専門学校への進学でも、国の「高等教育の修学支援新制度」を使えば、授業料・入学金の減免と返済不要の給付奨学金を受けられる場合があります。ただし、制度の対象になるのは国や都道府県の確認を受けた学校の「専門課程」だけです。
この記事では、2026年10月8日時点の文部科学省と日本学生支援機構(JASSO)の公表資料をもとに、対象校の調べ方、減免と給付の違い、入学前に用意するお金、制度で足りない費用の考え方を整理します。
目次
文部科学省のQ&A(令和8年3月版)は、対象となる専修学校の課程を「専門課程」と、大学院入学資格が認められる「適格専攻科」に限っています。高等課程・一般課程・附帯教育は対象外です。同じ学校名でも、中学卒業者向けの高等課程や、修業年限の短い一般課程は支援を受けられません。
学校そのものも、国または都道府県から機関要件の確認を受けている必要があります。文部科学省の集計(令和8年9月2日現在)では、専門学校2,562校のうち確認校は2,047校(令和8年4月1日時点)です。令和9年4月1日時点では2,063校、全体の80.5%になる見込みです。専門学校の約2割は対象外という計算です。
専門課程で一度支援を受けて修了した人が、別の専門課程に入り直しても支援は受けられません。2校目の専門学校を考えている人は、1校目で支援を受けたかどうかと高校卒業からの期間によって扱いが変わるため、進学先に確認してください。
文部科学省の「高等教育の修学支援新制度」ページから「修学支援新制度の確認大学等の一覧(対象機関リスト)」を開きます。次に「対象機関リスト(全機関要件確認者の公表情報とりまとめ)」へ進むと、PDF版が掲載されています。2026年10月8日時点の最新版は令和8年9月30日現在です。
PDFでは「学校種」が「専門学校」の行を、学校名や所在県で探します。専門学校の多くは「機関要件確認者」の欄が都道府県知事です。備考欄には「R8.4開校」のような情報も載ります。確認が取り消された学校は別ページで公表されるため、出願前と入学手続き前の2回、リストを見ておくと安心です。
JASSOの給付奨学金ページは、授業料・入学金の免除・減額は確認大学等が行い、給付型奨学金の支給はJASSOが行うと説明しています。減免は学費の請求額が減る支援で、給付は学生の口座に毎月振り込まれる生活費の支援です。
2027年度に進学する高校3年生の場合、Q&Aでは減免・給付とも高校を通じて予約採用に申し込む流れです。間に合わなかった人は、進学先の専門学校で在学採用に申し込めます。予約採用の申込時期や手続きはJASSO給付奨学金の予約採用の記事にまとめています。
入学金の減免には、入学後3か月以内の申請が必要です。2年生になってから申請しても、入学時の入学金はさかのぼって減免されません。減免の対象になる入学金は、実際に進学した1校分だけです。
第Ⅰ区分(住民税非課税世帯)の場合、文部科学省の資料1とJASSOの支給額ページでは次の金額です。夜間制と通信課程は別の金額が定められています。
| 設置者 | 授業料減免の上限(年額) | 入学金減免の上限 | 給付月額(自宅) | 給付月額(自宅外) |
|---|---|---|---|---|
| 国公立 | 166,800円 | 70,000円 | 29,200円 | 66,700円 |
| 私立 | 590,000円 | 160,000円 | 38,300円 | 75,800円 |
学校の授業料が上限を下回る場合は、その全額が減免されます。上限を超える部分は自己負担です。学校が独自に上乗せ支援をするかどうかは各校の判断です。
支援区分は、本人と生計維持者の住民税情報で決まります。文部科学省の資料が示す年収の目安は、第Ⅰ区分が約270万円まで、第Ⅱ区分が約300万円まで、第Ⅲ区分が約380万円までです。目安は世帯構成で変わります。第Ⅱ区分は第Ⅰ区分の3分の2、第Ⅲ区分は3分の1の支援になります。
扶養する子どもが3人以上の多子世帯は、所得制限なく授業料・入学金が上限額まで減免されます。給付奨学金は所得に応じた額です。第Ⅲ区分を超えて年収目安約600万円までの多子世帯には、第Ⅰ区分の4分の1が支給されます。多子世帯でも申請しなければ支援は受けられません。
専門学校の入学金や前期授業料は、入学前の手続き期間に納付を求められることがあります。Q&Aでは、学校が入学金などを一旦徴収した場合、入学後に減免が確定した時点で減免相当額を学生に還付することを想定しています。還付は入学後なので、入学前の資金が一時的に必要になる可能性があります。
一方で文部科学省は、各学校に納付期限の猶予や分納などの柔軟な対応を依頼しています。上限額との差額分も、減免の対象と決まるまで徴収を猶予するのが望ましいという考え方です。文部科学省は還付を想定しており、学納金への振替などの扱いは学生と学校が事前に了解していることが前提としています。
予約採用で採用候補者になると、9月中旬から12月下旬ごろ(一部は1月末ごろ)にJASSOから通知が届きます。入学手続きの前に、通知の写しを示して納付猶予ができるかを学校に相談してください。
減免の範囲は、学則で定める「授業料」と「入学金」だけです。Q&Aは、施設整備費や実習費として別に徴収されるものは含まれないとしています。同じ考え方に立つと、教材費や資格試験の受験料も、授業料と別に請求されるなら減免の範囲外と読めます。学校の納付金明細で費目を確認してください。
仮に私立専門学校の授業料が年80万円、入学金が20万円で、第Ⅰ区分に認定されたとします。減免は授業料59万円と入学金16万円で、残る授業料21万円と入学金4万円は自己負担です。ここに実習費や教材費が加わります。自宅外通学なら給付は年909,600円(75,800円×12か月)ですが、家賃や生活費にも充てる必要があります。
減免・給付・学校の猶予を使っても、入学前の一時金や減免対象外の費用が残る場合があります。文部科学省の資料2は、入学前に使える支援として社会福祉協議会の教育支援資金も挙げています。就学支度費は50万円以内で無利子ですが、市町村民税非課税程度の世帯などが対象です。
日本政策金融公庫の国の教育ローンは専修学校も対象で、入学金・授業料のほか施設設備費や教科書代、教材費、住居費用にも使えます。融資限度額は1人350万円で、自宅外通学などは450万円です。金利は年4.05%(固定、令和8年7月1日現在)で、ひとり親世帯や世帯年収200万円以内の世帯などは0.4%低くなります。金利は金融情勢で変わり、審査の結果希望どおりに借りられない場合もあります。詳しくは国の教育ローンの記事をご覧ください。
借りる場合は、減免・給付の決定額と入学後の還付額を差し引いたうえで、必要な額だけにとどめましょう。在学中は利息のみの返済にもできますが、総返済額は増えます。
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