事業融資で1,000万円を5年(60回)で借り、年利4.05%と仮定します。元利均等返済なら毎月の返済額は約18.4万円です。元金均等返済なら初回が約20.0万円で、最終回は約16.7万円まで下がります。利息の総額は、元利均等で約106万円、元金均等で約103万円です。
元金の据置期間を1年設けると、最初の12回は利息だけの約3.4万円で済みます。その代わり13回目からの返済額は約22.6万〜24.2万円に上がり、利息総額は約123万〜125万円です。この記事では、この差が生まれる理由を式で示します。あわせて、返せる額から借入額を逆算する方法も紹介します。
日本政策金融公庫(国民生活事業)の案内では、返済は原則として月賦払いです。返済方法には元金均等返済、元利均等返済、ステップ(段階)返済などがあります。以下の数値はすべて仮定の試算で、実際の金利や返済条件は審査を経て個別に決まります。
元金均等返済と元利均等返済の計算式
まず計算に使う記号を決めておきましょう。借入額をP、年利をi、返済回数をnとします。月返済の場合、1か月あたりの利率rは
年利を12で割った値です。年利4.05%の場合、rは0.3375%です。
元金均等返済
元金均等返済では、毎回同じ額の元金を返し、その時点の残高にかかる利息を上乗せします。k回目の返済額は「P÷n+(P−P÷n×(k−1))×r」です。残高が減るほど利息も減るので、返済額は回を追うごとに下がります。初回の負担が最も重い点に注意してください。
元利均等返済
元利均等返済は、元金と利息を合わせた毎回の返済額を一定にする方法です。毎月の返済額は「P×r×(1+r)^n÷((1+r)^n−1)」で求めます。返済額は一定ですが、初めのうちは利息の割合が大きく、元金の減り方はゆっくりです。そのため同じ条件なら、元金均等より利息総額がやや多くなります。
据置期間の扱い
据置期間は、元金の返済を待ってもらい利息だけを払う期間です。公庫の返済シミュレーションは「返済期間のうち元金据置期間」を入力する形式で、据置は返済期間に含まれます。公庫の一般貸付の運転資金も「5年以内(特に必要な場合7年以内)<うち据置期間1年以内>」です。5年返済で1年据え置くと、元金は残り4年の48回で返すことになります。
1,000万円・5年で比べた試算表
試算の条件は、借入額1,000万円・返済期間5年(60回)・固定の年利4.05%です。4.05%は、公庫国民生活事業の基準利率(無担保・税務申告2期以上)の下限の値を
仮定として置いたものです。利息は円未満切り捨て、元利均等の月返済額は円未満切り上げとし、最終回で残高を精算しました。元金均等の毎回の元金は166,666円で、最終回は166,706円です。
| 返済方法 |
初回 |
13回目 |
最終回(60回目) |
利息総額 |
| 元金均等(据置なし) |
200,416円 |
193,666円 |
167,268円 |
1,029,360円 |
| 元利均等(据置なし) |
184,391円 |
184,391円 |
184,357円 |
1,063,426円 |
| 据置1年+元金均等48回 |
33,750円 |
242,083円 |
209,052円 |
1,231,854円 |
| 据置1年+元利均等48回 |
33,750円 |
226,015円 |
225,959円 |
1,253,664円 |
元金均等と元利均等の利息差は約3.4万円です。差は小さいものの、元金均等は初回の負担が約1.6万円重くなります。据置1年を付けると、どちらの方法でも利息総額は約19万〜20万円増えます。据置中も残高は1,000万円のまま減らず、その間ずっと利息がかかるためです。
据置期間は、設備の稼働や売上の入金を待つ間の資金繰りを楽にします。ただし、据置明けの月返済額が据置なしより約4万〜5万円上がる点は見落とせません。
据置を選ぶなら、13回目以降の返済額を払えるかを先に確かめてください。
金利が1%違うと、期間が2年延びると
同じ1,000万円で、金利と期間を変えた場合を比べます。年利5.05%は基準利率の範囲内にある値で、4.05%に1%を足した仮定です。7年(84回)は、公庫一般貸付の運転資金で「特に必要な場合」に認められる期間に合わせました。端数処理は上の表と同じです。
