融資を断られたら、まず申込先に理由を尋ねてください。金融庁の監督指針は、銀行が融資を謝絶するときに、可能な範囲で謝絶の理由も説明する態勢を整えているかを確認するとしています。ただし「可能な範囲で」とある以上、詳しい理由が示されない場合もあります。
理由が分からないときは、資料で確認できる点から見直しましょう。見るのは3点です。利用条件に当てはまるか、決算書などの書類はそろっていたか、資金の使い道と返済の見通しを説明できたかです。
そのうえで、よろず支援拠点(相談無料)や商工会・商工会議所に計画を見てもらうと、直す点が具体的になります。公庫や信用保証協会に相談する方法もあります。ただし、どの窓口でも審査があり、次の申込が通る保証はありません。
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金融庁の「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」(令和8年10月版)は、銀行の説明態勢を検証する着眼点を定めています。顧客の要望を謝絶し貸付契約に至らない場合について、指針は次のように書いています。取引関係や顧客の知識・経験・財産の状況などに応じ、可能な範囲で謝絶の理由等を説明する態勢が整っているかを確認するという内容です。
同じ箇所には、責任共有制度の導入を口実に保証付き融資を謝絶するような対応を不適切な例として挙げています。営業上の判断に即した本来の説明を求めている、ということです。理由を聞くときは「どの点が足りなかったか」「何を準備すれば再検討できるか」と具体的に尋ねると、次の行動につなげやすくなります。
この監督指針は、銀行など民間の金融機関を対象とする文書です。日本政策金融公庫(以下、公庫)や信用保証協会の審査の説明については、同じ基準があるとは確認できていません。公庫は「事業計画などをさまざまな角度から検討し、融資の判断をいたします」と案内しています。そのうえで「審査の結果、お客さまのご希望に沿えないことがございます」と明記しています。
監督指針は、貸付けは借り手の経営状況、資金使途、回収可能性等を総合的に判断して行うものとしています。事業からのキャッシュフローを重視し、担保・保証に過度に依存しない融資を促す考え方も示しています。この考え方と各機関の利用条件をもとに、見直す点を表にまとめました。
| 見直す点 | 根拠となる資料の記載 | 自分でできる確認 |
|---|---|---|
| 利用条件 | 保証協会の保証は企業規模・業種・区域などの条件がある。農業・林業・漁業・金融・保険業は対象外(林業と金融・保険業は一部を除く)。許認可が必要な事業は許認可が必要 | 規模・業種・所在地が条件に当てはまるか。許認可を受けているか |
| 資金の使い道 | 保証の対象は事業経営に必要な運転資金と設備資金に限られる | 何に、いくら、いつ使うかを見積書などで示せるか |
| 提出書類 | 公庫は確定申告書2期分(一式)を求め、提出データに不備が多いと注意している | 表紙だけでなく一式を出したか。設備資金なら見積書を付けたか |
| 返済の見通し | 貸付けは経営状況・資金使途・回収可能性等を総合的に判断する(監督指針) | 今後の売上と返済額を月ごとに示せるか。既存の借入の返済も含めたか |
公庫の一般貸付も、ほとんどの業種で利用できるとしつつ、業種や経営内容等によっては利用できない場合があると書いています。赤字決算については、全国信用保証協会連合会が「赤字だけを理由に保証をお断りすることはありません」と回答しています。赤字の原因や経営意欲・事業計画などを総合的に検討するという説明です。赤字の場合の準備は赤字決算でも融資は相談できる?で詳しく扱っています。
自社の財務の状態を客観的に見たいときは、経済産業省のローカルベンチマーク(ロカベン)が使えます。売上高増加率・営業利益率・労働生産性・EBITDA有利子負債倍率・営業運転資本回転期間・自己資本比率の6つの指標で財務面を見るツールです。経営者・事業・関係者・内部管理体制の4つの視点で、非財務面も整理します。これは経営者と金融機関・支援機関が対話するための道具であり、審査基準そのものではありません。
個人事業主や代表者個人のローン・クレジットの返済状況が気になる場合は、信用情報機関に本人開示を申し込めます。CIC(シー・アイ・シー)で確認できるのは、契約内容・支払状況・借入残高・申込みの記録などです。日本信用情報機構(JICC)は個人のほか、法人の信用情報の開示も受け付けています。全国銀行個人信用情報センターでは、加盟する金融機関からの借入の内容や支払状況を確認できます。
