公立高校の授業料は、2026年度(令和8年度)から所得制限なしで高等学校等就学支援金の対象になっています。公立全日制の支給上限は年額11万8,800円で、授業料と同じ額です。ただし無償になるのは授業料だけです。入学料、制服、端末、教材、通学費、学年の積立金は、これまでどおり家庭で支払います。
この記事では、2026年10月7日時点の文部科学省・東京都・宮城県などの公開資料から、対象外になる支出と支払い時期を整理します。金額は2026年度の入学者向けの資料が中心です。2027年度に入学する場合は、進学先や都道府県の案内で最新の額を確認してください。
目次
文部科学省の資料では、新制度の支給上限は公立全日制が年額11万8,800円(月額9,900円×12か月)、私立全日制が年額45万7,200円(月額38,100円×12か月)です。公立全日制の授業料は年額11万8,800円なので、支援金が認定されれば授業料に充てられます。東京都教育委員会のページも、就学支援金の受給が認定されると授業料が無料になると説明しています。
押さえておく点は二つあります。一つは申請が必要なことです。入学後に学校から案内が届き、オンライン申請システム(e-Shien)などで手続きします。もう一つは対象者の範囲です。新制度は日本国内に住所があり、日本国籍や永住者などの要件を満たす生徒が対象です。当てはまらない場合は別の支援になるため、学校に相談してください。
支援金が充てられるのは授業料です。入学料、教科書代、制服、端末、通学費、修学旅行費、積立金は含まれません。「高校無償化」という言葉から全額が無料になると受け取ると、入学前後の出費に驚くことになります。
文部科学省の「令和5年度子供の学習費調査」(2026年1月公表)によると、公立高校(全日制)の学校教育費は年額平均351,523円です。授業料の45,272円を除いても、306,251円が授業料以外の支出でした。この調査は旧制度の年度の結果で、3学年を平均した数字です。入学年度は制服や学年積立金が重なるため、これより多くなりやすいと考えられます。
| 費目 | 年額平均(円) | 授業料支援との関係 |
|---|---|---|
| 入学金等 | 18,027 | 対象外。複数校を受験した場合は、入学しなかった学校へ払った費用も含む |
| 授業料 | 45,272 | 就学支援金の対象(調査は旧制度の年度) |
| 修学旅行費等 | 36,500 | 対象外 |
| 学校納付金等 | 35,630 | 対象外。学級費・生徒会費・PTA会費などを含む |
| 図書・学用品・実習材料費等 | 62,284 | 対象外。教科書、体育用品、実習材料など |
| 教科外活動費 | 49,499 | 対象外。部活動や行事のために家庭が支出した費用 |
| 通学関係費 | 97,634 | 対象外。通学の交通費・制服・通学用品の合計 |
| その他 | 6,677 | 対象外 |
| 合計 | 351,523 | ― |
最も大きいのは通学関係費の約9.8万円です。月に直すと約8,100円(97,634円÷12)ですが、これは交通費に制服と通学用品を加えた年間平均で、定期代だけの金額ではありません。通学距離が長い人や、自転車の購入が必要な人は、平均より増えます。
平均だけでは、いつ・いくら必要かがつかみにくいので、東京都立国際高校が2026年度の入学予定者向けに公開している費用を例にします。これは1校の例です。他校や他県では、額も項目も変わります。
| 項目 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 入学料 | 5,650円 | 合格発表の翌日から5日以内に納付。減免制度あり |
| 制服(男子) | 43,065円 | 女子は43,010円 |
| 体育着 | 18,040円 | トレーニングシャツ・パンツ、半袖シャツ、ハーフパンツ |
| 体育館シューズ | 3,520円 | |
| 端末 | 30,000円 | 東京都教育委員会の端末購入支援金(2026年度)後の保護者負担額。学校のページではなく都の案内による |
| 学年積立金(第1学年・一般) | 125,000円 | 入学時と3回払いの計4回 |
| PTA会費(第1学年) | 4,000円 | 学年積立金の1回目と一緒に納入 |
| 生徒会費(第1学年) | 5,000円 | 同上 |
授業料を除く1年目の主な項目を、男子の制服で足すと234,275円です(5,650+43,065+18,040+3,520+30,000+125,000+4,000+5,000)。このうち、入学前に先に払う入学料・制服・体育着・シューズ・端末だけなら100,275円になります。積立金の1回目の額は、公開された表からは分かりません。仮に積立金を4回の均等払いとすると1回目は31,250円で、入学時の合計は約14万円(100,275+31,250+4,000+5,000=140,525円)です。これは仮定の計算なので、実際の額は学校の案内で確認してください。
国際高校の費用表には、教科書代や教材費の項目が見当たりません。どの費用が学年積立金や学校徴収金に含まれるかは、入学前の説明会資料で確認したいところです。
お金が出ていく順番は、おおむね次のとおりです。都立の案内を基準にしています。
| 時期 | 支払い・手続き | 根拠となる記載 |
|---|---|---|
| 合格発表の翌日から5日以内 | 入学料(都立は5,650円) | 東京都教育委員会。5日目が土日祝の場合は翌日 |
