東京都の創業助成事業は、都内で創業する人や創業5年未満の事業者に、家賃・広告費・人件費などの一部を助成する制度です。2026年10月8日時点の公式情報で確認したところ、令和8年度第2回の申請受付は2026年10月8日(木)23時59分で締め切りです。この記事を読む時点で受付が終わっている場合は、次回の募集に向けた準備として読んでください。
先に結論をまとめます。助成額は上限400万円・下限100万円で、助成率は対象経費の3分の2以内です。対象になるのは、都内に本店や主たる事業所を置いて事業を行う人に限られます。申請するには、公社が指定する創業支援事業を事前に利用しておく必要があり、公社は満たすまでに概ね3か月以上かかると案内しています。助成金は後払いが基本なので、経費を先に払うための資金計画も欠かせません。
令和9年度(2027年度)の募集時期や条件は、2026年10月8日時点で公表されていません。以下では令和8年度の確定情報をもとに、対象者、経費、手順、入金までの資金繰りを順に説明します。
目次
この助成事業は東京都と公益財団法人東京都中小企業振興公社が実施しています。申請できるのは、都内での創業を具体的に計画している個人、開業届から5年未満の個人事業主、登記から5年未満の法人の代表者などです。法人は株式会社や合同会社などの「会社」に限られ、一般社団法人や医療法人は対象外です。
所在地の条件は細かく決められています。法人は本店の登記が都内にあり、都内で実際に事業を行う拠点が必要です。個人事業主は納税地と主たる事業所等の両方が都内にあることが条件です。バーチャルオフィスだけでは要件を満たさず、都内に実質的な拠点が別にある場合に限り申請できます。
年数の数え方にも注意してください。個人事業主や法人代表者としての経営経験が通算5年以上ある人は申請できません。別の会社で代表を務めた期間や海外での経営経験も通算に含まれます。開業届を出さずにフリーランスとして働いた期間は含みません。
東京都以外で開業する人は、この助成事業を使えません。他の道府県や市区町村にも独自の創業支援制度がある場合があるため、開業予定地の自治体や商工会議所に確認してください。全国を対象にした国の制度としては、小規模事業者持続化補助金の創業型があります。第4回は2026年11月5日から12月15日17時まで申請を受け付ける予定で、補助上限は200万円です。
令和8年度第2回の募集要項で確認した主な条件を表にまとめます。
| 項目 | 内容(令和8年度第2回) |
|---|---|
| 助成限度額 | 上限400万円・下限100万円 |
| 経費区分ごとの上限 | 事業費と従業員人件費の合計で300万円、委託費で100万円 |
| 助成率 | 対象経費の2/3以内 |
| 事業費 | 賃借料、広告費、器具備品購入費、産業財産権出願・導入費、専門家指導費 |
| 従業員人件費 | 都内勤務の従業員の基本給(正社員は1人月35万円まで、パート・アルバイトは日額8,000円まで) |
| 委託費 | 外部専門業者に委託する市場調査・分析費 |
| 助成対象期間 | 交付決定日から6か月以上、最長2年 |
| 申請方法 | Jグランツによる電子申請のみ(GビズIDプライムが必要) |
人件費や委託費だけで申請することはできず、事業費を必ず含める必要があります。代表者や役員の報酬は人件費の対象外です。個人事業主本人と、生計を一にする三親等以内の親族の人件費も対象になりません。
対象外になりやすい経費も多くあります。事務所の敷金・礼金・更新料、バーチャルオフィスの利用料、中古品、1点あたり税込1万円未満や50万円以上の器具備品は対象外です。消費税、光熱水費、通信費、振込手数料も認められません。オンラインショップの出店費用や、予約・決済システムの構築費用は広告費として計上できません。
この制度で最も時間がかかるのが申請要件2です。公社が指定する23種類の創業支援事業のうち、いずれか1つを利用し、申請書を公社が受理する時点で条件を満たしている必要があります。
代表的なものは次の4つです。1つ目はTOKYO創業ステーションのプランコンサルティングで、事業計画書の策定支援を終え、その証明を受けるものです。2つ目は区市町村が行う認定特定創業支援等事業で、支援を受けたことを区市町村長に証明してもらいます。3つ目は制度融資の利用で、東京都中小企業制度融資の創業融資か、都内区市町村が実施する創業者向けで東京信用保証協会の保証付きの制度融資が対象です。4つ目は認定インキュベーション施設などへの入居です。
募集要項は、プランコンサルティングの要件を満たすには概ね3か月程度かかると説明しています。制度融資を要件にする場合も、金融機関や保証協会の審査を経る必要があります。証明書類が所定の様式と異なると、支援を利用していても書類審査で原則不通過です。次回を目指すなら、受付開始の数か月前から準備を始めてください。
