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【2026年版】売掛金の入金が遅れたら?督促の手順と遅延損害金、資金繰りの守り方

売掛金が入金予定日に入らなかったら、当日中に入金の有無と請求内容を確認し、取引先へ電話で事情を聞きましょう。そのうえで、支払日を書いた督促状を送ります。法的手段に進むのは、約束の支払日も守られなかった後です。

話合いで進まないときは、内容証明郵便、支払督促、少額訴訟と段階を上げていきます。契約に定めがなければ、遅れた分には年3%の法定利率で遅延損害金を請求できます。自社が取適法(2026年1月1日施行、旧下請法)の「中小受託事業者」に当たる取引なら、遅延利息の率は年14.6%です。売掛金の時効は、原則として支払期日から5年です。

回収と同時に、自社の支払と返済を守る準備も始めます。入金が遅れる前提で資金繰り表を作り直し、不足が見えたら返済日より前に取引銀行へ相談しましょう。この記事では、入金遅延の当日から1か月までの手順と、裁判所の手続き、遅延損害金の目安を一次資料で確認した範囲で整理します。

入金予定日から1か月までの手順

  1. 当日:入金と請求の中身を確かめる。通帳やネットバンキングで入金の有無を見ます。請求書の金額、振込先、支払期日に誤りがないかも確認が必要です。自社側の請求漏れや口座の誤記なら、すぐに訂正して再請求します。
  2. 当日から翌営業日:取引先の担当者へ電話する。支払を忘れていたのか、資金が足りないのか、納品内容に不満があるのかを聞きます。払う意思があれば、具体的な支払日と金額を決めてもらいます。
  3. 数日以内:督促状をメールや郵送で送る。電話で決めた支払日、請求額、振込先を書面にします。やり取りの記録が、後の手続きで証拠になります。
  4. 約束の日にも入らない:内容証明郵便で催告する。最終の支払期限を書き、払われなければ法的手続きに移ると伝えます。
  5. 1か月前後:支払督促か少額訴訟を検討する。相手が金額を争っていなければ支払督促、60万円以下で証拠がそろっていれば少額訴訟が候補です。弁護士に相談してから選ぶと手戻りが減ります。

連絡が取れない、事務所が閉まっているといった場合は、倒産や夜逃げの可能性も考えます。取引先が法的整理に入ったときの債権届出は、取引先の倒産で売掛金が回収できないときの手順を参照してください。

状況別に決める「まずやること」

同じ入金遅延でも、相手の反応で次の一手が変わります。下の表で、いまの状況に近い行を探してください。

遅延の状況まずやること相談先期限の目安
連絡がつき、支払日を約束した約束した支払日と金額を書面で送る社内(営業・経理)約束の支払日まで
支払日を約束したが再び遅れた内容証明郵便で最終期限を示して催告する弁護士催告から6か月以内に法的手続き
金額は認めているが払わない支払督促を申し立てる相手の住所地の簡易裁判所、弁護士督促送達から2週間で異議の有無が分かる
60万円以下で、契約書や請求書がそろう少額訴訟を起こす簡易裁判所、弁護士原則1回の審理で判決
納品内容や金額を争っている請求の根拠となる書類を整理する弁護士支払期日から5年の時効に注意
自社が取適法の中小受託事業者契約書面と受領日を確認し、窓口に相談する取引かけこみ寺、中小企業庁、公正取引委員会受領日から60日を経過した日以降は遅延利息

書面督促から裁判所の手続きまで

日本郵便の説明では、内容証明は「いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたか」を証明する制度です。証明されるのは文書の存在で、内容が真実であることまでは証明しません。差出人は、差し出した日から5年以内なら郵便局に保存された謄本を閲覧できます。

内容証明などで支払を求める行為は、民法上の「催告」に当たります。民法150条では、催告から6か月を経過するまで時効は完成しません。ただし、その間に再び催告しても猶予は延びません。期限が迫っているときは、6か月の間に支払督促や訴訟へ進む必要があります。

支払督促は、相手の住所地を管轄する簡易裁判所の書記官に申し立てる手続きです。裁判所によると、書類審査のみで、審理のために裁判所へ行く必要はありません。相手が受け取ってから2週間以内に異議を出さなければ、仮執行宣言を申し立てられます。申立ての期間は、送達日の翌日から起算して2週間目の翌日から30日以内です。仮執行宣言付支払督促が送達されると、強制執行の申立てが可能です。相手が異議を出すと、通常の訴訟に移ります。

少額訴訟は、60万円以下の金銭の支払を求める訴えで、原則1回の審理で解決を図ります。証拠書類や証人は、審理の日にその場で調べられるものだけです。原告の言い分が認められても、分割払や支払猶予の判決が出ることがあります。同じ裁判所での利用は1人につき年10回までです。

手段申立先・金額裁判所へ行くか相手が争った場合時効への効果
督促状(メール・郵送)相手へ直接送る行かない話合いを続ける催告として6か月の完成猶予(民法150条)
内容証明郵便郵便局から差し出す行かない法的手続きへ進む催告として6か月の完成猶予(再度の催告は効果なし)
支払督促相手の住所地の簡易裁判所の書記官書類審査のみ異議で通常訴訟へ移行手続き中は完成猶予(民法147条)
少額訴訟原則相手の住所地の簡易裁判所、60万円以下原則1回の審理に出る相手の申立て等で通常訴訟へ移行することがある手続き中は完成猶予(民法147条)

申立手数料は手続きと請求額で変わります。裁判所の手数料早見表で確認してください。相手の資産状況によっては、判決を得ても回収できないことがあります。費用と回収見込みを弁護士と比べてから進めましょう。

