住宅ローンの返済中にリフォームをする場合、借り換えでまとめる方法と、リフォームローンを別に組む方法があります。どちらの総額が少ないかは、借り換え後の金利と諸費用で決まります。この記事の試算では、借り換え後の金利が今と同じなら、別建てのほうが総額は少なくなりました。借り換えで金利が0.2〜0.3%程度以上下がる場合は、一体型が逆転します。一方で月々の返済額は、一体型のほうが大きく抑えられます。総額と月額のどちらを重視するかも、判断の分かれ目になります。
目次
民間銀行の中には、借り換えとリフォーム資金をセットで扱う商品があります。一方で、【フラット35】の借換融資は条件が異なります。借り換え先によって、まとめられるかどうかが変わる点を先に確認します。
住宅金融支援機構の【フラット35】借換融資は、融資額の上限が決まっています。上限は「借換対象となる住宅ローンの残高」か「担保評価額の200%」の低い額です。この残高には、印紙代や融資手数料、登録免許税などの諸費用を含められます。
確認した要件には、リフォーム資金を上乗せできるという記述はありませんでした。上限が今のローン残高を基準にしているため、リフォーム費用の上乗せ余地は要件から読み取れません。具体的な扱いは、取扱金融機関に確認してください。
リフォームで金利が下がる【フラット35】リノベという制度もあります。ただしリノベは、中古住宅の購入とあわせてリフォームする場合の制度です。公式ページには「借換えの際には利用できません」と明記されています。
民間銀行では、リフォーム資金を一緒に借りられる借り換えローンがあります。たとえば、りそな銀行の「りそな借りかえローン<リフォーム資金セット型>」です。リフォーム資金も、借り換えローンと同じ金利で借りられると説明されています。
この商品では、リフォームの工事金額に応じて借入期間を延ばせます。工事代金を3回まで、1年以内に分けて受け取る分割融資にも対応しています。申込条件には、今の住宅ローンを2年以上遅れずに返していることなどがあります。担保評価額や年収に対する返済の割合でも、借りられる額に上限があります。
まとめると、一体型を選べるかは借り換え先の商品で決まります。どの銀行でも同じ条件でまとめられるわけではありません。
二つの方法は、金利・返済期間・諸費用・担保の扱いが異なります。主な違いを表にまとめます。
表:借り換え一体型と別建てリフォームローンの主な違い(一般的な傾向と確認した商品の例)
| 項目 | 借り換え一体型 | 現ローン維持+別建てリフォームローン |
|---|---|---|
| 金利 | 住宅ローンの金利をリフォーム分にも適用(例:りそなのセット型) | 住宅ローンより高めの例が多い。確認時点の掲載例は年2.5%〜4.375% |
| 返済期間 | 住宅ローンと同じ長い期間。延長できる商品もある | 最長15〜20年(確認した3行) |
| 諸費用 | 融資手数料、登録免許税、司法書士報酬などがかかる | 事務手数料0円・保証料込みの例がある |
| 担保 | 自宅に抵当権を設定し直す | 担保不要の商品がある(りそな・千葉銀行) |
| 手続き | 審査、担保評価、登記が必要で時間がかかる | Webで完結する商品がある |
出典:りそな借りかえローン<リフォーム資金セット型>、りそなリフォームローン、三菱UFJ銀行 ネットDEリフォームローン、千葉銀行 リフォームローン(2026年10月15日確認)/整理は筆者
別建てのリフォームローンの金利は、確認した3行で次のとおりでした。りそなリフォームローンは、2026年10月1日現在で通常金利が年4.375%の変動金利です。りそなの住宅ローン利用者は年2.900%になります。三菱UFJ銀行のネットDEリフォームローンは、同日現在で通常年3.875%です。千葉銀行は、確認時点で年2.70%〜年3.80%を掲載していました。千葉銀行の商品は、原則として千葉県・東京都など5都県に住む人が対象です。3行とも変動金利です。りそなは、金利は審査によって決まると明記しています。
リフォームローンの商品ごとの比較はリフォームローンおすすめ10選で詳しく扱っています。
ここからは、同じ条件で二つの方法の総額を比べます。以下の数値はすべて仮定に基づく試算です。実際の金利や諸費用は、金融機関と審査の結果で変わります。
今の住宅ローンは、残高2,000万円、残り25年、金利年1.5%と仮定します。リフォーム費用は500万円です。返済方法はどちらも元利均等返済とし、ボーナス返済は使いません。
(A)の借り換え一体型は、2,500万円を25年で借りる想定です。(B)の別建て型は、今のローンをそのまま返しながら、リフォームローン500万円を10年で返す想定です。リフォームローンの金利は、確認した掲載金利を使います。
毎月の返済額は、次の式で計算しました。
毎月返済額 = 借入額 × 月利 ÷ (1 − (1 + 月利)^(−返済回数)) 月利 = 年利 ÷ 12
この式で年4.375%、200万円、120回を計算すると月20,607円です。りそな銀行が公式ページに載せている返済例と同じ値になります。
借り換えには、新しいローンの諸費用がかかります。融資手数料は、りそな銀行の融資手数料型の料率2.2%を例に使います。登録免許税は、抵当権設定の本則税率である債権金額の1,000分の4で計算します。
