事業融資の返済中でも、追加で借入を申し込むことはできます。ただし可否と金額は審査で決まり、希望どおりになるとは限りません。審査では、これまでの返済に遅れがないか、何に使うか、今の利益で既存分と合わせて返せるかが見られます。限度額も、制度によっては既存の借入と合わせた枠で見られます。
申し込む前に、直近2期分の決算書と、既存借入の残高と年間返済額の一覧をそろえましょう。決算から6か月以上たっていれば試算表も用意します。そのうえで、返済原資から既存の返済額を引き、追加で返せる月額を出します。資金が足りなくなる前に、まず今の取引先金融機関へ相談するのが基本の順番です。
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追加借入は、既存の融資とは別に新しく借りる手続きです。返済で減った分を改めて借りる相談を「折り返し融資」と呼ぶこともあります。どちらも新規の申込と同じく審査があり、既存の返済状況も判断材料の一つです。
日本政策金融公庫(国民生活事業)は、利用経験がある人向けにも必要書類を案内しています。直近期と前期の確定申告書・決算書は、申込の都度2期分の提出が必要です。試算表は、決算後6か月以上たっている場合などに準備するものです。面談では資金の使いみちや事業計画を聞かれ、資産・負債がわかる書類も求められます。
選べる返済期間は、資金使途によって異なります。公庫の一般貸付では、運転資金が5年以内(特に必要な場合7年以内)、設備資金が10年以内です。同じ額でも期間が長いほど月の返済額は軽くなるので、使途に合った期間で申し込みましょう。
既存の借入をまとめて条件を組み直す借り換えは、追加借入とは目的が異なります。公庫のインターネット申込で公庫の借入を借り換える場合は、その残高を含めた金額を申込金額に入れます。
融資や保証の限度額は、1回の申込ごとの上限とは限りません。信用保証協会の保証付き融資は、1企業あたりの保証限度額が決まっています。小規模企業者向けの小口零細企業保証制度は、既存の保証付き融資の残高と合計して2,000万円以内です。すでに1,500万円の保証付き残高があれば、この制度で上乗せできるのは最大500万円という計算になります。
| 制度 | 限度額 | 既存の借入との関係 |
|---|---|---|
| 信用保証協会の一般保証 | 1企業あたり2億8,000万円(普通保証2億円+無担保保証8,000万円) | 1企業に対する保証の限度額。別枠保証は別に定めあり |
| 小口零細企業保証制度 | 2,000万円 | 既存の保証付き融資残高と合計して2,000万円以内 |
| 公庫 一般貸付 | 運転資金4,800万円、設備資金4,800万円、特定設備資金7,200万円 | ページに残高との関係の記載なし。支店で確認 |
政策目的に応じて、一般保証とは別枠の限度額を設けた保証制度もあります。公庫の一般貸付は、案内ページに既存残高との関係が書かれていません。枠がどれだけ残っているかは、申込先に既存の借入を伝えたうえで確認してください。
公庫の企業概要書には「お借入の状況」を書く欄があります。借入先・使いみち・残高・年間返済額を記入し、使いみちは事業・住宅・車・教育・カードから選びます。法人の場合は代表者個人の借入を書く欄です。つまり事業の借入だけでなく、経営者個人のローンやカードの返済も把握されると考えておきましょう。
銀行などで組んだ個人のローンやクレジットカードの契約内容と返済状況は、全国銀行個人信用情報センターに登録されます。延滞の事実も含まれ、銀行・政府関係金融機関・信用保証協会が会員です。個人事業主や代表者個人の延滞は、事業の融資相談にも影響しうる点に注意してください。
返せる力の目安としては、経済産業省のローカルベンチマーク(ロカベン)が参考になります。ロカベンは企業の経営状態を把握する「企業の健康診断」のツールです。指標の一つ「EBITDA有利子負債倍率」は、借入金から現金・預金を引いた額を、営業利益と減価償却費の合計で割って求めます。近畿経済産業局の判定基準では、直近2期連続で15倍超かマイナスなら「利益に対して借入が多い可能性」とコメントされます。これは診断ツールの目安で、金融機関の審査基準ではありません。
| 見られる点 | 用意しておきたいもの |
|---|---|
| 返済実績 | 既存借入の返済予定表、通帳の引落し記録 |
| 資金使途 | 見積書(設備資金)、必要額の根拠 |
| 返済原資 | 決算書2期分、決算後6か月以上なら試算表 |
| 既存借入の残高と返済額 | 借入先ごとの残高・年間返済額の一覧 |
資金繰り表は公庫の必要書類一覧にはありません。それでも、今後数か月の入出金を示せると、なぜ今いくら必要かを説明しやすくなります。運転資金の必要額の出し方は運転資金の借入目安は?所要運転資金の計算式と借りる額の決め方で解説しています。
仮定の数値で、追加で借りられる額の目安を出してみます。営業利益400万円と減価償却費200万円を足した年600万円を返済原資とします。既存借入は残高1,500万円、月返済25万円(年300万円)、現金・預金は500万円です。利息や税金の支払いも考え、返済に回すのは返済原資の8割までと置きました。
減価償却費を足すのは、費用として計上されても現金は出ていかないからです。ロカベンの倍率の分母と同じ考え方にそろえました。実際の返済原資は、借入の利息や法人税などを払った後の現金で考えるのが確実です。
年の余力は、600万円×0.8から300万円を引いた180万円で、月15万円です。追加分は年利4.05%・60回の元利均等返済と仮定します。4.05%は、公庫国民生活事業の基準利率(無担保・税務申告2期以上、令和8年10月1日現在)の下限です。借入可能額は「月返済額×(1−(1+月利)^−60)÷月利」で求め、円未満は切り捨てました。
計算すると、追加で借りられる額の目安は約813万円です。返済原資を全額返済に回す前提なら約1,355万円まで増えますが、売上が落ちた月に返済が苦しくなります。約813万円を借りて使い切ると、EBITDA有利子負債倍率は約1.7倍から約3.0倍に上がり、月返済の合計は40万円です。返済額の計算そのものは事業融資の返済シミュレーションで確認できます。
追加借入は、資金が尽きる前に相談するのが基本です。決算書が出そろった直後は、最新の数字で説明できます。決算から時間がたっていれば、試算表で足元の業績を示しましょう。既存の返済が遅れてから申し込むと、返済実績の面で不利になりやすくなります。
逆算した額が必要額に届かない場合は、借入額を増やす前に支払条件の見直しや補助金を検討してください。補助金は要件を満たし採択された場合にしか使えません。既存の返済が重いなら、借り換えや返済条件の変更を取引先の金融機関に相談する方法もあります。
審査の結果、希望した金額や条件で借りられない場合もあります。申込前に返済原資と既存の返済額を並べ、無理のない額を決めておきましょう。
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調査日:2026年10月9日。限度額・金利・必要書類は制度の改定や金融情勢で変わることがあります。最新の内容は各機関のページで確認してください。
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