遅延損害金の目安と売掛金の時効

民法419条では、金銭の支払が遅れたときの損害賠償は、遅滞の責任を負った最初の時点の法定利率で決まります。契約の約定利率が法定利率を超えていれば、約定利率が使われます。損害を証明する必要はありません。支払期日が決まっている売掛金なら、民法412条により期日の到来から遅滞の責任が生じます。

法定利率は3年ごとに見直されます。法務省によると、2026年4月1日から2029年3月31日までの第3期も年3%のまま変わりません。売掛金の消滅時効は民法166条で、権利を行使できると知った時から5年、行使できる時から10年です。支払期日が明確な売掛金は、通常その期日から5年と考えて管理します。

次の表は、売掛金200万円の入金が遅れた場合の試算です。金額と日数は仮定の数字です。式は「元本×年率×日数÷365」で、1円未満を切り捨てています。

遅れた日数法定利率 年3%取適法の遅延利息 年14.6%差額
30日4,931円24,000円19,069円
60日9,863円48,000円38,137円
90日14,794円72,000円57,206円

1日あたりにすると、法定利率では約164円、年14.6%では800円です。取適法の列は、支払期日を受領日から起算して60日目に定めていた前提で、民法の列と同じ日数を当てています。期日がそれより早い取引では、遅延利息の起算日が期日の翌日より後になります。遅延損害金だけで資金不足を埋めることはできません。請求は元本の回収と一緒に進め、資金繰りの対策は別に立てる必要があります。

取適法の中小受託事業者なら年14.6%の遅延利息

取適法の正式名称は「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」です。公正取引委員会によると、2026年1月1日の改正法施行で、題名が下請代金支払遅延等防止法から改められました。対象は製造委託、修理委託、情報成果物作成委託、役務提供委託、特定運送委託の5種類です。

中小受託事業者に当たるかは、取引の種類と、双方の資本金または常時使用する従業員数で決まります。たとえば製造委託では、資本金3億円を超える法人から、個人または資本金3億円以下の法人が受ける取引が対象の一つです。発注側から見た判定表は買掛金の支払延期交渉と取適法の解説にまとめています。

対象取引では、委託事業者は受領日から起算して60日以内に支払期日を定めなければなりません(3条)。期日を過ぎても払わないことは禁止行為です(5条1項2号)。払わなかった場合は、受領日から60日を経過した日から支払日まで遅延利息がかかります(6条)。率は公正取引委員会規則で年14.6%と定められ、2026年1月1日から施行されています。

法律は、中小受託事業者が違反の事実を公正取引委員会や中小企業庁長官に知らせた場合を想定しています。そのことを理由に取引を減らす、停止するなどの不利益な扱いも禁止されています(5条1項7号)。公正取引委員会は違反に対し、代金や遅延利息の支払を勧告できます(10条)。相談するか迷ったら、発注書と納品・受領の記録をそろえて窓口に連絡してください。

相談先の一つが「取引かけこみ寺」です。国(中小企業庁)が全国48か所に設置し、相談は無料で匿名でも受け付けています。フリーダイヤルは0120-418-618で、受付は平日9時から17時(12時から13時を除く)です。裁判外紛争解決手続(ADR)の案内もあります。

自社の支払・返済を守る順番

回収を待つ間も、自社の支払日と返済日は動きません。まず入金遅延が続く前提で、今後1〜3か月の資金繰り表を作り直します。入金予定から遅れている売掛金を外し、不足が出る日と金額を出してください。必要な運転資金の考え方は運転資金の借入目安と計算が参考になります。

不足が見えたら、返済日より前に借入のある取引銀行へ連絡します。資金繰り表と、遅れている売掛金の請求書や督促の記録を持参しましょう。返済が遅れてから相談すると、選べる手段が狭まります。返済日に間に合わないときの動き方は事業融資の返済が遅れそうなときの対応にまとめました。

日本政策金融公庫(国民生活事業)には、経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)があります。外的要因で一時的に業況が悪化し、中長期的には回復が見込まれる人が対象です。そのうえで、売上高が前期比5%以上減少しているなど、列挙された要件のいずれかに当たる必要があります。要件には「回収条件の長期化などで取引条件が0.1か月以上悪化している」も含まれます。

融資限度額は7,200万円、運転資金の返済期間は10年以内(据置3年以内)、利率は基準利率です。相談は最寄りの支店で受け付けています。審査の結果、希望に沿えない場合があると公庫も明記しています。取引先1社の入金遅延だけで要件に当たるかは、支店で確認してください。売掛金を売却して早く現金化する方法との費用の違いは、ファクタリングと事業ローンの費用比較で比べています。

回収の見込みが立たないまま支払が重なる場合は、税理士や認定支援機関への相談も選択肢です。延滞を起こす前に、既存の取引銀行へ連絡する順序を守ってください。

まず取引銀行や日本政策金融公庫に相談したうえで、ほかの金融機関の条件も比べたいときの選択肢があります。Tasukari(タスカリ)は、CrowdLoan(クラウドローン)が運営する売上500万〜3億円クラスの小規模事業者向けの融資マッチングサービスです。スマホで3分程度の入力をすると、保証会社の事前審査で借りられる見込みを確認でき、その結果を見た銀行から融資条件の提案が届きます。診断・事前審査は無料で、融資が実行された場合は銀行所定の金利がかかります。審査は保証会社・金融機関が行い、CrowdLoanが融資の可否・条件・提案を約束するものではありません。既存の借入に延滞がある場合は、審査で不利になることがあります。

出典・確認先

調査日:2026年10月10日。法定利率、遅延利息の率、裁判所の手続き、融資制度の要件は変わる場合があります。最新の内容は各機関の公式ページで確認してください。


POINT

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