表:借り換え一体型の諸費用の内訳(借入額2,500万円、自己資金で支払う仮定、単位:円)
| 項目 | 計算方法 | 金額 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 融資手数料 | 2,500万円 × 2.2% | 550,000 | りそなの料率を例に使用 |
| 登録免許税(抵当権設定) | 2,500万円 × 1,000分の4 | 100,000 | 登録免許税法 別表第一 |
| その他 | 司法書士報酬、印紙税、抹消登記、旧ローンの繰上返済手数料など | 150,000 | 筆者の仮定 |
| 合計 | - | 800,000 | - |
出典:りそな借りかえローン<リフォーム資金セット型>、登録免許税法(e-Gov法令検索)(2026年10月15日確認)/試算は筆者
登録免許税には、住宅を新築・取得するための借入れに使える軽減税率(1,000分の1)があります。ただし国税庁の税額表では、対象は新築または取得のための資金の貸付けです。取得後1年以内の登記などの要件もあります。借り換えには当てはまりにくいため、試算では本則の税率を使いました。適用の可否は、司法書士や金融機関に確認してください。
融資手数料の仕組みは、金融機関によって違います。融資額に応じた定率型のほか、保証料を別に払う方式もあります。りそなには、手数料を払わない代わりに金利を年0.3%上乗せする方式もあります。
(A)は、借り換え後の金利が下がる・同じ・上がるの3通りで計算しました。(B)は、リフォームローンの金利を3通り置いています。
表:借り換え一体型(A)と別建て(B)の試算(残高2,000万円・残り25年・現金利1.5%・リフォーム500万円、単位:円)
| 方法と金利(仮定) | 毎月の返済額 | 総返済額 | 諸費用 | 総額(諸費用込み) |
|---|---|---|---|---|
| (A) 一体型 年1.2%(下がる) | 96,499 | 28,949,700 | 800,000 | 29,749,700 |
| (A) 一体型 年1.5%(同じ) | 99,984 | 29,995,200 | 800,000 | 30,795,200 |
| (A) 一体型 年2.0%(上がる) | 105,964 | 31,789,200 | 800,000 | 32,589,200 |
| (B) 別建て 年2.900%・10年 | 128,037(11年目以降79,987) | 29,762,100 | 0 | 29,762,100 |
| (B) 別建て 年3.875%・10年 | 130,313(11年目以降79,987) | 30,035,220 | 0 | 30,035,220 |
| (B) 別建て 年4.375%・10年 | 131,505(11年目以降79,987) | 30,178,260 | 0 | 30,178,260 |
出典:金利の参考値はりそなリフォームローン、三菱UFJ銀行 ネットDEリフォームローン(2026年10月15日確認)/試算は筆者
(B)の総額は、今のローンの総返済額23,996,100円とリフォームローンの総返済額の合計です。(B)のリフォームローンは、事務手数料0円・保証料込みの商品を想定しています。
借り換え後の金利が今と同じ1.5%なら、(A)の総額は約3,080万円です。(B)は約2,976万〜3,018万円で、別建てのほうが約62万〜103万円少なくなります。借り換え後の金利が2.0%に上がると、差は約241万〜283万円に広がります。
借り換え後の金利が1.2%に下がると、(A)は約2,975万円です。リフォームローンが3.875%や4.375%なら、(A)のほうが少なくなります。ただし2.900%の(B)とは、ほぼ同じ水準です。
(A)と(B)の総額が同じになる借り換え後の金利を計算しました。リフォームローン4.375%と比べると、分岐点は約1.32%です。3.875%なら約1.28%、2.900%なら約1.20%になります。
この前提では、今の1.5%から0.2〜0.3%程度下がらないと一体型は有利になりません。諸費用80万円の負担が大きいためです。手数料を金利上乗せ型にして1.8%で借りると、総額は約3,131万円になり、さらに不利になります。
(A)はリフォーム費用500万円を25年かけて返します。(B)は同じ500万円を10年で返します。返す期間が長いほど利息は増えるため、(A)の総額は膨らみやすくなります。
その代わり、(A)の毎月の返済額は約10万円です。(B)は最初の10年が約12.8万〜13.2万円で、月の負担は3万円前後重くなります。家計の毎月の余裕が少ない場合は、総額が多くても一体型を選ぶ理由があります。
(B)のリフォームローンを4.375%・15年にすると、毎月の返済額は合計117,918円に下がります。ただし総額は30,823,680円になり、(A)の1.5%の場合とほぼ同じです。期間を延ばすと、別建ての総額の優位は小さくなります。
試算から、判断の目安を条件別に整理します。前提が変わると結論も変わるため、自分の数字で計算し直してください。
今のローンの金利が高く、借り換えで0.3%以上下がる見込みがあれば、一体型が有利になりやすいです。リフォーム費用だけでなく、今の残高2,000万円にも低い金利が適用されるためです。この場合は、リフォームとは別に借り換え自体の効果も大きくなります。
