2024年07月23日
2021年1月18日、菅義偉首相(当時)は施政方針演説で「2035年までに乗用車の新車販売をすべて“電動車”とする」方針を宣言しました。
近い将来、ガソリン車に乗れなくなる未来を想定して、初めてのマイカー購入にEV(電気自動車)を検討されている方もいるのではないでしょうか。
EVは、ガソリン車とほぼ変わりない操作感で運転できるものの、給油ではなく「充電」することで動かす必要があり、ガソリン車とは異なる点もたくさんあります。
この記事では、EV購入にあたって知っておきたい、基礎知識をご紹介します。
目次
EVとは、英語の「Electric Vehicle」を略したもので、電気自動車のことを指します。
電気自動車とは、自宅や充電スタンドなどで車載バッテリーに充電を行い、モーターを動力として走行するものといいます。
ガソリン車と違い給油の必要がなく、走行中にエンジンを動かして二酸化炭素を排出することがありません。
環境性能という観点からは、あらゆるエコカーの中でもトップクラスの性能を誇りますが、充電に時間がかかるのが難点で、ガソリン車に比べて計画的な利用が求められます。
EVと似たようなエコカーとしては、HV(ハイブリッド自動車)・PHV(プラグインハイブリッド自動車)・FCV(燃料電池自動車)の3種類があげられます。
以下、それぞれの主な違いをまとめました。
HV(ハイブリッド自動車) | ●エンジン・モーターの2種類の動力を搭載する自動車 ●発進・低速時はモーターのみ、通常走行時はエンジン主体、急加速時はエンジンに加えてモーターを動かすなど、走行状況に合わせてエネルギーを効率的に利用できるのが利点 |
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PHV(プラグインハイブリッド自動車) | ●外部電源からの充電を可能とするハイブリッド自動車 ●バッテリーに電力が残っている場合はモーターだけで走り、電力がなくなったらエンジンを併用して走行できる ●近距離・遠距離を問わず車を運転する人向け |
FCV(燃料電池自動車) | ●水素・酸素の化学反応から電力を取り出す発電機構により、得られた電力でモーターを動かすタイプの自動車 ●先進的な機構だが、車両価格の高さ・発電に必要な水素の供給設備の少なさなどがネックか |
日本で圧倒的に人気なのがHVで、一般社団法人 日本自動車販売協会連合会の「燃料別登録台数統計(2024年6月)」によると、HVの登録台数は122,208台で、全乗用車の57.9%を締めています。
同統計でEVの構成比は1.6%に過ぎませんが、日本政府の方針に特段の変更がない限り、EVの普及は将来的に進んでいくものと推察されます。
EVは、新車相場や走行するためのエネルギー、そしてエネルギーの補給方法がガソリン車と異なるため、購入前には事前の情報収集が不可欠です。
EV購入にあたっては、次にご紹介する点を知っておくだけでも、車選びがスムーズになることでしょう。
EVの新車相場は、ガソリン車に比べると高額な傾向にあります。
リーズナブルな軽EVであっても、予算としては250万円程度を見積もっておく必要があり、バッテリー容量も少なめです。
コンパクトカータイプの場合、車種にもよりますが400~500万円台のものが多く見られ、それ以上の価格帯になるとSUVタイプの車が目立つようになります。
EVの場合、バッテリー容量が大きく航続距離の長いものは、それだけ高額になる傾向にあるため、本体価格が高いEVほど航続距離が長いものと考えてよいでしょう。
EVへの充電方法は、受電した交流電圧(100Vまたは200V)を3kW〜6kW程度の出力でゆっくり充電する「普通充電」と、交流電圧を直流変換して50kW〜150kW程度の高出力で充電する「急速充電」の2種類に分かれます。
多くのEVには、普通充電口と急速充電口の2種類の充電口が備わっており、適切な充電口に差し込んで充電を行う必要があります。
EVを充電する際は、ガソリン車に給油するのと同じようなイメージで、充電口に充電器とつながっている充電コネクタを差し込んで充電します。
充電器には、大きく普通充電器と急速充電器の2種類があり、普通充電器はさらに次の2種類に分けられます。
コンセント型 | 充電用ケーブルをコンセントに接続して利用するタイプの充電器 |