第2回は、申請から交付決定まで約5か月かかる日程です。
| 段階 | 時期(予定を含む) |
|---|---|
| 申請受付 | 2026年9月29日10時〜10月8日23時59分 |
| 書類審査結果の通知 | 2026年12月中旬頃(Jグランツで通知) |
| 面接審査 | 2027年1月6日〜1月14日の平日日中 |
| 審査結果・交付決定 | 2027年3月上旬に通知、交付決定日は2027年3月1日予定 |
| 助成対象期間 | 最短2027年8月31日まで、最長2029年2月28日まで |
| 助成金の受取り | 実績報告と完了検査の後(6か月経過後に中間払1回が可能) |
面接審査には代表者本人が出席します。当日は提出済みの書類しか使えず、パソコンや商品サンプルは持ち込めません。指定日時に来なければ辞退とみなされます。
交付決定前に契約・支払いした経費は原則として対象外です。例外は賃借料と従業員人件費で、交付決定前に結んだ契約でも、助成対象期間中の分は対象になります。創業前の個人として申請した場合は、開業届を出した後に契約・支払いした経費だけが対象です。
審査は書類審査、面接審査、総合審査の順で進みます。募集要項には、商品・サービスの完成度、対象市場の理解、収益の仕組み、経営見通しの妥当性などの視点が並んでいます。資金調達については「助成対象期間中に必要な資金調達が見込めるか」「助成金の交付がない場合でも事業継続が可能な収支計画か」という点も審査の視点です。
公社が公表している令和7年度の実績は、申請者1,225人に対して採択者201人でした。201÷1,225≒0.164なので、採択率は約16.4%です。申請すれば受け取れる制度ではないため、不採択でも事業を続けられる計画を立てておく必要があります。
以下は仮定の数字による計算例です。助成対象期間を1年とし、次の経費を税抜で計上したとします。
| 経費区分 | 内訳(仮定) | 対象経費 | ×2/3 |
|---|---|---|---|
| 事業費 | 家賃月12万円×12か月+広告費60万円+器具備品36万円 | 240万円 | 160万円 |
| 従業員人件費 | 正社員1人・基本給月22万円×12か月 | 264万円 | 176万円 |
| 委託費 | 市場調査・分析の委託 | 45万円 | 30万円 |
事業費と人件費の合計は160万円+176万円=336万円です。上限の300万円を超えるため、この部分の助成額は300万円になります。委託費の30万円は上限100万円以内です。助成額の合計は300万円+30万円=330万円で、総額の上限400万円にも収まります。
対象経費の合計は240万円+264万円+45万円=549万円です。自己負担は549万円−330万円=219万円ですが、事業期間中はいったん549万円を支払います。さらに消費税、社会保険料の事業主負担、光熱費などの対象外経費も自分で払う必要があります。中間払を受ける場合も、6か月経過後に実績報告と検査を経てからの入金です。
交付決定額は助成金の上限を示すもので、検査の結果で減ることがあります。支払いは振込が原則で、契約書・請求書・振込控などの証憑がそろわない経費は対象外になります。
立替が必要な期間は、最初の支払いから助成金の入金までです。準備の方法は主に3つあります。1つ目は自己資金で、運転資金を残せる範囲に抑えます。2つ目は家賃や広告の支払条件の調整です。ただし分割払いは最後の支払いまで助成対象期間内に終える必要があります。3つ目は日本政策金融公庫や金融機関の事業性融資です。
採択や交付決定は、融資の審査とは別の手続きです。採択されたからといって、融資が受けられるとは限りません。創業前で売上の実績がない段階なら、公庫の創業向け融資や自治体の制度融資から検討する方法があります。比較の方法は創業融資の相談先と準備する書類で解説しています。すでに売上の実績がある事業者は、複数の金融機関の条件を比べて立替資金を準備する方法もあります。
令和8年度は、第1回が4月7日〜16日、第2回が9月29日〜10月8日の年2回募集でした。令和9年度に同じ時期・同じ上限額で募集があるかは、2026年10月8日時点で公表されていません。最新の募集要項がTOKYO創業ステーションのサイトに掲載されてから、条件を確認してください。
募集時期が未定でも、先に進められる準備はあります。GビズIDプライムは発行に1か月程度かかる場合があります。申請要件2の創業支援事業は数か月単位の時間が必要です。都内の拠点、開業届や登記、住民税・事業税の納税証明書も早めに整えておくと、募集が始まってから慌てずに済みます。
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