省エネリフォームをすると、固定資産税が下がることがあります。ただし、条件を満たすかどうかは「補助金を差し引いたあとの工事費」で決まります。申告の期限も短めです。
この記事では、2026年10月6日時点で国土交通省が公表している資料をもとに、減額の要件と手続きの流れを説明します。
目次
平成26年4月1日以前からある家屋で、一定の省エネ改修工事をした場合に、翌年度分の固定資産税が3分の1減額される制度です。対象は、令和13年(2031年)3月31日までに行う工事です。
2026年4月1日以降に完了した工事は、国交省の現行資料にある要件で判定します。古いパンフレットや以前の記事の条件で判断しないよう、工事の前に最新の資料と市区町村の案内を確認してください。
国交省資料に記載されている主な要件は次のとおりです。
・改修後の断熱部位が、いずれも平成28年基準を新たに満たしていること
・平成26年4月1日以前から所在する家屋であること
・賃貸住宅ではないこと
・窓の断熱改修工事を含むこと(必須工事)
・工事費から補助金等を差し引いた額が60万円(税込)を超えること
・登記簿上の床面積が40㎡以上240㎡以下であること
・店舗などとの併用住宅なら、床面積の2分の1以上が居住用であること
窓の工事には、ガラスの交換、内窓の新設・交換、サッシとガラスの交換が含まれます。床・壁・天井の断熱改修だけで、窓に手を入れない工事は対象になりません。
補助金を使う場合も、この制度の対象にはなりえます。ただし判定には、工事費の総額ではなく、補助金等を差し引いた後の金額を使います。
高効率給湯器や太陽光発電など「分類C」の工事を組み合わせる場合は、さらに条件が加わります。窓(分類A)と床・壁・天井(分類B)の工事費が50万円(税込)を超え、なおかつ分類A・B・Cの合計が60万円(税込)を超えていなければなりません。
| ケース | 工事内容と金額(税込) | 補助金等 | 判定の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | 内窓の設置 90万円 | 40万円 | 差引50万円で60万円以下のため対象外 |
| 2 | 窓+壁の断熱 150万円 | 60万円 | 差引90万円で60万円超。ほかの要件も満たせば対象 |
| 3 | 窓45万円+高効率給湯器30万円 | なし | 合計75万円でも、分類A・Bが50万円以下のため対象外 |
※表は説明用の試算例です。実際の判定は、証明書の発行者や市区町村に確認してください。
ケース1は、工事費90万円から補助金40万円を引くと50万円です。条件は「60万円を超える」ことなので、届きません。補助金が30万円で差引がちょうど60万円になる場合も、「超える」には当たらないため対象外です。補助金が多く出るほど、減税の判定では不利になることがあります。
ケース2は、工事費150万円から補助金60万円を引いても90万円が残ります。窓の工事を含んでいるので、床面積などほかの要件も満たせば対象です。
ケース3は、窓45万円と給湯器30万円で合計75万円です。合計は60万円を超えていますが、分類Cの給湯器を組み合わせているため、窓と床・壁・天井の工事費だけで50万円を超える必要があります。窓が45万円にとどまるので対象外です。この場合、窓の工事を増やすか、壁や天井の断熱を加えて分類A・Bを50万円超にすれば、判定が変わる可能性があります。
補助金の側で税制との併用が認められているか、交付額がいつ確定するかは、補助金ごとに異なります。各補助制度の要綱で確認しておきましょう。交付額の確定より先に申告期限が来そうなときは、どの書類で申告すればよいかを市区町村に確かめておくと安心です。
減額されるのは、改修した家屋にかかる翌年度の固定資産税の3分の1です。たとえば床面積120㎡以下の家屋で、家屋分の翌年度固定資産税が9万円なら、3万円が減額され、納める額は6万円になります。
| 家屋分の翌年度固定資産税 | 減額される額(3分の1) | 減額後に納める額 |
|---|---|---|
| 6万円 | 2万円 | 4万円 |
| 9万円 | 3万円 | 6万円 |
| 15万円 | 5万円 | 10万円 |
※床面積120㎡以下の家屋を想定した試算です。実際の税額は納税通知書で確認してください。