全国銀行個人信用情報センターのインターネット開示は手数料800円です。ただし同センターは、審査業務を一切行っていないと明記しています。本人開示は、金融機関の審査結果の理由を特定するものではありません。登録内容に誤りがないかを確かめる手段として使い、断られた理由は申込先に確認しましょう。
次の申込先を探す前に、計画や書類を第三者に見てもらうと、見直す点が具体的になります。公的な相談先の役割を、各機関の案内に基づいて整理しました。
| 相談先 | 役割(各機関の案内による) | 注意点 |
|---|---|---|
| よろず支援拠点 | 国が47都道府県に設置。経営上の相談に何度でも無料で対応 | 中小企業・小規模事業者や創業予定の方などが対象 |
| 商工会・商工会議所 | 経営指導を行う。公庫のマル経融資では会議所等の長の推薦が要件 | 推薦を受けても公庫の審査がある |
| 中小企業活性化協議会 | 各都道府県に設置。専門家が常駐し、収益力改善・事業再生・再チャレンジを支援 | 相談の中心は収益力改善や事業再生 |
| 認定経営革新等支援機関 | 中小企業等経営強化法に基づく認定を受けた支援機関。財務分析や事業計画の作成を支援 | 検索システムで支援実績などを調べて選ぶ |
| 信用保証協会 | 金融機関と取引がなくても申込可能。協会に直接相談できる | 保証の審査があり、保証料がかかる |
| 日本政策金融公庫 | 事業資金相談ダイヤルや予約相談で、窓口・オンライン相談に対応 | 審査の結果、希望に沿えない場合がある |
マル経融資(小規模事業者経営改善資金)の対象は、商工会議所・商工会などの経営指導を受けている小規模事業者に限られます。商工業者であることと、会議所等の長の推薦が条件です。融資限度額は2,000万円、返済期間は10年以内(うち据置期間2年以内)で、無担保・無保証人です。詳しい条件はマル経融資の条件・金利・手続きで確認できます。
中小企業活性化協議会は、商工会議所等が運営する公的機関です。公認会計士・税理士・弁護士・中小企業診断士などの専門家が常駐しています。認定経営革新等支援機関は、税務・金融・企業財務の専門知識と実務経験が一定以上ある個人や法人などを認定する制度です。中小企業庁の流れでは、財務分析で経営課題を抜き出し、事業計画の作成と実行を支援します。
保証協会への相談は、事業を営む都道府県(市)の協会か金融機関が窓口です。地域によっては、地方自治体や商工会・商工会議所でも受け付けています。公庫も、商工会議所・商工会などで相談できると案内しています。
見直した計画で再び申し込む場合は、指摘された点と対応を書面で説明できるようにします。返済額が今の資金繰りで払える範囲かも、改めて確認しましょう。返済の見通しが立たないまま、申込先だけを変えて借りるのは避けてください。
公庫に申し込む場合、インターネット申込では書類の電子データをアップロードします。初めて国民生活事業の事業資金を使う個人事業主なら、企業概要書、直近2期分の確定申告書一式、送金先の預金通帳、本人確認書類などが必要です。開業して間もない場合は、企業概要書の代わりに創業計画書を用意します。
面談では資金の使い道や事業計画を聞かれ、事業計画の関連資料や資産・負債が分かる書類の準備を求められます。前回の面談で答えにくかった質問は、資料で補っておきましょう。
資金が足りない原因によっては、借入以外の方法が合うこともあります。仕入先との支払条件の見直しや補助金が候補です。ただし、補助金を使えるのは要件を満たして採択された場合に限られます。「どこなら借りられるか」を探す前に、必ず借りられるビジネスローンはある?審査の準備と資金調達の比較方法も参考にしてください。
公的な窓口への相談と並べて、民間金融機関の融資条件も比べたい場合はTasukari(タスカリ)があります。CrowdLoanが運営する小規模事業者向けの融資マッチングサービスで、保証会社の事前審査で借りられる見込みを先に確認できます。診断・事前審査は無料ですが、審査は保証会社・金融機関が行い、融資の可否・金利・提案の数を約束するものではありません。
調査日:2026年10月9日。制度の要件・融資条件・手数料、各窓口の受付方法は改定されることがあります。最新の内容は各機関のページで確認してください。
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