営指導、推薦、公庫の審査、融資」の順です。武蔵野商工会議所のチラシには、令和8年4月の審査会の例が載っています。申込受付は毎月末で、3月31日に申し込むと4月16日に審査会、17日に推薦となります。その後、24日に公庫が融資を決め、30日に送金される日程です。
この例では、申込みから送金まで約1か月かかっています。同所は、所定の要件を満たせば最短2週間程度とも書いています。ただし日程は目安で、審査会の日程は所属先で確認が必要です。資金が要る日から逆算し、余裕をもって相談を始めてください。
相談時に求められる書類も、チラシで確認できます。武蔵野商工会議所では、前期・前々期の決算書と確定申告書(控)、納税証明書、借入金の返済一覧表を求めています。設備資金なら見積書やカタログも必要です。決算から6か月以上たっている場合は、直近の試算表も求められます。
500万円を5年で借りた場合の試算
仮に500万円を、据置期間なしの60回払い、年3.05%の固定金利で借りたとします。相模原商工会議所のチラシでは、返済方式は元金均等返済(毎月)です。そこで元金均等を主に計算し、元利均等も参考に並べました。
元金均等では、元金を毎月83,333円返し、端数の20円は初回に加えます。利息は「前月末の残高×3.05%÷12」で、円未満を切り捨てました。元利均等は月返済額の理論値です。Pythonで検算しています。
| 条件(500万円・年3.05%) |
月返済額 |
利息総額 |
| 元金均等・60回 |
初回96,061円、最終回83,544円 |
387,573円 |
| 元利均等・60回(参考) |
毎月約89,955円 |
約397,276円 |
| 元金均等・120回 |
初回54,454円、最終回41,771円 |
768,782円 |
60回の元金均等なら、利息総額は約39万円です。120回に延ばすと月の負担は約4万円軽くなりますが、利息総額は約77万円に増えます。実際の返済額は、公庫が決める利率と返済条件で変わります。
運転資金で借りるなら、毎月の返済額を手元の利益や減価償却費などで払えるかを先に確かめてください。仕入先との支払条件の見直しや補助金など、借入以外の手段で足りる場合もあります。
賃上げ貸付利率特例を併用した場合
マル経融資は、公庫の賃上げ貸付利率特例制度を併用できます。対象は、事業開始後3か月以上で、雇用者給与等支給額の総額が最近の決算期より2.5%以上増える見込みがある方です。利率は貸付日から2年間、各制度の利率から0.5%下がります。下限は0.3%です。
上の60回の元金均等に当てはめると、当初24回は年2.55%になります。この場合の利息総額は347,157円で、特例なしより約4万円少なくなります。雇用者給与等支給額には、法人の役員と個人事業主の家族従業員の給与を含みません。
生活衛生関係の事業は生活衛生改善貸付
生活衛生関係の事業を営む小規模事業者には、公庫の生活衛生改善貸付があります。推薦するのは生活衛生同業組合等の長で、経営指導も同業組合などが行います。限度額2,000万円、返済期間10年以内(うち据置期間2年以内)、特別利率F、無担保・無保証人の点はマル経融資と共通です。
対象は常時使用する従業員が5人以下の会社または個人で、旅館業と興行場営業を営む方は20人以下となります。資金使途は経営改善のための設備資金と運転資金ですが、その他公衆浴場業は運転資金だけが対象です。自分の業種がどちらに当たるかは、商工会議所や同業組合に確かめてください。
公庫・制度融資・銀行の相談先の違いと準備する書類は、
創業融資の相談先と準備する書類で比べています。
マル経融資のような公的制度と並べて、民間の金融機関の条件も比べたい場合は
Tasukari(タスカリ)という方法もあります。CrowdLoanが運営する小規模事業者向けの融資マッチングです。保証会社の事前審査の結果を見た複数の銀行から、金利や返済期間の提案が届く仕組みで、診断と事前審査は無料です。審査は保証会社と金融機関が行い、融資の可否や金利、提案の数を約束するものではありません。
出典・確認先
調査日:2026年10月8日。金利・要件・手続きは変わることがあります。利用前に公庫と地元の商工会議所・商工会で最新の内容を確認してください。
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