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ケーブル一体型 | 充電器にコネクタが備わり、EVの充電口にそのまま接続できるタイプの充電器 |
普通充電器は、住宅・事務所に設置するほか、商業施設やレジャー施設などに設置されており、主に車を使用しない時間が長い(駐車している)タイミングで利用します。
これに対して急速充電器は、高速道路のSA/PAや道の駅など、移動中に使用できるよう配置されているケースが多く見られます。
なお、バッテリーを保護するため、急速充電器は満充電ができない仕様となっており、車種ごとに定められた上限値(充電量80~90%)を超えると自動で供給がストップするため注意しましょう。
EVの航続距離を計算する場合、次の式で大まかに計算することができます。
【EVに搭載されたバッテリーの容量(kWh)×電費(km/kWh)=走行距離(km)】
式における「電費」とは、ガソリン車における燃費のことをいい、一般的なEVの電費は6km/kWhとされ、1kWhの電力量で6kmの距離を走れることになります。
軽EVなど、バッテリーの容量が小さいEVは、近距離での使用を前提とした200km程度の航続距離のモデルが多く見られます。
コンパクトカー以上のサイズになると、航続距離は400~500kmに延びるため、用途の幅も広くなるでしょう。
EVの充電時間は、概ね次の式で計算できます。
【EVに搭載されたバッテリーの容量(kWh)÷充電器出力(kW)=充電時間(h)】
仮に、60kWhのバッテリーを搭載するEVを、充電0%から100%まで充電するには、普通充電器の場合で次の時間がかかるものと推察されます。
●普通充電器(3kW):60kWh÷3kW=20h
●普通充電器(6kW):60kWh÷6kW=10h
これに対して急速充電器の場合、充電時間は最大で30分となっているため、次のように30分間での充電量を計算するイメージになります。
●急速充電器(50kW):50kW×0.5h=25kWh
●急速充電器(150kW):150kW×0.5h=75kWh
EVを自宅で充電する場合、次の式で大まかな充電料金を計算できます。
【EVに搭載されたバッテリーの容量(kWh)×1kWhあたりの電気料金(31円※)=充電料金(円)】
※(全国家庭電気製品公正取引協議会「電力料金目安単価」より)
バッテリーの容量によって、満充電までの充電料金は変わり、20kWh程度なら620円と、考えようによってはガソリン車の給油よりもランニングコストが安くなります。
これに対して、各所にある充電スポットを利用する場合、充電カードを発行して充電を行います。
プランによって料金は変わりますが、基本単価に応じて充電時間(分)が設定されていたり、充電時間に応じて単価が決まっていたりするケースが多く見られます。
EVも自動車の一種であることから、本体価格や充電に関することだけでなく、車の維持費(ランニングコスト)も検討した上で選ぶ必要があります。
以下、EVを保有するにあたり発生する、主なランニングコストについて解説します。
EVに乗るためには、普段車を停めておける駐車場を確保しなければなりません。
具体的には、自宅の車庫・敷地内や、お金を支払って利用する月極駐車場などにEVを停められるようにする必要があります。
EVはガソリン車と違い、満充電にして出発するためには、基本的に自宅での充電が不可欠です。
賃貸住宅に住んでいる人は、可能であればEVの充電設備が整った駐車場を選びたいところですが、設備が整っている駐車場が近所に見つからない可能性もあるため、EV購入前にリサーチしておくことをおすすめします。
EVは、ガソリン車に比べると車体構造が比較的シンプルなため、車検・整備は不要だと誤解している人も少なくないようです。
実際、EVはエンジンを積んでいないため定期的にオイル等を交換する機会がなく、ブレーキパッド・ブレーキディスクなど消耗品の減りも少ない傾向にあります。
しかし、公道を走る用途で使用する以上、車検等の定期的なメンテナンスは必須であることから、車検費用を定期的に工面しなければなりません。
また、EVはタイヤの摩耗率がガソリン車より高くなる傾向にあるため、運転の仕方によってはタイヤをこまめに交換することになるかもしれません。