| 条件(据置なし) |
元利均等の月返済額 |
元利均等の利息総額 |
元金均等の利息総額 |
| 5年・年利4.05% |
184,391円 |
1,063,426円 |
1,029,360円 |
| 5年・年利5.05% |
188,942円 |
1,336,453円 |
1,283,516円 |
| 7年・年利4.05% |
136,919円 |
1,501,087円 |
1,434,341円 |
金利が1%上がると、月返済額は約4,500円の増加にとどまります。しかし5年間の利息総額では約25万〜27万円の差になります。期間を7年に延ばすと月返済額は約4.7万円下がる一方、利息総額は約40万〜44万円の増加です。月々の軽さと総額の少なさは両立しにくいので、両方の数字を並べて決めましょう。
金利の水準そのものは借入先や商品で異なります。相場の考え方は
ビジネスローンの金利相場と低金利で借りるためのポイントで解説しています。
返せる額から借入額を逆算する
返済額は、事業が生む現金の範囲に収めるのが前提です。一般的には、税引後利益に減価償却費を足した額を、年間に返済へ回せる額の目安とします。減価償却費は費用に計上されますが、現金の支出を伴わないためです。
既にある借入金の年間返済額は、ここから差し引いて考えます。
年間返済可能額が決まったら、12で割って月額Mにします。元利均等の現在価値の式「借入可能額=M×(1−(1+r)^−n)÷r」に当てはめれば、借りられる上限の目安が出ます。たとえば税引後利益150万円と減価償却費90万円の事業で、ほかに借入がないと仮定しましょう。年240万円、月20万円を返済に回せる計算です。
この月20万円を年利4.05%・60回で返す場合、借入可能額は約1,084万円です。84回なら約1,460万円、年利5.05%・60回なら約1,058万円になります。ただし、これは利益を全額返済に充てた場合の上限です。売上が落ちた月や納税の月にも払えるよう、上限より少なめに借りる計画が無難です。
逆算の結果が必要額に届かないこともあります。その場合は借入額を増やす前に、仕入先や外注先との支払条件の見直しや補助金の活用を検討してください。補助金を使えるのは、要件を満たして採択された場合に限られます。
返済額以外にかかるお金と注意点
返済が遅れると、遅延損害金がかかります。公庫国民生活事業の遅延損害金の割合は
年9.10%です。これは令和8年4月1日から令和9年3月31日までの貸付けに適用される割合です。
信用保証協会の保証付き融資では、金利とは別に信用保証料を払います。保証料率は、経営状況に応じた9つの料率区分から適用されます。担保の提供などによる割引や、制度ごとの特別料率もある点に注意が必要です。
実質の負担は、利息と保証料を合わせて比べてください。具体的な料率は、利用する信用保証協会に確認しましょう。
契約の形式によって、返済の進め方も変わります。毎月決まった額を返す証書貸付の仕組みは
証書貸付は他の貸付やローンと何が違うの?で確認できます。
公庫の返済シミュレーションで自分の条件を試す
公庫のサイトには
返済シミュレーション(事業資金用)があります。入力項目は借入希望額・返済方法・年間の返済回数・返済期間・元金据置期間・金利です。途中で金利が変わる場合の試算もできます。
公庫は、この結果をあくまでも目安としています。実際の返済額は、借入日や金額・期間・金利などの条件次第です。この記事の試算とも、端数処理の違いから数円〜数十円ずれることがあります。
審査の結果、希望どおりの金額や期間で借りられない場合もあります。計画を立てる際は、条件が厳しくなった場合の返済額も試しておきましょう。
公的制度と並べて、民間金融機関の金利や返済期間も比較したい場合は
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出典・確認先
調査日:2026年10月8日。金利・遅延損害金の割合・返済条件は金融情勢や制度の改定で変わることがあります。最新の内容は各機関のページで確認してください。
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