| 合格発表後〜入学前 | 制服・体育着・端末などの購入 | 宮城県は、合格者説明会の前に端末を買わないよう案内 |
| 入学後 | 就学支援金の申請 | 学校から配布される案内に従い、e-Shienなどで申請 |
| 4〜6月 | 高校生等奨学給付金の申請(新入生の早期支給) | 対象世帯のみ。就学支援金とは別の申請 |
| 入学後(年に複数回) | 学年積立金・PTA会費・生徒会費 | 国際高校の第1学年は計4回。回数と額は学校ごと |
就学支援金は、学校や都道府県が代理で受け取り、授業料に充てる仕組みです。文部科学省のリーフレットには、学校によっては支給決定までの間に授業料を徴収し、後日還付する場合があると書かれています。公立でも授業料の徴収が先に起こるかどうかは、都道府県と学校の案内で確認してください。
公立高校でも、端末を家庭で準備する自治体が増えています。東京都は2026年度の新入生について、保護者負担が3万円になるよう支援します。多子世帯は1万5,000円で、給付型奨学金の対象世帯は保護者負担が生じない仕組みです。宮城県は2026年度から、県立高校で端末を原則として各家庭が準備する方式にしました。新規に購入した場合は1台あたり上限2万円を補助し、経済的事情で用意できない生徒には貸与があります。県のECサイトでは分割払いも予定されています。端末の費用は都道府県ごとに違うので、合格者向けの説明を待ってから購入するのが安全です。
授業料以外を支える制度として、高校生等奨学給付金があります。教科書費や教材費など授業料以外の教育費を支援する返還不要の給付金です。2026年度は、生活保護世帯と住民税所得割が非課税の世帯に加えて、年収270万円以上380万円未満、380万円以上490万円未満の世帯(モデル世帯の目安)まで対象が広がりました。全日制・国公立の年額は、住民税非課税世帯で14万3,700円、年収270〜380万円相当で4万7,900円、380〜490万円相当で3万5,930円です。申請は就学支援金とは別で、実施状況は都道府県によって異なります。
都立高校のように、入学料の免除や2分の1減額の制度を設けている自治体もあります。対象になるかどうかは世帯の状況で決まります。合格発表の前に、使える制度がないかを調べておくと、資金計画が立てやすくなります。
入学時の支払いに備える方法は、自己資金、給付型の支援制度、学校の分納、教育ローンの順に考えると整理しやすくなります。公立高校では、入学料は数千円ですが、制服や端末、積立金は学校の案内で時期が決まります。支払い日を一覧に書き出すだけでも、不足額の見通しが立ちます。
学校の積立金は、国際高校のように複数回に分かれている場合があります。一括で払うのが難しいときは、学校の事務室に、納付時期や分納の相談ができるかを尋ねてみてください。
給付金や分納でも足りない場合は、教育ローンが選択肢になります。日本政策金融公庫の教育一般貸付(国の教育ローン)は、高校の入学金・授業料のほか、教科書代、教材費、通学費用、パソコン購入費用、修学旅行費用などが使いみちとして示されています。入学時の費用は合格発表前でも申し込めます。融資額は子ども1人につき原則350万円以内、金利は2026年7月1日現在で年4.05%(固定・保証料別)、返済期間は20年以内です。対象は今後1年間に必要な費用で、世帯年収の上限があり、審査の結果によっては希望に沿えない場合もあります。申込みから審査結果まで通常10日前後、融資金の振込までさらに10日前後かかるとされているので、必要時期の2〜3か月前の申込みが目安です。
仮に30万円を年4.05%の固定金利で3年返済にすると、毎月の返済額は約8,864円、利息の合計は約19,099円です(保証料を含まない仮定の試算です)。銀行の教育ローンは、資金使途、金利、保証会社の条件が銀行ごとに違います。比べるときは、月々の返済額だけでなく、返済総額と、いつ入金されるかを見てください。
CrowdLoan(クラウドローン)では、希望の借入額や用途を登録すると、銀行から融資の提案を受けられます。公庫の教育ローンや学校の分納と並べて、返済額と総額を比べる材料として活用してみてください。
文部科学省「高等学校等就学支援金・新制度の概要」(PDF、2026年10月7日確認)
文部科学省「高等学校等就学支援金【新制度】日本国籍の方用」(PDF、2026年10月7日確認)
文部科学省「高校生等奨学給付金リーフレット」(PDF、2026年10月7日確認)
文部科学省「高校生等への修学支援」(2026年10月7日確認)
文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」結果の概要(PDF、2026年10月7日確認)
東京都教育委員会「都立高等学校の授業料・入学料について」(2026年10月7日確認)
東京都教育委員会「端末購入支援金について」(2026年10月7日確認)
東京都立国際高等学校「授業料など諸経費」(2026年10月7日確認)
宮城県「県立高校における生徒所有端末の持ち込み(BYOD)について」(2026年10月7日確認)
日本政策金融公庫「教育ローン(教育一般貸付)」ご利用条件・金利(2026年10月7日確認)
日本政策金融公庫「よくあるご質問 国の教育ローン」(2026年10月7日確認)
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