2023年02月17日
空き家は放置したままにすると、固定資産税額が上がったり、罰金を科せられる場合もあります。売却する以外にも、リフォームして有効活用する方法はありますが、住宅の状態やリフォームの内容によっては、高額な費用が必要になります。
この記事では、空き家の改修などに便利なリフォームローンや、空き家の活用に対する自治体等の助成金についても解説します。相続した空き家をどうするか悩んでいる人、空き家を購入してリフォーム・リノベーションしたい人などは、是非参考にしてください。
目次
高齢化社会の進行と共に空き家の増加が懸念されており、2030年頃には、3戸に1戸が空き家になってしまうといった予測もあります。
人が住んでいない住宅は痛んでしまうのも早く、倒壊などの危険性も高まり、通行人や隣家などに損害を与えてしまう可能性があります。
また、空き家を放置すると、雑草や害虫などによる衛生状態の低下や景観の悪化を招き、近隣住民の迷惑となります。
このようなトラブルを未然に防ぐためにも、空き家は放置せず、早期に有効活用することが望ましいでしょう。
近年、空き家を相続または購入し、リフォームして活用する人も増えています。リフォームの目的は、主に以下の3点が挙げられます。
新築よりも低予算で、機能性の高い住宅を手に入れることができる場合も多くあり、空き家リフォームの注目度は高まっています。
空き家は放置していても良いことが無いため、リフォームして有効活用するのは良策です。リフォームすることで期待できるメリットは多くありますが、一方で注意しておきたいデメリットもあります。双方を事前に理解しておきましょう。
空き家歴が長いほど劣化も進んでいるため、資産価値は下がります。リフォームをして性能の良い物件にすれば資産価値は上がるため、いざ売却したいというときにも高値で販売できる可能性があります。賃貸にする場合でも、設備が整った魅力的な物件にリフォームすることで、入居者も集まりやすく、安定した家賃収入を期待できるでしょう。
また、骨組みもしっかりした建物にすることで、倒壊の恐れも無くなります。空き巣などの犯罪を抑止し、近隣住民とのトラブル回避にも繋がります。
特定空き家に指定されていた場合は、空き家の機能を改善させることで「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税の軽減にもなります。
このように、空き家をリフォームすることによるメリットは多くあります。
空き家リフォームの費用相場は、住宅の状態によって異なりますが、戸建の場合500万円〜2,000万円程度となっています。
築年数や痛み具合などによっては耐震補強工事が必要になり、150万円前後の費用がかかります。日本では1981年から新耐震基準が定められており、それ以前に建築された物件は基準を満たしていない可能性が高いため、注意が必要です。
耐震補強工事には自治体の補助や国の減税制度を利用できる場合もありますので、必要に応じて確認しておきましょう。
間取り変更など大掛かりな工事が必要な場合は、1,000万円以上の費用がかかる場合も多くあります。トータル費用を抑えたい場合は、設備や内装・外装などで削れる箇所は削るなどの工夫も大切です。
家の状態によっては費用がかさんでしまうリフォーム。ローンを利用できるのか気になるところです。ここでは、空き家リフォームに使える住宅ローン、リフォームローン、空き家に特化したローンの3つをご紹介します。
空き家の購入とリフォームには、通常の新築物件購入と同様に住宅ローンを利用することができます。
住宅ローンは、住宅の購入・改築時に利用できるローンです。1億円程度までの高額な費用を低金利で借入でき、返済期間が長いといった特徴があります。なお、有担保での借入となるため、申し込み時の提出書類も多く、借入までに時間がかかる点や、審査が厳しい点などはデメリットといえます。
注意点としては、担保価値が低すぎると希望通りの金額が融資されない、借入期間が短くなるといった可能性があることです。
債務者がローン返済不能となった場合に、金融機関は担保となる物件を競売にかけて融資額を回収します。担保価値の評価が低いと、万一のときに融資分の金額を回収できない恐れがあるため、融資額が低く設定されてしまいます。
融資額と同様の理由で、返済期間も短く設定されてしまう可能性があります。借入期間が短くなると、月々の返済負担が増えることになり、家計を圧迫する恐れがあります。
また、住宅ローン利用の条件として、「自分や家族の居住用住宅を購入するための借り入れであること」が挙げられます。原則、賃貸住宅には利用できないため注意が必要です。
リフォームローンとは、使途を住宅の増・改築や修繕などに特化しているローン商品です。住宅ローンに比べ、最大借入額は500万〜1,500万円程と低く、金利はやや高くなる傾向があり、借入期間も短くなります。一方、手続きが簡単で審査にも比較的通りやすいといったメリットがあります。
住宅ローンが有担保であるのに対し、リフォームローンは基本的に無担保で借入することができます。有担保の場合、抵当権設定のための費用がかかりますが、無担保リフォームローンなら必要がないため、その分安上がりといえます。
