新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は、2026年に第1回の公募が始まった設備投資向けの補助金です。申請は電子申請のみで、締切は
2026年10月30日(金)18時です。採択発表は2027年1月頃の予定と公表されています。
補助上限は申請枠と従業員数で決まり、新事業進出枠とグローバル枠では最大9,000万円です。一方で賃上げ要件を満たせないと、補助金の一部または全額を返還する場合があります。補助金は事業完了後の精算払いで入金されるため、大型投資では数千万円規模の立替資金が必要です。この記事は2026年10月8日時点の公式情報で確認しています。
制度の位置づけと3つの申請枠
事務局サイトは、本補助金を「中小企業新事業進出補助金」や「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」とは異なる補助金と明記しています。名称は似ていますが、要件や上限は第1回の公募要領で新たに確認してください。
旧制度の利用歴は今回の審査にも影響します。申請締切日から16か月以内に事業再構築補助金、新事業進出補助金、ものづくり補助金のいずれかで採択された事業者は対象外です。締切時点でこれらの補助事業を実施中の事業者も同様です。過去3年間に交付決定を合計2回以上受けた事業者も申請できません。ものづくり補助金か新事業進出補助金で1回受けている場合は、減点の対象になります。
申請枠は3つあります。革新的新製品・サービス枠は、自社の技術を活かした新製品や新サービスの開発が対象です。機械を入れるだけで開発を伴わない計画は認められません。新事業進出枠は、自社にとって新しい製品で新しい顧客層を開拓する事業が対象です。既存製品の増産や、商圏を変えるだけの計画は該当しません。グローバル枠は、輸出に向けて国内の製造拠点などを強化する事業が対象です。
| 申請枠 |
補助上限額(従業員数別) |
補助率 |
実施期間 |
| 革新的新製品・サービス枠 |
1〜5人 750万円(850万円)
6〜20人 1,000万円(1,250万円)
21〜50人 1,500万円(2,500万円)
51人以上 2,500万円(3,500万円)
下限100万円 |
中小企業者 1/2(2/3)
小規模・再生事業者 2/3 |
交付決定から10か月以内 |
| 新事業進出枠 |
1〜20人 2,500万円(3,000万円)
21〜50人 4,000万円(5,000万円)
51〜100人 5,500万円(7,000万円)
101人以上 7,000万円(9,000万円)
下限750万円 |
1/2(2/3) |
交付決定から14か月以内 |
| グローバル枠 |
新事業進出枠と同じ |
2/3 |
交付決定から14か月以内 |
表の上限額の括弧内は、賃上げ特例が認められた場合の額です。補助率の括弧内は、地域別最低賃金引上げ特例を受けた場合に適用されます。新事業進出枠では、小規模事業者でも原則1/2となります。出典は公募要領(第1回)1.3版のp.6〜9です。
賃上げ要件と未達時の返還
申請者は補助事業終了後3〜5年の事業計画を作り、その目標を達成する必要があります。基本要件の中心は次の3つです。
- 付加価値額の年平均成長率4.0%以上
- 従業員1人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上
- 事業場内最低賃金を地域別最低賃金より毎年30円以上高くする
給与の目標を最終年度に達成できない場合、未達成率に応じて返還を求められます。返還額は「補助金交付額×(1−実績の成長率÷目標値)」で計算します。成長率がゼロ以下なら全額返還です。事業場内最低賃金が基準を下回った年は、交付額を計画年数で割った額を返還します。ただし付加価値額が増えず、計画期間の過半数の年度が営業赤字の場合や、天災などの場合は返還を求めないと定められています(公募要領p.11〜13)。
賃上げ特例は、給与の伸び6.0%以上と最低賃金差50円以上を約束すると上限が上がる仕組みです。基本の上限に届く計画でなければ使えません。未達になると、引き上げ分は全額返還です(p.15)。審査では、採択前の「足下の賃上げ」も見られます。直近の決算期から基準年度までの伸びが物価上昇率を下回ると大幅に不利になると書かれています(p.44)。
対象経費と、対象にならない支出
革新的新製品・サービス枠では機械装置・システム構築費が必須です。新事業進出枠とグローバル枠では、機械装置等か建物費のどちらかを必ず含めます。建物費は建設や改修が対象で、建物の単なる購入や賃貸は対象外です。機械装置は1台10万円(税抜)以上が条件で、既存設備の単なる置き換えは認められません。