EVに関連する税金は、大きく以下の3つに分けられます。
●自動車重量税
●自動車税
●環境性能割(旧:自動車取得税)
上記のうち、環境性能割に関しては、EVは2026年3月31日まで非課税となります。
よって、EVユーザーが意識しなければならないのは、自動車重量税と自動車税です。
基本的なルールとして、軽自動車の自動車税は10,800円となっており、それよりも排気量が多い車は、その排気量に応じて金額も上がっていきます。
自動車重量税は、自家用軽自動車が「年3,300円」で、自家用普通自動車の1年あたりの税額は「車両重量0.5トンごとに4,100円」となっています。
EVを所有する際は、自賠責保険に必ず加入しなければなりません。
自賠責保険は車種・保険期間によって保険料が変わりますが、EVが優遇されるプランはありません。
しかし、ドライバーが任意で加入する任意保険の場合は、環境性能に応じて保険料が割引される「エコカー割引」を用意している保険会社も存在しています。
EV購入後に任意保険への加入を検討する際は、エコカー割引の適用が可能な保険商品を比較検討することをおすすめします。
EVとガソリン車を比較した際、ランニングコストはEVの方が有利になる一面があるものの、本体価格は高めに設定されている車が多い傾向にあります。
それを踏まえた上で、お金の面でEV購入をスムーズにするためには、以下のような方法を活用することが大切です。
EVを購入する際は、国からの補助金・地方自治体の補助金を利用することができます。
EVに関しては、国からの補助金が最大で85万円、地方自治体からの補助金はそれぞれの自治体が定める金額を受け取れます。
一例として、東京都の場合、車載コンセントなどから電力を取り出せる「給電機能」を持つEVであれば、45万円の補助金が受け取れます。
その一方で、北海道札幌市の場合は定額10万円となるため、金額の地域差を考慮して購入するEVを選びましょう。
EVを保有すると、毎年自動車税が生じ、車検のタイミングでは自動車重量税が生じます。
しかし、EVはグリーン化特例、エコカー減税の対象となるため、各税が軽減されます。
グリーン化特例とは、購入する車の環境性能に応じて「新車登録年度の翌年度分」の自動車税が軽減される制度で、EVの場合、概ね75%が軽減されます。
次にエコカー減税ですが、こちらは購入予定の排出ガス性能、および燃費性能に優れた自動車に対して、それらの性能に応じて自動車重量を免税・軽減するものです。
EVは「電気自動車等」の区分に入るため、新車登録時・初回継続検査(車検)時の自動車重量税が免税となります。
あらかじめ免税される金額が分かっていれば、その分を車両購入代に充当したり、必要なオプションに回したりすることも可能です。
EVは税制面で非常に優遇されているため、減税・免税が行われているうちに購入したいところです。
ガソリン車に比べて高めの車両が多いEVは、現金一括で購入しようとすると負担が大きいかもしれません。
そこで役立つのがマイカーローンですが、自動車販売店や信販会社などで紹介されるローンは金利が高いため、かえって月々の支払額が家計を圧迫するおそれがあります。
この点に関しては、低金利ローンのマッチング&比較サービス「クラウドローン」を利用することで、安い金利で、家から近い銀行から、希望の金額を借りられるチャンスが得られます。
所定のフォームに年齢・家族構成・年収などの基本情報を入力するだけで、銀行からのプラン提案を受けられますから、来店の手間なく手軽に利用できます。
走行中に二酸化炭素を排出しないEVは、環境性能という観点から見て魅力的な自動車ですが、充電方法・充電にかかる時間をネックに感じる人も一定数存在しています。
また、EVを自宅近辺で満充電にするためには、普通充電ができる設備を自宅に導入したり、そのような設備を備え付けている駐車場を選んだりする必要があります。
しかし、ランニングコストに関しては総じてガソリン車より安くなる可能性が高く、購入時に補助金を受け取れるなどのメリットもあります。
近々EVの購入を検討しているなら、低金利で借りられるマイカーローンを利用して、税制面で有利なうちに購入するのも一手かもしれません。
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