注意点は、自己居住用で本人または同居家族の所有物件でないと使えない場合が多いことです。
1,000万円程度までのリフォーム工事であれば、手軽に利用できるリフォームローンがおすすめとなります。
近年、空き家が増加し社会問題となっていることから、空き家の活用に使えるローンが増えています。
使途は空き家の改修を対象としているものがほとんどで、リフォーム後賃貸にする場合にも利用できます。その他にも、空き家の購入資金や、防火・耐震、防災・防犯上の設備対策費に使えるものもあります。
ここでは、空き家活用に利用できるローンとして、滋賀銀行の「住宅関連ローン(無担保)」をご紹介します。
空き家の解体からリフォーム、賃貸物件へ転用する場合にも利用可能なローンで、全国から申し込みが可能です。また、契約までスマホで完結可能なため、手軽に利用できるのもポイントです。
金利は審査により2.875%、3.675%、5.175%(変動)のいずれかとなりますが、カーボンニュートラル設備導入などで金利優遇もあり、さらに引き下げられる場合もあります。
最大借入額は1,000万円、最大借入期間は20年と長期の借入も可能なため、大規模な空き家リフォーム工事にも利用でき、幅広いニーズに対応するローン商品です。
外部サイト:滋賀銀行「住宅関連ローン(無担保)」
上記銀行以外にも、空き家の活用に使えるローンを扱う銀行は多数あり、内容もさまざまですので、複数比較して状況にあったローンを選びましょう。
費用を少しでも抑えるために、自治体等の助成金が使えるかチェックしておきましょう。今回は、自治体の助成事業1例と、国の補助事業1例をご紹介します。
対象となる空き家の条件や助成金額はさまざまですが、空き家リフォームに助成金が出る自治体もあります。ここでは豊島区の助成事業をご紹介します。
豊島区の空き家に関する補助金制度の1つである「地域貢献型空き家利活用事業」は、空き家を地域貢献のために提供したい所有者と、その物件で地域貢献活動の展開を希望するNPO団体等をマッチングし、空き家の活用促進を目指す事業です。
空き家の所有者と団体は賃貸借契約を結び、団体はコミュニティカフェやこども食堂などの地域貢献活動に空き家を利用することができます。活動に必要な物件のリフォーム費用は、区が最大200万円まで補助してくれます。
他にも豊島区では、空き家をシェアハウスとして活用する場合の改修費補助なども行っており、さまざまな空き家活用方法があることが分かります。
外部サイト:豊島区「地域貢献型空き家利活用事業」
自分の地域の取り組みを確認してみるのもおすすめです。
国では、「住宅確保要配慮者専用賃貸住宅改修事業」を行っています。
この事業は、空き家をセーフティネット住宅へ改修する際、必要な改修費用が一部助成されるというものです。最大50万円までの補助で、工事内容によっては補助額が引き上げられます。
補助を受けるには、住宅確保要配慮者専用住宅として登録する必要があります。また、補助対象工事は以下のようになります。
改修後は、住まいに困窮している子育て世帯や高齢者世帯などに低家賃で賃貸します。セーフティネット住宅のニーズは高まっているため、空き家活用の1つとしておすすめの方法です。
空き家のリフォームに使えるローンをいくつかご紹介しましたが、関連ローンを扱っている銀行は多数あるため、自力で一つひとつ調べ上げるのは時間がかかってしまうでしょう。そこでおすすめなのが「クラウドローン」です。
クラウドローンは、簡単な登録をするだけで、複数の銀行から希望ローンの一括提案を受けることができます。複数のローンを比較してから選ぶことができるので、納得のいく最適な商品を見つけることができるはずです。
ローンを組みたい個人と、ローンを提供したい銀行を結ぶマッチングプラットフォームのクラウドローン。サービスを賢く活用し、空き家のリフォーム費用に使えるローンを探してみましょう。
周囲の人のためにも空き家は放置せず、早期に有効活用することが望ましいといえます。
空き家の活用の仕方によって必要になる費用は異なりますが、大幅な改修をする場合はその分高額な費用を用意しなければなりません。
手持ちで賄うと貯蓄が一気に減ってしまうリスクがあるため、ローンを利用するのもひとつの手。審査に通りさえすれば、すぐにリフォームを行うことができます。
計画的にローンを利用し、理想の住まいや、人を支える場所づくりを始めませんか。
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空き家を放置すると、固定資産税や罰金の増額などのリスクがあります。リフォームや活用には費用がかかりますが、自治体の助成金やローンを活用することで負担を軽減できます。リフォームにより資産価値が上がり、賃貸収入も期待できます。しかし、費用の増加や手続きの複雑さもありますので、計画的な対処が必要です。リフォームローンや特化した空き家ローンの活用、自治体の助成金や国の補助金の利用など、様々な手段を検討し、最適な選択をしましょう。