外注費は経費総額の1/4、専門家経費は1/5までといった区分ごとの上限もあります。家賃、事務用パソコン、自動車、借入金の利息、消費税は補助対象外です(p.27〜33)。採択されても、交付申請の審査で経費が減額される場合があります。減額の結果、補助額が下限の100万円または750万円を下回ると採択は取り消されます(p.54)。
10月30日の締切までに済ませる準備
調査日から締切までは約3週間です。時間のかかる手続きから先に進めてください。
電子申請にはGビズIDプライムアカウントが必要で、発行に1週間程度かかります。次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画も、締切時点で「両立支援のひろば」に公表されている必要があります。公表には1〜2週間かかるため、公募要領は2週間以上の余裕を求めています(p.2、p.13)。どちらも遅れによる締切延長は認められません。
書類は直近3期分の決算書、労働者名簿の写し、確定申告書の控えなどが必須です。発注先1件あたり50万円(税抜)以上の経費は、交付申請時に3者以上の見積もりが必要です(p.54)。応募時に計上していない経費は後から追加できません。見積もりは応募前に集めておくと計画の精度が上がります。
口頭審査は、一定の基準を満たした事業者を対象に必要に応じて行われます。オンラインで15分程度、対応できるのは代表者など申請者本人だけです。予約は申請完了順の先着なので、早く申請するほど日程を選びやすくなります(p.51)。
入金までの資金の谷を試算する
公募要領とFAQでは、補助金は実績報告と確定検査で金額が決まった後、精算払いの請求を経て振り込まれます。概算払いの記載は確認できませんでした。交付決定前に契約や発注をした経費は対象外です。支払いは銀行振込に限られ、手形やファクタリングは使えません。分割払いは実施期間内に全額を払い終える必要があります(p.55〜56)。
次の試算は仮定の数字です。従業員30人の製造業が新事業進出枠で、建物改修5,000万円と機械3,000万円を投資するとします。課税事業者で、消費税10%は補助対象外として計算します。
| 項目 |
ケース1(基本) |
ケース2(賃上げ特例) |
| 補助対象経費(税抜) |
8,000万円 |
9,000万円 |
| 経費×補助率1/2 |
4,000万円 |
4,500万円 |
| 適用する上限(21〜50人) |
4,000万円 |
5,000万円 |
| 補助金額 |
4,000万円 |
4,500万円 |
| 税込の支払総額 |
8,800万円 |
9,900万円 |
| 入金後に残る負担 |
4,800万円 |
5,400万円 |
ケース1は8,000万円×1/2=4,000万円で、上限の4,000万円と同額です。ケース2は4,500万円が基本上限を超えるため、特例が認められた場合に限り4,500万円となります。特例が認められなければ補助金は4,000万円で、残る負担は5,900万円です。どちらも入金までは税込の全額、8,800万円または9,900万円を先に払う必要があります。入金後に残る負担は、支払総額から補助金額を引いた額で、消費税分を含む金額です。補助金相当の4,000万円または4,500万円は、最後の支払いから実績報告と確定検査を経て入金されるまで、自己資金か借入でつなぐことになります。
補助金は返済不要ですが、融資を使う場合の手順にも決まりがあります。金融機関から資金提供を受けるなら、応募時に「金融機関による確認書」の提出が必要です(p.14)。つまり10月30日までに借入先と事業計画を確認しておく必要があります。補助金で建てた建物に抵当権を付けるには事務局の事前承認が必要で、根抵当権は設定できません(p.58)。担保の組み方も事前に金融機関と相談してください。
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2027年の日程と確認事項
第1回の採択発表は2027年1月頃の予定です。採択後は原則2か月以内に交付申請を行い、実施期間は新事業進出枠で最長14か月となります。このため事業の実施と入金は2027年から2028年にかかる見込みです。その後も5年間で計6回の事業化状況報告が求められます(p.53、p.57)。
第2回以降の公募日程や2027年度の予算、公募要領は、2026年10月8日時点で公表されていません。2027年に同じ条件で募集があるかは確認待ちです。最新の公募要領で上限額や要件を確かめてから計画を立ててください。
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