注意したいのは、減額の対象が家屋分に限られる点です。納税通知書には土地と家屋の税額が並んで書かれていることが多いですが、合計額の3分の1が減るわけではありません。土地分の固定資産税は、これまでどおり納めます。
また、減額の対象は120㎡相当分までです。床面積が120㎡を超える家屋では、減額される額は家屋分の税額の3分の1より小さくなります。
減額は翌年度の1年分です。工事費が60万円を超えるのに対し、減税額は数万円になることが多いため、減税だけを目的に工事の範囲を広げるのはおすすめしません。断熱による光熱費の削減や、冬の寒さ・結露の改善とあわせて、工事の価値を判断しましょう。
固定資産税は、毎年1月1日時点の家屋の状態と所有者をもとに課税されます。そのため、2026年中に工事を終えた場合、減額されるのは2027年度分の固定資産税です。工事をした年にすでに納めている税金が戻ってくるわけではありません。
2027年度の納税通知書が届いたら、家屋分の税額が減っているかを確認しましょう。減額が反映されていないときは、申告書類が受理されているかを市区町村の固定資産税の担当窓口に問い合わせます。
減額を受けるには、工事完了日から3か月以内に、家屋がある市区町村へ書類を提出します。国交省資料に挙がっている書類は次の3つです。
・固定資産税の減額に関する申告書類
・増改築等工事証明書
・補助金等を受けた場合は、金額がわかる書類
増改築等工事証明書を発行できるのは、建築士事務所に所属する建築士、指定確認検査機関、登録住宅性能評価機関、住宅瑕疵担保責任保険法人です。必要書類は自治体ごとに異なる場合があるため、見積もりの段階で施工会社に「証明書の手配まで頼めるか」を確認しておくと安心です。
手続きは、おおむね次の順で進みます。
1. 見積もりを取り、窓の工事が含まれているか、補助金を引いた額が60万円を超えるかを確認する
2. 補助金を使う場合は、各制度の要綱に沿って申請する
3. 工事を行う
4. 建築士などに増改築等工事証明書を発行してもらう
5. 工事完了日から3か月以内に、市区町村へ申告書類を提出する
6. 翌年度の納税通知書で、家屋分の税額が減っているかを確認する
つまずきやすいのは、4から5にかけてです。証明書の発行には書類の準備や確認が必要で、時間がかかることがあります。工事が終わってから発行者を探し始めると、3か月の期限に間に合わないおそれがあります。工事の契約時に、証明書を誰がいつまでに発行するかを決めておきましょう。
期限に間に合いそうにないときの扱いは、市区町村によって異なることがあります。わかった時点で早めに窓口へ相談してください。
所得税の控除とは別の制度です。所得税は確定申告で税務署に手続きし、固定資産税は市区町村に申告します。要件も窓口も異なるため、両方を使いたい場合はそれぞれの条件を満たしているか確かめてください。
| 項目 | 固定資産税の減額 | 所得税の控除 |
|---|---|---|
| 軽くなる税金 | 翌年度の家屋分の固定資産税 | 所得税 |
| 手続きの窓口 | 家屋がある市区町村 | 税務署(確定申告) |
| 手続きの時期 | 工事完了日から3か月以内 | 確定申告の期間 |
| 要件 | この記事で紹介した要件 | 所得税の制度で別に定められた要件 |
同じ工事でも、片方の要件だけを満たすことがあります。所得税の控除の要件は、出典に挙げた国交省のリフォーム促進税制のページで確認できます。
補助金は工事が終わってから入金されることが多く、いったんは工事費の全額を自分で用意する必要があります。複数社から見積もりを取り、補助金の対象になる部分と減税の判定に使う金額を分けて書いてもらいましょう。
手元資金で足りない場合は、銀行のリフォームローンが選択肢になります。無担保型や、省エネ改修向けに金利を優遇する商品もあります。金融機関ごとの金利や審査条件をまとめて比べたいときは、CrowdLoanで自分の条件に合うローンを探すのもひとつの方法です。返済額と、減税・補助金で戻ってくる額をあわせて計画を立てましょう。
国土交通省「省エネ改修に係る固定資産税の減額措置」(PDF)
国土交通省「リフォーム促進税制(所得税・固定資産税)について」
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