金利が下がらないなら、諸費用の分だけ一体型が不利になります。変動金利から全期間固定金利に借り換えると、金利が上がる場合があります。たとえば【フラット35】の借入期間21〜35年の金利を見ます。2026年10月時点で、最も多い金利は年3.830%でした。この場合は、今のローンを残して別建てにするほうが総額を抑えやすくなります。
毎月の負担を増やしたくない場合は、一体型が向いています。りそなのセット型のように、借入期間を延ばして月額を据え置ける商品もあります。ただし期間を延ばすほど、総返済額は増えます。完済時の年齢も確認してください。
工事費が数百万円以下で、着工が近い場合は別建てが現実的です。借り換えには審査・担保評価・登記が必要で、日数がかかります。工事代金の支払い時期とローンの実行日がずれないよう注意してください。支払い時期の確認方法はリフォーム工事の着手金・中間金はいつ払う?で解説しています。
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を受けている人は、借り換えで控除の計算が変わります。国税庁のタックスアンサーNo.1233によると、借り換え後のローンは原則として控除の対象外です。ただし一定の要件を満たせば、引き続き控除を受けられます。
要件は、新しいローンが当初のローンの返済のためと明らかなことです。償還期間10年以上など、控除の要件に当てはまることも必要です。また、控除を受けられる年数は借り換えで延びません。
リフォーム資金を含めて借り換えた場合の計算は、国税庁のQ&A(Q17)で示されています。当初のローンを引き継いだ部分は、取得等に係る控除の対象になります。リフォームに充てた部分は、増改築等に係る控除の対象にもなりえます。増改築等の控除には、別に工事内容などの要件があります。
一方で、借り換えの手数料や登記料に相当する部分は、控除の対象になりません。そのため年末残高は、当初の残高やリフォーム費用の割合で按分して計算します。試算(A)の諸費用80万円を借入額に含めると、その分は控除の計算から除かれます。
控除の適用は個人の状況で変わります。借り換えの前に、税務署や税理士に計算方法を確認してください。リフォームローンで控除を受ける要件はリフォームローンで住宅ローン控除を受けるための要件にまとめています。
一体型と別建てを比べる前に、次の点を見積書や商品概要で確認してください。
1つ目は、今のローンの繰上返済手数料です。借り換えでは今のローンを全額返すため、手数料がかかる場合があります。2つ目は、新しいローンの融資手数料と保証料の方式です。定率型か、保証料を別に払うかで、諸費用の額が大きく変わります。
3つ目は、登記の費用です。抵当権の抹消と新しい設定の登記が必要で、司法書士報酬もかかります。登記費用の考え方は住宅購入の登記費用はいくら?も参考になります。4つ目は、リフォーム業者の条件です。りそなのセット型では、業者が銀行の定める条件を満たす必要があります。
別建てのリフォームローンは、金利が変動型の商品が多い点にも注意が必要です。たとえばりそなの商品は、借入後も年2回、7月と1月に金利を見直します。試算の金利が返済終了まで続くとは限りません。
別建てを選ぶ場合は、複数の金融機関の条件を比べると金利の差が分かります。今のローンを借りている銀行の利用者向けの優遇も確認してください。りそなや三菱UFJ銀行では、自行の住宅ローン利用者の金利が下がります。
別建てのリフォームローンを検討する場合は、CrowdLoanで複数の金融機関からの提案を比較できます。本審査や金利などの条件は各金融機関が判断するため、個人差があります。住宅ローンの借り換えは対象外の可能性があるため、借り換えは各金融機関に直接相談してください。
確認した借換融資の要件では、融資額の上限は借り換えるローンの残高が基準です。リフォーム資金を上乗せできるという記述は見当たりませんでした。【フラット35】リノベも、借り換えでは利用できないと明記されています。取扱金融機関に、個別に確認してください。
軽減税率(1,000分の1)の対象は、住宅の新築や取得のための借入れの抵当権設定です。取得後1年以内の登記などの要件もあります。借り換えには当てはまりにくいため、この記事の試算では1,000分の4で計算しました。実際の税額は、司法書士に確認してください。
りそなのセット型では、住宅ローンとリフォームローンの返済資金を借り換えの対象にしています。ただし既存のリフォームローンだけの借り換えには使えません。【フラット35】借換融資も、リフォームのみのローンは対象外です。借り換え先の資金使途を事前に確認してください。
あります。一体型は毎月の返済額が約3万円少なく、最初の10年の家計の負担が軽くなります。子どもの教育費などで支出が増える時期と重なる場合は、月額を優先する考え方もあります。総額との差を確認したうえで決めてください。
調査日:2026年10月15日。金利は調査日時点で各公式ページに掲載されていた値です。試算の金利・諸費用は仮定で、実際の条件は金融機関の審査で決まります。
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